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第76章:最強の敵(2)

はい、どーも。作者です。いよいよ少しずつですがクライマックスが近づいて参りました。かれこれ一年以上投稿、執筆は一年半以上してきましたが、高校生最大の敵、受験勉強の為にも79章まででひとまずお休みします。大学に合格してからそれ以上の執筆、完結を目指したいと思います。さて、ヴォルグとの決戦、楽しみにしててください。

前章でガラクトスの部屋前で出会ったマリ・クレールとヴォルグと対峙した俺は、使ってはならないと言われている最強の金のカプセルの次に強い銀のカプセルを飲み、その中に宿っていたシルベスターとか言う奴に力を借りたものの、漂衣率1割以下の体ではヴォルグの10%にすら全く太刀打ち出来ないのであった。




一方、そんなことが起こっているとは全く知らない中濱と井伊は、もう一方の十二魔将、THE・タラソテラピーと熱戦を繰り広げているのだった。


「おい、井伊!」

中濱が軽く肩を回しながら叫ぶ。

「何だよ。頭に響くから勘弁してくれよな。」

呼ばれた彼は何やら必死に考え込んでいた。

「お前、一体何をそこまで深く考えてんだ?」

「ああ、あれを打つためにあいつらのウザったい動きを止めなければならないんだが、上手く止める方法を編み出さなくてはいけないんだ。何かいい手はないもんか・・・?」

そこまで言うとまた彼は考え込んだ。そんな彼を尻目に、当の二人組は辺りをピョンカピョンカ跳び回っている。はっきり言って確かにウザったい。


「ヘイヘーイ!お前達、攻撃してこないのかい?だったらこっちから行ってやろうぜ!なあ、ラッピー!」

「おお、タッピー!あれを使うか?それはそれで面白いかもな!行くぜ!エナジーボール!」


ヴィィィイ・・・

バチバチバチバチ!


ラッピーが叫ぶと、奴の手にサッカーボール大の電磁玉みたいなものがでてきた。

「いくぞ!『スカ●ラブハ●ケーン』!」


シュアッ!


高く上がったエナジーボールは激しい回転をしながら舞い上がり、そのボールをタッピーがラッピーの足を踏み台にして高く跳ね上がり、強烈なヘディングシュートをかましてきた!


ゴオッ!


ビルに例えると五階ほどの高さから放たれたシュートは激しいドライブ回転をしながら井伊目掛けて落ちてくる!奴ら、こんな隠し玉を持っていたとは・・・!


「止めるぅ!」

彼はそう叫ぶと、そのボールの真正面に立ち、キャッチングの体勢に入った。

「バカ!今ここでキャプ●ン翼の真似をやってる場合か!?避ける用意をしろよ!」

中濱が井伊のかなり無謀な挑戦に思わず声を荒らげる。

「大丈夫だっての!距離的にペナルティエリア外だから!」

しかし井伊は彼の制止を全く気にもかけていない。

「ったく・・・!もう俺は知らねぇ・・・」


ガシイッ!

バチバチバチバチバチバチバチバチッ!

シュウウ・・・!


井伊はなんと心配してる人間の目の前でそのエナジーボールをしっかと受け止めたではないか!なんつーセービング能力をしているのか。

「なっ・・・!?俺達のシュートを止めただと?」

そのシュートを打った当の二人は驚きで二の句が継げない位だった。当たり前だ。あれだけ渾身のシュートを相手の技ではなく、素手で受け止められたのだ。無理もない。

「どうだ、見たか!これがS.●.G.K(スーパー・グ●ート・●ール・キーパー)●林の力だぁ!そんなシュート、俺には通用しない!」


昔の人は

「バカと天才とは紙一重」と言っていたらしいが、その言葉は正しくコイツのためにあると中濱は思っていた。確かに井伊は普段から学年トップはほぼ不動の地位にある。しかしキャプ●ン翼の話になった途端、彼の性格は豹変する。一体どうなるかは今まで申し上げてきたからお分かりの通りだろう。

しかしよくよく考えると、今井伊はかなり凄いことをしていた。●林は凄いキーパーだというのは彼から度々聞かされていた。しかし実際に同じようなセービングを見せるということは、彼もそれなりのキーパー能力がある、ということになる。


なんてことを考えているうちに、ふと我に帰った。

「井伊!どうやってそのエナジーボールを・・・」


ドゴォン!


「がはあっ!」


俺が井伊に声をかけようとすると、彼はさっき受け止めたボールを右足を振り抜き、ドライブシュートで敵にぶつけていた。元々彼はトップ下のポジションだ。こっちの方が彼にとっては本職だ。

「おい、中濱!奴らの動きをルルーキットで封じてくれないか?一気に仕留めるぞ!」

「お、おお。」

井伊の声に俺は慌てて亜空間に手を突っ込む。

「えっと、どこだったかな・・・?確かこの辺に・・・あった。これだこれだ。いくぜ!超強力電磁ネット+スローボム!」


ポイッ。

バサアッ!


まず中濱が投げたのは超強力電磁ネット。このネットはかなりの力作らしい(ルルー談)。何しろネット一本の耐えられる重量がまさかの15万トン。スイッチ一つで10万ボルトの電流が流せるスグレモノなのだ。これで二匹の動きを止める。


ヒュッ!

ボムッ!


更にそこに放り込むのはスローボム。これで抵抗力を大きく落とすことができる。

「なー、なーんーだーこーれーはーあー?」

「うーごーきーがーおーそーいーぞーおー。」

「しーかーもーうーごーけーなーいーぞーおー。」

タラソテラピーの二匹はじたばた、じゃなくてじーったばーったもがいているが、動きが遅すぎて何やら面白いことになっている。


「さてと、中濱。こっちの準備はできたぞ。」

「おお。さあ、あのちょこまか鼻っ柱に『本物のシュート』をお見舞いしてやろうぜ!」

その声で中濱は井伊の右足にしっかりと乗った。

「炎の準備はいいな?」

井伊の眼は本気だった。彼は全力で振り抜く気だ。さっきよりも顔がマジだ。

「バッチリ。」

それに応えるように中濱の眼が燦然と輝いた!


ゴオオオオ・・・!


ヒュオオオ・・・!


中濱の全身が激しく燃え、井伊の右足には物凄い量の風の塊が集まっていく!

「やー、やーめーろーおー。」

「そー、そーだー。やーめーてーくーれーえー。」

二匹がまた一段と暴れようとするが、動きが遅すぎて全く危機感が感じられない。逆にこっちの眼が凄い優れてるみたいになっていて、若干楽しいし、実に面白い。

「知ったことかよ!」

「あの世で後悔してくれよな!」

「いくぞ!」

井伊が右足を振り上げたところで、二人は同時に叫んだ!

「フレ●ムフ●ッシュ!」


ドゴオオオッ!




「うがあっ!?」

俺は壁にたたき付けられた。ガードして、しっかりと足は地面につき、無理な力もかけているのに、だ。いともたやすく俺の体が宙に浮き、後ろの壁まで飛ばされていたのである。

さっきまで集中を高めていて、漂衣率はどうにか30%を越す位にまではどうにかしてすることができた。しかし奴が出している力はたったの12%なのだ。全く冗談もほどほどにしてほしいものである。一体何を考えているんだか。

「はあ・・・、はあ・・・。ま、まだまだ・・・!」

俺はふらりと構え直した。正直体の方はかなり限界がきていた。重い。今の俺の体は鉛か鉄で出来ているようだった。それでも俺は諦めなかった。諦めたら負けだから。俺は決めたんだ。必ず生きて地球に帰ってくると。ガラクトスを前にして、こんなところでくたばってたまるか!


俺は更に集中を重ねた。このぎりぎりの状況で集中するのはやはり並大抵のことではないし、どれだけ上げれば奴と対等に渡り合えるレベルにまでできるのか、皆目見当がつかなかった。しかしここで引き下がれない。しかし皮肉にもその思いが俺の心を邪魔して、集中力を欠く結果を生んでいるのだった。

そこで俺はふと我に帰った。よくよく考えてみろ。俺は何のために戦っている?自分のためか?仲間達のためか?違う。厚かましいかもしれないが、地球の人達全員の為なんだ!だから・・・、だから譲ってはならないんだ!お願いだ、シルベスター!力を貸してくれ!俺は祈るように眼を閉じた。


『ほお・・・、地球人にしてはなかなか骨があるではないか。見直した。』

すると辺りから光が消え、シルベスターの声が聞こえてきた。

『正直汝がここまで肚の座った人間だったとは思わなんだ。うむ。ますます面白いことになってきた。よろしい。汝に私の力の全てを委ねようかの!』


シュアアア!


突然辺りに光が立ち込めた。急に体から疲れがとれ、体の底から力が沸いて来るような気がした。

「す、すげえ・・・!」

『ふっ。汝と私の関係を思い出したら、他人ではないことが分かったからな。まずは目の前の敵に集中するがよい。幸運を祈る!』

そう言い残して彼はまた消えていった。


目を開けると、俺の体には白銀の鱗とこれまた銀色の髭、それに映えるようなエメラルドグリーンの髪が綺麗に生えそろっていた。漂衣率も97%にまで一気に上昇している。これなら勝負になるだろう。

「よっしゃあ!いくぞ!」


ヒュン!


そう言うと俺は左足を蹴って高く飛び上がった。さっきまでボコボコにされていた体が嘘のように軽い。


バサアッ!


十分に飛び上がったところで、俺は背中に付いていた羽を広げた。白銀の羽とサファイアのような青さを誇る羽のコントラストが我ながら素晴らしい。


シュパアッ!


青い羽が風を斬るように、そして嵐のようにヴォルグに向かって降り注ぐ!


「30%。」


ヒュン!ヒュン!


「逃がすか!」


ヒュン!


「はあっ!」


バキイッ!

ズザザザザ・・・


「左ぃ!」


キュピイィン!

ドゴッ!

ドズッ!

ドガアアアアン!



先程までの流れを簡単に説明すると、まず羽の嵐をヴォルグがパワーを30%に跳ね上げてかわし、そこにすかさず俺が飛び込んで右拳を振ると、奴が少し後ろに下がり、そこに更に左をかましに行ったところで奴がレーザーを発射しようとし、ぎりぎりのところで俺の拳が当たり、吹き飛ぶかと思っていたらレーザーが暴発し、俺の腹をえぐっていったのであった。


「ぐは・・・あ・・・」

一瞬反応が遅れた。かわせそうな感じだったのだが、あとワンテンポ動き出しが遅かったらしく、急所は避けたものの大ダメージを喰らう結果となってしまったのである。

しくじった。

俺の脳裏にはそういう言葉がくるくる回っていた。

何故漂衣率が97%という高水準まできておきながら、不慮の事故とはいえまだ30%しか出し切っていない機械人間に大ダメージを負わされるなんて笑い事では済まされない。俺の心に悔しさが沸き上がる。畜生・・・!出来るのなら俺は奴を倒してガラクトスのところに行きたい!そこをどきやがれ、ヴォルグ!


カッ!


その時、まるで俺のその思いに呼応するかのように光が溢れ、どうにか完全漂衣に成功したのである。こうなると戦闘力は今までの10倍くらいにまで跳ね上がるのである。チャンスがでてきたぞ!


「はあっ!」


ゴオッ!

ヴヴヴヴヴヴヴヴ・・・

ヴヴヴヴヴヴヴヴ・・・


俺が地面に手をつくと、そこから刀身が二尺はあろうかという長く、それでいて力強さのある刀が出てきたかと思うと、その刀に少しずつ、どこからともなくエネルギーが集まってきた。

「なっ・・・!その刀は、ま、まさか!」

それを見ていたマリ・クレールが思わず驚きのあまり声をあげる。

「さあ。俺にはこんな刀、見たことはないけど、ついでにもう一本用意するか!」

俺はフォーム・アドベントで紅を呼び出し、さっきの刀を右手にしっかりと持ち、紅を左手でがっちりと持ち直し、正眼に構えた。二刀流は正直やったことは全くないが、部活が終わった後でよく遊びながらやっていたことがあったので、とりあえずやり方と要領だけは身についているつもりである。


「二刀流、『桶狭間』!」

俺は部活で遊んでいたときの得意技を繰り出した!体が軽いので、気持ちいいほど綺麗に振り切ることができる。


ヒュヒュッ!

キキィン!


しかしその攻撃もヴォルグの反応力にしっかりと阻まれる。

「くっ!」

俺は反撃が危険なので一旦間合いをとる。その時、


ジジジジ・・・

ボムッ!ボムッ!


斬ったところから火花が散ったかと思うと、いきなり爆発したではないか!よし!初めて奴にダメージを与えたぞ!さあ、これから反撃だ!


果たして、いよいよ反撃に繰り出す少年の運命は!?中濱と井伊の合体攻撃は決まったのか!?

To be continued...

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