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第68章:親衛隊

ユニーク6000突破記念

前章で遂にガラクトス一味の宇宙船に乗り込んだ俺達は、船底の第三倉庫にて、どうやら突入後初バトルがスタートしそうな展開だ。何しろ中濱が扉を開けた瞬間に敵襲に遭ったのだから。


「っぶね!誰だよ、いきなり攻撃なんて!卑怯にもほどがあるぞ!?」

中濱はかなり卑怯な不意打ちに怒っているようだった。

「卑怯?本当にお前達はそう思っているのか?戦場じゃこれくらい普通なんだよ、青二才が!」


謎の怒声と共に現れたのは、何だか物凄い怪しい五人組だった。これを日本でやったらかなりの高確率で職務質問を受けることになりそうな奴らだ。

「お前ら、何しに来た?・・・まあ、俺達の命が目的なのは分かっているけど?」

井伊がカプセルの箱に手をかけながらその不審者達に尋ねた。

「・・・フッ。よくぞ聞いてくれた!お前ら、いつものいくぞ!」

リーダーらしき奴が残りの四人に声をかけた。

「オオ!」


シュタッ!シュタッ!シュタッ!シュタッ!シュタッ!


彼らは明らかに定位置らしきところに着くと、戦隊モノでよくある登場シーンを始めた。


「まずは俺!輝ける『THE・フリーズマン』!フリージア!」

水色の奴がビシッときめる。

「鮮烈の『THE・ライトニング』!ライトバン!」

続いて黄色い奴。

「可憐な『THE・ビューティークイーン』!ビューロ!」

今度はピンク色の奴。正直段々見るのがうっとくなってきた。

「漆黒の『THE・サイレント』。サイクル・・・。」

黒い奴が物凄くだるそうに言った。やりたくなさそうなのが見え見えだ。

よし、決めた!リーダーは名前を言う前に叩き切ってやろう!

「そして最後はこの俺!烈火の『THE・ファイヤー』!ファイナ・・・」


ギィン!


俺が踏み込もうとしたところで、一足先に中濱が手を出した。しかし奴らも流石は先陣を切って攻めてきただけのことはある。彼の攻撃をしっかりと受け止めているではないか!

「おっと。おいおい。せっかく俺達の大事な登場シーンなんだから、そんなに焦らずに、最後まで見てからにしとけ。」

そう言って、この職質されそうな軍団のリーダーらしき奴は中濱の拳をどかすと、もう一度自分のところからやり直し始めた。


「烈火の『THE・ファイヤー』!ファイナンス!」

「俺達は!」

「十二魔将の一角、スピンドル様の親衛隊!」

「侵入者は!」

「ボスの手を汚さずとも・・・」

「始末してやるぜ!」


シャキーン!


・・・どうやらやっと終わったようだ。もうこいつら、一度捕まって取調べでも受けとけよ!と俺は思った。そして少なからず中濱もそう思っていることだろう。というかそういうオーラが出まくってるし。


「さて、君達だよな。十二魔将の皆さんを5人も倒し、更にガラクトス様に深手を負わせたのは。」

ファイナンスとかいうリーダーが俺達に尋ねた。

「それがどうした!」

俺はなるべく強く言い返す様に努めた。ここで言いくるめられたり、あるいは気圧されたりしたら、人数差で確実に持っていかれることに成り兼ねない。だからそれだけは何としてでも避けたかった。

「おかげで今ガラクトス様は冷凍保存装置で回復を待たれている。これは実に非常事態なことなんだぞ!?」

フリージアが語気を少しだけ強める。

「へっ!んなこと知ったことかよ!」

中濱も喧嘩腰に言い返す。

「そこで僕たちに、ボスから君達の掃討命令が下された、ってわけ。君達を始末すれば、僕たちは間違いなく十二魔将のポジションにまで上り詰めることができるからね。」

ライトバンの爽やかな声が響く。

「さあ、早速行こうか・・・」

サイクルがゆっくりと動き出すと、


ヒュン!

キィン!


む、速い!俺は素早く彼の攻撃を受け止めたが、受け止めるのが精一杯で、少し後ずさりしてしまう。

「仕方ない。お前ら、いくぞ!」

「おぉ!」

俺の喝に回りの二人が応えると、中濱はイフリート、井伊はリヴァイアサンに変化すると、それぞれ二人ずつ相手にし始めた。もちろん俺はファイナンスを相手にすることになった。


「いくぜ!」

俺はまず侍に変化すると、一気に間合いを詰め、脇構えから一気に切り上げた!


ヒュン!


しかしファイナンスの反応力も伊達じゃなく、ぎりぎりのところで俺の太刀筋を見切っている。

「まだまだ!」


バチバチバチバチ!


それでも俺は刀に雷を宿らせると、大きく切り下ろす!


「あらよっと!」

しかしそれでも奴は見切って俺の真横に立つ。

「隙あり!」


ヒュアッ!

ブンッ!


しかし俺も伊達には戦ってきていない。奴の切り上げを素早くかわす。

その時俺は物凄く驚いた。

相手の攻撃が止まって見えたのだ。

相手は目にも留まらぬ速さで振っているつもりなのだろうが、残念ながら俺にはスローモーションにしか見えない。これもトルム会長が使わせてくれた(開発はルルーなのだが)、あの超強い戦闘ロボットの賜物だった。見たところ、コイツはせいぜいレベル3位だろう。それくらいなら一人で楽勝に違いない。さっさと倒して先に進まなくちゃ!


「いざ。」

俺は八相の構えから大きく一歩踏み込むと、そこから少し深めに脇腹へと切り込んだ!


ヒュアッ!

チッ!


奴がそれを見て後ろに退いたので、ほんの少しだけ切っ先が掠めるだけという結果になったのだが、場所が場所なのでそれで十分だった。


プシュッ!


そこはちょうど人間の止血点が通っている部分だから、軽く切っただけでもダメージをそれなりに与えることができる。

「くっ!?なかなかやるじゃないか。でも俺は親衛隊の隊長。その程度の攻撃で・・・」


ザザンッ!

ブシュッ!


「んなっ・・・!?」

奴が話す隙を俺が与えるはずがない。更に深く踏み込むと、返す手で二回、確実に切り返した。相手は二回切られたことに気付いていないらしい。紅い血飛沫が両肩から上がる。


しかし俺の予想が裏切られたのはここからだった。


メラメラメラメラ・・・


なんと、さっき上がった血が発火して、彼の体が火だるまになってしまったではないか!

「フフ・・・フハハハハ!俺もここからが第二ラウンドの始まりだぜ!」



その頃中濱と井伊は残りの四人と戦っていた。


ドン!

バシュウ!バシュウ!

ズドオッ!


彼らは意外にも、サイクルに1番苦戦を強いられていた。攻撃力はさほど高くないのだが、出てる気配が少ないので、残りの三人と戦いながらだと途中で見失ってしまうことが多々あり、それによって少しずつダメージを与えられていた。


「おい、井伊!」

中濱がライトバンを右に捌きながら叫んだ。

「何だ!?」

井伊もフリージアの吹雪を避けながら聞き返す。

「お前がサイクルの相手をしろ!残りは俺がやる!」


ガッ!

ドゴオオッ!


「うぐっ!?」


ドガンッ!


そう言いながら中濱はビューロの攻撃を受け止め、鳩尾に一発。そのまま壁にたたき付けられたところに、


バシュウウウゥゥ!

ドゴオオッ!


「きゃあああ!な、何、このあつか・・・い・・・。」

フッ。


彼の強烈な炎柱がクリーンヒットし、彼女はそのまま崩れ落ちた。

「まあ、これであと四人だな。」



「くっ!」

キィン!キィン!キィン!


炎を纏ったファイナンスは急にやりにくくなった。奇想天外な攻撃を繰り出してくる様になったのだ。右足の蹴りから切り下ろしなど、常識的に考えつかない。そこから

「THE・ファイヤー」とか呼ばれるようになった(のかな?)

「ったくめんどくさいなぁ!やりにく過ぎんだよ。でもそれが第二ラウンドなら・・・」

俺は軽く

「ブリッツ」をかけた。


ヒュン!ヒュン!ヒュン!

ズバッ!ズバッ!ズンッ!


「!?か・・・は・・・!も、もうちょっと出番が・・・欲しかった・・・の・・・に・・・」

フッ。


俺の

「紅」は、目にも留まらぬ早業で、奴の体に二つ斬撃を加えた後、心臓を確実に捉えていた。


「全く・・・、もうちょっとマシな戦い方しろよな。親衛隊にしては弱すぎるぜ。」

俺は吐き捨てる様に言って、中濱達のところに向かった。



「仕方ない。中濱!カーバンクルにチェンジするからちょっとだけコイツを受け持ってくれ!」

井伊がサイクルを尻尾で薙ぎ払いながら中濱の方へ押しやる。

「分かったよ!倒しゃいいんだろっ!」


ブンッ!

ガツンッ!


ライトバンの蹴り上げをかわし、すかさず拳を叩き込む!

「ぐあっ!?」


ザシュッ!

ピッ!


「ぬっ!」

しかしその間をぬってサイクルのナイフが肩を掠める。


フッ。

シュゴオオオオオッ!

カッ!


バシュウ!バシュウ!バシュウ!

しかし三つのエネルギー弾が確実に親衛隊達の体を捉える!

「井伊!」

「悪かった!さあ、さっさとケリを・・・」


ザザザンッ!


「お前ら、遅すぎやしないか?もっと早く出来たんじゃない?」

そこに割って入ったのはほかでもない、俺である。まだ

「ブリッツ」状態が続いている俺にとって、見えない速さで一人一撃ずつ加えるのは他愛もないことなのだ。

しかもこの刀にはきっちりとある仕込みがしてある。本当はこういうことをしたくはなかったのだが・・・


「・・・!?」


ドサッ。ドサッ。ドサッ。


急に三人が地面に倒れたかと思うと、ピクピクと痙攣を始めたのだ。

「お、お前、一体何を仕組んだ?」

中濱が呆気に取られた表情でこっちを見た。

「え?ああ、軽目の痺れ毒を刀に仕込んだんだよ。ちょっと手荒いけど、これなら殺生が少なくて済むかな、って。」

そこまで言って俺はもう一度、地面でもがき苦しんでいる三人を見下ろした。

「だけど・・・、ちょっとやり過ぎじゃないか?」

井伊は苦笑いを浮かべている。

「ま、先に喧嘩吹っかけてきたのはあっちなんだし、自業自得ってとこでいいんじゃないの?」

喧嘩っ早い中濱は平静を取り戻したらしい。いくらなんでも早すぎやしないか?

「いいや。とりあえず先に進もう。時間がないから!」

「おぉ!」

そう言うと俺達三人は倉庫の扉を開け、近くにあった上り階段を上り始めた。



「ウェーデルン様!スピンドル親衛隊がやられました!」

「何ぃ!?一体誰にだ!」

「はい!以前からマークしている、地球人三人組です!」

「あいつらか・・・。お前達は船体の防御に当たれ!他の奴らには、戦っても勝てないから絶対に手を出すなと伝えておけ!」

「はっ!失礼致します!」


「どうやらスピンドルの出番らしいな・・・。奴を訓練場に呼び出しておくか。場所も1番近いだろうし。それから、ミクスチャー!」

「何よ?さっきからここにいたわよ?」

「ああ、すまない。お前の変身能力でガラクトス様に化けておいて欲しいんだ。船長室で時間を稼いでくれればそれでいい。その間に医療班に頼んで回復を急がせる。」

「仕方ないわね・・・。もっと綺麗な人に変身させてくれればもうちょっとやる気あるのに・・・」

「今なんか言ったか?」

「い、いいえ。何でもないわ。それじゃあ早速取り掛かるわね。」


「それからクレール!」

「何だい?年寄りを顎で使うもんじゃないよ。」

「何箇所か幻術を張っといてくれ。奴らには経験がないからそれだけでも効果はあるはずだ。」

「分かったよ。フエッフエッフエッ。」


「奴らが次に来そうな所は・・・多分ここだな。ここが一番近いからな。」


「WRYYYYYY!さあて、ようやく俺の出番がcomingしたぜ!unluckyな我が部下達の為にも、俺が奴らをthrow awayしてやるぜ!」


はたして、このルー調の男、スピンドルの実力やいかに!?

To be continued...

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