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第67章:突入

遅ればせながら新年明けましておめでとうございます。作者です。テスト明けで死にかかってます、はい。ちゃんと勉強しなくては・・・。さて、今年はいよいよ完結に向けて確実に歩を進めてます。夏までには終わらせるつもりです。だって受験生だもの。という訳でこれからもMBKをよろしくお願いします。それでは本編をお楽しみ下さい!

前章で、なぜだか知らないけどオニキス本部に宿泊することになってしまった俺達三人は、次の日、朝の特訓を亜空間で行っていた。

中濱は帰ってこれたはいいものの、全身生傷だらけだった。どうやら結構しごかれたらしい。


「これでどうだぁ!」


ヒュン!

キィン!


何をしているのかというと、ルルー特製の

「今までトルム会長が戦ってきた相手のあらゆる戦闘データ」を盛り込んだロボットと戦っているのである。ちなみにレベルを五段階に調節できるのだが、今のでレベル2だ。1はあっさり倒せたのだ。


「まだまだ!」


バチイィッ!


「ピピピ・・・。機体損傷率80%、戦闘ヲ停止シマス・・・。」

ガシャン!


中濱の雷でようやくそれを落とすことができた。


「ふむふむ・・・。まずまずじゃな。」

戦いの様子を見ていた会長が傍観席から下りてきた。

「いやー、強いっすね〜!このロボット。」

井伊は大きく深呼吸をした。

「当たり前じゃ!ありとあらゆる戦闘データを入れ込んだからな。戦略通りの攻撃なんてもんは読まれるのがオチじゃ!ワッハッハッハッハ!」



こうして俺達三人の修行生活が始まった。もちろん部活は全てシャットアウトだ。その時間は全て特訓の時間に充てられることになっている。






「・・・大丈夫?なんか疲れてるけど・・・」

そんな時、学校でこんな声をかけてきたのは唐沢だった。

「え?あ、ああ。平気平気。」

俺は突然の声かけに思わず困惑してしまう。この時俺は学校に忘れ物をしていたことをすっかり忘れていたので、トルム会長に許しを貰い、ほんの少しだけお暇を頂いてきた。

「お前、一体どうしたんだ?お前も忘れ物でもしたのか?」

俺は彼女に尋ねた。

「そ、それもあるけど・・・。」

彼女がここまで引っ込み思案だったとは思いもしなかった。会話の歩調を合わせるのが大変だ。

「・・・心配な気がしたの。」

彼女は突然顔をあげた。

「心配って?」

「私、この前あなたたちに助けてもらって分かったの。今、あなたたちはとても危ないことをやってるって。私、怖いの。私のせいだったりしたら・・・」

そこまで言って彼女はまた俯いた。

「そうだったのか・・・。大丈夫だ、そんなことはないよ。」

俺は努めて優しく声をかける様にした。

「そんな無理して言わなくてもいいの。分かってるのよ、私のせいなんだって。」

「ふざけるな!」

彼女が悲観的になりそうだったので、俺は思わず声を張り上げた。

「え・・・?」

「何をいきなり言い出すのかと思えばそんなことだったのか!元々俺達はお前がここに転校してくる前から戦ってて、たまたまガドリニウムの奴がお前の体に取り付いていただけなんだよ!気にする必要がどこにあるってんだ!」

そこまで一気に言ったところで俺はふと我に帰った。何女子相手にこんなにマジで怒ってんだ、俺は。

「あ、ご、ごめん・・・。つい感情が入りすぎちゃって・・・。」

俺はすかさず彼女に詫びを入れた。


「・・・分かったよ。そんなこと言ってくれて、何だか元気が出てきた。それと・・・凄く・・・やっぱり無理!」


ダッ!


彼女は何か言いかけていたのを無理矢理飲み込んだかと思うと、そのまま全速力で走り去っていった。あまりにも突然の行動だったので、呼び止める暇さえなかった。

「全く・・・、何を考えてるんだか・・・。」

俺は不思議に思ったが、あまりここに長居すると後で中濱達や会長に何をされるか分かったもんじゃないので、とにかくオニキス本部へ戻ることにした。



「へぇ・・・、そんなことがあったのか。」

俺が部屋で事の一部始終を話したら、中濱が少し冷たい視線を浴びせてきた。

「な、何だよ。その『お前の話は本当かよ』みたいな目は。」

俺はその後の質問が何となく読めながらも聞き返す。

「当たり前だろ?本当は唐沢に会いに行くのが目的で戻ったくせに。」

・・・やっぱり。コイツのあの目の時の質問はほぼ間違いなく女絡みのものだ。なんか答えるのも面倒だが、ここで答えておかないと会長にチクられた時点で俺の地獄行きが決定的になるので、とりあえず返答した。

「・・・お前なぁ。俺はちゃんと忘れ物を取りに行ったの。日本史のレポート、明日提出だろうが。そしたら彼女にばったり会ったんだよ。」

「あ、ああああ!やべえ!すっかり忘れてた!お前、どこまで終わってる?」

「あと感想をまとめれば出来るよ。あと15分くらいかな。」

「っんだよ、置いてきちまったよ!全くやってねえんだよ!日本史の教師怖いだろ?あの『三四郎』。」

「あぁ、確かに。」


※今中濱の言った日本史教師の

「三四郎」とは、俺達の隣の柔道部で顧問をしている熊みたいな大男である。中濱がここまで怯えてる理由は説明しなくても分かるだろう。


「どうしよう?今からやったら確実に徹夜に・・・ならないじゃないか。何だ、すっかり忘れてたゼ。」

そう言って彼はホログラムキーを取り出した。

「それじゃあ、何かあったら呼んでくれ。5分後に会おう!」

シュン!

中濱はある意味での戦場へと消えた。






そんなこんなで早くも一週間が過ぎた。

毎日が戦いだった。

ある時は戦闘ロボにボコボコにされ、またある時は会長から直々にボコボコにされ、また戦闘ロボにボコボコにされ・・・。

まあ、とにかく酷いくらいボコボコにされたということだ。幾度となくウルトラ治療虫にお世話になったことか。まあ、そんな地獄の特訓を乗り越えた結果、ぎりぎりとはいえ、レベル4までは倒せるようになった(レベル5?あれは流石に無理)。会長との手合わせでも、どうにか彼にもダメージを与えることが出来るようになった(結局ボコボコにされるのだが)


そうしていよいよ突入が翌日と迫った夜のことである。俺達三人は応接間に呼ばれた。行ってみると、そこにはいつもの様にどっかりと座っているトルム会長の姿があった。

「おぉ、ようやく来たか。」

会長は随分と長く待っていたらしい。

「遅くなってすみません。それで・・・用件って何ですか?」

中濱が来て早々に尋ねた。

「実はな、明日戦地へと赴くお前達に、渡したいものがあるんだ。ちょっと待っておれ。」

会長はそう言って奥の棚に向かった。


「えーと、確かこの辺にあったはずなんじゃが・・・。どこにやったかのぉ・・・。」

何やら随分と探し回っているようだ。

「・・・おっ、あったあった。これじゃ、これじゃ。」

ゆっくりと戻ってきた会長の手には小さな木箱が三つ握られていた。

「これはもしガラクトスと戦う奴が現れたときのために用意しておいた、『精霊』カプセルじゃ。まだ使ったことはないが、威力は確かじゃな。何しろ井伊。お前さんのカプセルの中に一つだけ混ぜておいたからの。」

会長は笑顔で言うと、俺達の手に一つずつ握らせた。箱を開けると、中には紅、碧、翆、そして荼色のカプセルが一つずつ入っていた。

「『精霊』カプセル・・・ですか?」

「そうじゃ。ただしこれは大事な時に使うんじゃぞ。それから宇宙船の中は必ず三人で行動するんじゃ。散り散りになって十二魔将と戦うのはかなり無理があるからの。」

会長は髭を直しながら言った。

「分かりました。それでは明日の朝、○七:○○!出撃致します!今まで大変お世話になりました!必ずここへ、帰ってきます。」

こういうときに宇宙戦艦ヤマトのネタを堂々とパクるやつは俺しかいない。

「うむ、その意気じゃ!まあ、悪運強いお前らなら、必ず生きて帰ってくるじゃろ。ガッハッハッハ!」

会長の高笑いが応接間中に響き渡った。




「中濱・・・、いよいよだな。」

俺は治療虫達に三日に一度の餌を与えながら言った。こいつらは基本的に何でも食べるので、餌にはあまり困らないのだ。

「・・・あぁ。」

中濱はどうやら何か書いているようだ。それがルルー宛ということは容易に想像できた。

「しかし驚きだよな。俺達みたいな高校生が地球の平和とか。」

井伊は相変わらずストレッチは欠かさないようだ。同じことばかりやってよく飽きないものである。

「確かにな。でもそういう風な状況になってしまったんだから、やれるだけのことはやらなきゃいけないんじゃないかな。」

そういう俺は正直もう寝てしまいたかった。明日も7時に出発となると結構早起きしなければならない。遠征と試合以外の日には7時前に起きたことのない俺にとって、それは突入以前の試練だった。早く寝たいけれども、試合の時以上の緊張で寝られるはずもなく、もどかしい時間帯が進み・・・、・・・結局朝になってしまった。


「どうした?寝不足だと思うが、目が死んでるぞ?」

ほぼ一睡もしていない俺の前に中濱はめちゃくちゃ元気な顔をして立っていた。一体どうやったらそんなに熟睡できるんだ?

「そうだぞ、地球の平和を守ろうとする俺達が情けない。」

井伊も平然と立ち尽くしていた。彼の眼は完全に戦闘体勢である。この眼は試合でも本気を出すときの眼だ。この時の彼は必ず1ゴールはあげている(俺が見に行ったことのある試合に限るが)。

そこで俺は思った。こいつら・・・化け物か!?



いよいよ突入の時間が迫ってきた。俺は夕べからの緊張がピークに達しようとしていた。手が震えている。膝も若干笑っている。今まで味わったことのない緊張だ。焦りの色は尚も色濃くなりつつあった。そんな時、


♪チャラッチャーチャラー、チャラララー、テッテッテー!


俺の携帯の着メロが鳴った(今の分かりにくいリズムで分かった方、逆転●判のやりすぎですよ!)。

「ったく一体誰だよ、こんな大事な時に!」

画面を見るとそこには

「田鍋」と書かれていた。こんな朝早くからなんだよ、とは思いながらも俺はメールの文面を覗き込んだ。


「頑張れ」


・・・たった一単語のメールだった。こいつはきっとどこからか情報を手に入れて来たんだろう(可能性が高いのは瀧口と唐沢)

しかし何故だろうか。そのメールを見た途端に、体から急に緊張がとれた。俺はまた前の何事もない平和な日常に戻って、今まで通り普通の生活を送りたい。少なくとも今の俺はそう思えて仕方なかった。


「さてと、突入の場所なんだが・・・。」

そう言って井伊はガラクトス一味の船内の地図を取り出した。せっかくの感慨深い気持ちが台なしだ。

「ルルーのハッキングデータとスパイ衛星によればここが安全らしい。だから今すぐにここに突入する。」

彼が指差した場所は船底にある小さな

「第三倉庫」だった。

「ここならばなるべく少ない戦闘で奴のところまでたどり着ける。しかも、確実にな。」

直接ガラクトスのいる部屋ヘワープしないところが井伊らしい戦略だ。

「分かった。それで行こう。」


カチッ!


俺達は三人同時にホログラムキーのスイッチを押した。


シュオオオオオオ!




「・・・どうやら奴らが乗り込んできたようだねぇ。」

「・・・イエス、マスター。」

「お前はまだ行かなくてもいいよ、ヴォルグ。奴らが体力を消耗仕切った頃に行って仕留めてくればいいからねぇ。」

「・・・イエス、マスター。」

「突入位置から見て、あそこにはあいつらが張っていたはず。まあどこまで粘れるか、じっくり観察するとしようかね。フエッフエッフエッフエッ!」



シュタッ!


ホログラムキーで5分ほどワープし、俺達は第三倉庫に到着した。ここは船の一番最深部である。倉庫を見渡すと、中には生活用品や昔使っていたであろう機械が無造作に置かれていた。

「・・・あまり綺麗なところじゃないな。」

俺は辺りを見渡しながらため息をついた。

「まあ、そうみたいだな。こんなところさっさと抜け出して、早くガラクトスを倒そうぜ。」

中濱がそう言って扉を開けたその時!


シュカッ!


一個の手裏剣が彼の横を通り抜けて行ったのである!


果たしてこの手裏剣は一体どこから飛んできたのか!?そして三人は無事にガラクトスのもとにたどり着けるのか!?

To be continued...

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