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第59章:長年の勘(後編)

はい、どーも。作者です。今学校で模試やってます。その昼休みに投稿です。遂にPVが20000を突破しました!これも偏に皆様方のお陰でございます。これからも完結に向けて頑張ります(今執筆中の話で敵の本丸に突入予定)!それでは本編をお楽しみ下さい。

前章でルルーの過去に関する話をたっぷり聞いた俺は、その話の最後にリオ爺が言った

「ガラクトスとトルム会長の長きにわたる因縁」について、さらに詳しい話を伺うことにした。


−まず結論から申し上げてしまいますと、ガラクトスとトルム会長は、実は兄弟なのでございます。ガラクトスの方が兄で、トルム会長の方が弟でございます。

二人は今からおよそ200年ほど前にお生まれになられました。昔はどちらかというとガラクトスの方が好奇心旺盛で物凄い活発ながき大将だったそうです。それに対してトルム会長の方は内気で人とあまり交わらず、いつも一人でいることが多かったそうです。それでも二人は非常に仲良しでした。やはり兄弟の血は争えないのでしょうな。


そうして二人は段々と成長していきましたが、トルム会長が15歳の時に、大きな転機が訪れました。

「トルム。俺、海賊になりたい。」

突然ガラクトスが言い出したのでございます。トルム会長はもちろん反対されました。

「そんなこと言うのは止めてくれよ、兄さん!」

しかしそれでもガラクトスは聞く耳を持たずにそのまま家を飛び出していってしまったのでございます。会長は悲しみに明け暮れました。ただでさえあまり喋らない性格がどんどん酷くなり、ついには全くと言っていいほど言葉を発しなくなってしまわれたのでございます。


しかしそれから月日が流れ、トルム会長は自分で稼ぐようになられました。そしてある日の新聞を見ると、何とそこには一面に略奪行為を繰り返す自分の兄の写真と記事が載っているではございませんか!会長は驚かれました。それはそれはショックを受けました。そこで会長はお考えになられました。

「兄さんを止められるのは俺しかいない!」

と。


それから会長は死に物狂いで自分を徹底的に鍛え上げました。いろんな寺院に出向いてそれこそ多種多様な呪術を学ばれたり、またある時は様々な星で一番強いと言われている道場に出向いて自分の剣術、拳法、銃剣術、柔術などを学ばれたりされたのでございます。時には150対1で勝ったこともある、と会長がおっしゃってましたからね。

そんなこんなで会長が段々強くなっていく内に、宇宙の中で

「不動明王」と呼ばれるまでに腕を上げられました。もちろんそれだけ有名になれば兄のガラクトスにも噂が飛んでいくわけでございまして、よっぽどその情報が気にくわなかったのでしょうか、会長に一対一での決闘を申し込む手紙が舞い降りてきました。会長が戦うことを決めて4年目のことでございます。


それから会長はガラクトスを極秘で呼び出し、ビザンツ星の第125ポイント、通称

「銀河の果て」で対決することになりました。二人とも様々な思いが交錯する中で、三日三晩ぶっ続けで戦い続けたそうでございます。しかしそれでも戦いには決着が着きませんでした。そんな中で二人は悟りました。

「次の一撃で勝負が決まる!」

と。

そうして二人は同時に飛び上がりました。

会長は始めに右ストレートを出しにいきました。しかしガラクトスはそれを読んでいたので、ガードされそうになったところで、素早く会長は左のミドルを放ちに行きました。しかしそれも読んでいたので再びガードを重ねてきました。ですから会長は左腕にエネルギーを充填して、拳ごとぶつけにいきました。会長が

「不動明王」と怖れられる原因となった必殺技、

「黼落聚・搬魑(ふらっしゅ・ぱんち)」でした。会長はこの時、もう既に勝った、とお思いになられていたそうです。

しかし会長の予想は、それを遥かに上回る技で裏切られました。なんとガラクトスの方も同じ技を、しかも全く同じタイミングで放ってきたのでございます。そうして彼らの拳と拳がぶつかり合った結果、彼らの肉体は両方散り散りになったはずでした。


しかし当時の会長の仲間が現場を見に行ったところ、二人ともたまたまいくつかの肉片と脳が残っていたではありませんか!彼は素早くその辺りのものを拾い集めて冷凍保存装置に入れ、新たな肉体を作れる技術が発達するまで未来に保存されることになりました。そうすればまたこれから悪の芽がでてきても、摘み取れるだけの力を携えて戦うことができると思ったからだと思われます。

しかしこの時後々ガラクトス一味の者も来ていたのでございます。ですからそいつも同じような行動ををとって、同じように冷凍保存装置に入れ、未来に保存されることになっていたのでございます。


それから150年が経過しました。ガラクトス一味が再び復活し、略奪行為を再開したころでございます。その頃私もこの組織に入りまして、第一線で活躍し始めた頃でございました。

私達はもちろんそんなことは気付かなかったのでございます。何しろ150年前の話ですから。分かっていたのは自分達の組織の奥深くに眠っているトルム会長のことだけでございました。

そしてガラクトス一味はどこからその情報を手に入れたのでございましょうか。私達の潜んでいる組織の隠れ家まで見つけだし、突然攻め込んできたのでございます。私達は突然の急襲に驚きましたが、必死で応戦いたしました。しかしやはり敵は勢力を相当固めてきたのでございましょうか、私達は大きくダメージを負っていました。

「まずい!このままだと組織は壊滅してしまう・・・!」

私達の誰もがそう思い始めたその時でした。

バリイイイン!

突然地下からガラスの割れる音がしたのでございます。私達はその瞬間、全てが終わったと思いました。せっかく守り続け、更に蘇生させてきた会長の肉体を私達が潰してしまうなんて・・・!


「ふああぁ・・・。何だぁ、ここは?」

下から男の声が聞こえてきました。

「ん?お前はひょっとして、ガラクトスの手下か?そうだろう?」

その男の声が続きます。

「イー!イー、イー!」

どうやら地下に潜り込んでいたガラクトス一味の戦闘員が答える声がしました。

「そうか。なら、あばよ!」

チュドオオオン!


男が喋った途端、物凄い爆発音が聞こえてきました。私達はもちろん、敵の一味まで戦いの手を止めました。煙の中から現れた男は何と、冷凍保存されていたはずのトルム会長でございました。

「んだあ?随分寝てた気がするが・・・。一体ここはどこなんだ?」

会長は肩をぐるぐる回しながら尋ねてきました。

「しかし、これはそうも言ってられない状況みたいだな。仕方ない。まとめて葬ってやろうじゃないか!食らえ、黼落聚・麼鐚醯礪(ふらっしゅ・ばーすと)!」

そう言って会長は唯一治らなかった左腕を突き出しました。

カッ!

ドシュウウウ!

彼の放った光の筋は全てを焼き払うかの如く、唸りを上げて敵を飲み込んでいきました。飲み込まれた敵はそのまま音もなく消え去っていったのでございます。


ガラクトス一味が退散した後で、私達は会長に状況を説明いたしました。冷凍保存装置のこと、今は会長がガラクトスと戦ってから150年経っていること、それから左腕だけはどうしても治らなかったこと・・・。

「ハッハッハ!そうかそうか。それじゃあつまるところ、これからこの組織を続けていけばいいんだろ?兄さん・・・、いや、ガラクトスを倒すために。」

しかし会長は寛大でした。いきなりこの普通では有り得ない状況を受け止めてしまわれたのでございます。その心の広さには私達もただただ感服するばかりでございました。


それから私達のいる組織は

「ブラッド・オニキス」と名称を変え、

「打倒ガラクトス」を目標とし、戦い続けて参りました。その中でルルーお嬢様と出会ったり今はもう死んだ家内と出会ったりいたしました。そんなたくさんの出会いを経験してこれた私の人生はかなり幸せなのかもしれませんね−




「まあ話はこれで以上です。長いお話で聞き飽きてしまったかもしれませんね。」

リオ爺は少し笑いながら長きにわたる話を終えた。

「い、いえいえ、とんでもないですよ、そんな。」

俺は物凄い勢いで首を横に振った。ちょっと首が痛い。

しかし考えてみれば正に

「長きにわたる因縁」である。まさかこの争いが150年もの間続いているなんて・・・。しかもあの豪傑二人が

「兄弟」だったなんて・・・。確かにこんなことをオニキスが漏らしたところで何のメリットもないし、デメリットは増えるばかりである。口外しないでほしい、というのも理解できる。


「さて・・・。向こうでお連れ様とルルーお嬢様が待っておられますよ。それにそろそろ特訓が終了してもおかしくないですからね。」

リオ爺は腕時計を見ながら言った。俺はすっかり忘れていた。俺達が待っていたのは井伊がトルム会長に特訓を受けていたからである。それでも井伊には感謝せねばならない。井伊が会長にボコボコにしごかれている間に、こんな貴重な話を聞けたのだから。


「そうですね。あいつ、時間には無駄にうるさいからなあ。」

俺はそう言いながら立ち上がった。長々と座っていたので、腰と膝が結構痛い。

「それじゃあリオ爺。貴重な話をどうもありがとうございました。」

部屋から出る時に、俺は深く頭を下げた。

「いえいえ。私もこの話をできる相手ができまして、大変幸せでございました。」

リオ爺もいつものような笑顔を浮かべて頭を下げてくれた。いつもながらではあるが、彼の微笑みには少しだけ癒される気がする。そう思いながら俺はルルーの部屋に戻っていった。



※ここからは俺(主人公)の視点でお楽しみ下さい。


「何だよ、遅いじゃねえか。」

ようやく戻ってきた中濱に、俺はそう声をかけた。

「仕方ねえだろ?お年寄りの貴重な話は素直に聞いておくもんだぞ?」

彼は得意げに答えた。普段1番話を聞いていないお前が何を言っている。

「それはそうと、一体何を話してたのよ?」

ルルーがよっぽど中濱が戻ってきたのが嬉しかったのか、話に首を突っ込んできた。

「いや、ちょっとな。リオ爺と決して口外しない、と約束してきたから・・・。」

しかし中濱は首を横に振った。かなり込み入った部分の話なのだろう。


「つーか井伊の奴・・・どんだけ会長に可愛がられてんだ?」

俺達が井伊と別れてからもう30分は経っている。向こうの時間に直すと大体二日と半日も特訓を重ねていることになる。俺達ですら一日で済んだのに、会長はよっぽど井伊のことを気に入ってくれたらしい。それとも完全漂依のマスターに手間取っているのかもしれない。あれをマスターするのにはかなりの根気と努力が必要だから。

「まあいいや。もう少しかかりそうだから、みんなで菓子でも食いながら・・・」


「ただいま・・・。」

バタッ。

俺達がルルー特製のクッキーに手を伸ばそうとしたその時、外見的には傷一つない井伊が倒れ込んできた。どうやら相当みっちりしごかれたらしい。

「井伊!?お前大丈夫か!」

中濱が彼に駆け寄った。

「大丈夫なわけねえだろ・・・?ったく何だよ、あの爺さん・・・。手加減ってもんを知りゃしない・・・。」

彼は息を切らしながら答えた。

「ああ、相当しごかれたんだな。どうだ?ちょっとは戦えそうか?」

俺は尋ねた。

「ああ・・・。多分・・・な。」

井伊は無理に笑顔を作って答えた。

「よし、決まりだ。これからいよいよ最後の戦いに向けて突き進むから、くれぐれも唐沢の動向だけは気をつけてくれよ。」

俺は言った。

「唐沢?お前、ストーカーでもする気か?」

しまった。井伊はまだ知らないんだった。

「ああ、知らないんだった。実はな・・・」

中濱が唐沢が実は敵の幹部のNo.2であるガドリニウムだということを説明してくれた(詳しくは第20章辺りを参照)


「んなっ!?・・・そうか、分かった。なるべく注意するわ。」

流石プロを目指すサッカー小僧。決断力も凄い。

「それじゃあルルー。俺達、もうそろそろ帰るよ。」

俺達は立ち上がって部屋を立ち去ることにした。

「わかった。じゃあね!」

彼女も笑顔で答えてくれた。やっぱり癒される。


さて、いよいよ最終決戦に向けての三人の戦いが始まる!

To be continued...

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