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第56章:「四人目」

はい、どーも。作者です。いよいよこの話もクライマックスに向けて徐々に加速を始めております。ユニークも4000に到達し、PVも20000に向けて突っ走っていきます!それでは本編をお楽しみ下さい。

前章で再び新たな仲間を探しに地球に帰ってきた俺達は

「三人目」・・・じゃなかった、

「四人目」を誰にするのか、学校で話し合っていた。

とりあえず学校では何か変なことは起きたりしなかったし、肝心の唐沢(詳しくは第20章近辺を参照)の方も隣の席を脱却して、ある程度距離をとることができた。まあ、あの氷の眼差しは依然変化はなかったのだが・・・。


「さあ中濱。これは結構重要な話だぜ・・・って聞いてんのかよ!」

ピシッ!

「あいた!お前なあ、手が出んのが早過ぎるんだよ。まあ待てって。もうちょいでこの面クリア出来そうだから・・・あ、ちくしょ。このボス、無駄に強いんだよ!」

・・・どうやら中濱は最近発売したゲームに熱中しているらしい。奴がセコいのはじっくりとやっていたいがために、休み時間の度にホログラムキーを使い、亜空間に抜け出してはちょこちょこ進めているらしい。ちなみに彼はあと少しでラスボスだと豪語している。


「はいはい。そりゃあ悪かったよ。さっさと終了して、話を本題に移すぞ。」

俺は軽く謝りながら中濱をギロリと睨んだ。

「わ、わかったからさ・・・。そんな目をしないでくれよ・・・。」


「さて、本題だ。マジで『四人目』を誰にするかだ。ルルーがメカニック全般を担当してくれているから、回復班か、やはり戦闘員がもう一枚か、だな。中濱はどう思う?」

俺は少し考えてから持論を展開し、中濱に意見を促した。

「うんうん。俺も基本的にはその意見だ。治療虫だけじゃ回復できるケガにも限界があるしな。でもこれから激しくなる戦闘のことも考えると、やっぱり戦闘員も捨て難いんだよな・・・。この際、どっちもとかいう手はアリ?」

彼は納得がいったように答えた。

「両方か・・・。アリっちゃアリだけど・・・。どうするか・・・うーん・・・。」

俺は深く考え込んでしまった。


「おいおい、どうしたんだよ?そんな辛気臭い顔しちゃって。考え事でもあんのか?」

とそこに現れたのはこの話に一番入ってきて欲しくなかった男、井伊だった。

「あ、いや・・・ちょっとな。」

俺達は上手くごまかして、この場を切り抜けようとした。

「何だ何だ?恋の相談か?どうなんだ?」

彼は俺の肩をぽんぽんと叩きながら言った。

「うるさいなあ。勝ち組に言われたくねえよ!」

俺は少し頭にきたので、彼の手を振り払いながら言った。

「おいおい、そんなに怒るなよな。冗談だって。」


「おい。」

その時、中濱が俺に耳打ちしてくる声が聞こえた。

「何だよ?」

俺も彼に耳打ち仕返した。

「コイツを仲間にするってどうだ?」

「いや、ダメだろう!学年トップだぜ?こんな底辺の二人の中に混ぜちゃまずく・・・ないや。そうだった!俺達、底辺から抜け出してるじゃないか!」

そうである。以前のテストで俺達は猛勉強?の末、一応底辺は抜け出していたのである(第19章参照)。とはいえこんな奴を巻き込んだら何が起こるか・・・。

「?何ひそひそやってんだ?」

やばい、井伊が何となく話に入って来ようとしてる。・・・こうなったら仕方ない。コイツを犠牲にするか。多少勉強ができなくなっても気にしないでくれよ!


「中濱。」

俺は彼にさっと目配せをした。

「よし。」

彼は首を縦に振ると、

ガシッ。

素早く井伊の腕を掴んだ。

「お、おい。一体何を・・・」

そして俺はポケットから素早くホログラムキーを取り出すと、中濱と手を繋ぎ、スイッチを入れた!

カチッ。

「え、ちょっと、何!?何が起きてうわあああ・・・。」




スタッ。

スタッ。

ドサッ!

俺達は慣れてるから簡単に着地できたが、井伊の方は思いっきり地面に尻餅をついていた。

「あれ、ここは一体・・・?」

「一言でまとめてしまえば『亜空間』だな。」

俺は状況が全く掴めていない井伊のために簡単に説明することにした。

「ここでは普段俺達のいる世界の一秒が二時間に感じられるところだ。だから安心しろ。授業は大丈夫だ。」


「お、おいおい。いきなり何を言い出すんだよ。そんなことを俺が信じるとでも思ってんのか?」

井伊は動揺を隠しきれない様子だった。そりゃいきなりこんなところに連れて来られたのだから無理もない。俺達もそうだったし。

「まあまあ。これからもっと驚くものを見せてやるから。」

そう言って中濱は青いカプセルを取り出した。

「何だよ、それ。何をいきなり・・・」

パクッ。

シュゴオオオオオオ!

カッ!

中濱が変身したのは言うまでもない、シヴァである。

「うわあああ!何、何!?早着替えかよ、これ!?」

井伊の奴、今までに見たことがないくらい動揺してやがる。こっちが見てて自然に笑えてくるくらいだ。

「それじゃあ、一つ手品をやらせてもらおうか。」

そう言って中濱は一本のバナナを取り出した。どうやら弁当に付いていたらしい。

「これに息を吹きかけて・・・と。」

彼はフッと息を吹きかけた。

パキパキパキパキ・・・

するとみるみるうちにバナナがカチカチに凍ってしまった。

「そしてこいつでこのわざわざ用意してきた板に・・・この釘を!」


ガン!ガン!


するとみるみるうちに釘が板の中に吸い込まれていくではないか!いわゆる液体窒素でやる実験となんら変わらない、いや、それ以上の実験かもしれない。特に井伊にとっては。


「い、い、一体何が・・・?」

彼はそれはそれは驚いていた。俺も彼のこんな顔は10年ぶり位だろうか。

「さて、ここで質問コーナー!井伊、質問したいことがあったら何でも聞いてくれ。できる範囲でお答えするぜ。」

中濱はそんな彼の驚きをよそに、勝手に質問コーナーを始めた。こんな状態じゃ絶対聞いてないと思うんだが・・・。

「えーと・・・。何から質問したらいいのかわからないんだけど。とりあえず、さっきなんかカプセルみたいなやつ飲んでたけど、あれは何だ?」

・・・聞いてた。どんだけ落ち着いてたんだよ。そうには全然見えなかったけど。

「ああ、これか。これには魔物の魂が入ってて、飲むことで一時的にその力を借りられる訳だ。それがさっきのだな。そいで戻る時は白いやつを飲めば・・・」

そう言って中濱は白いカプセルを口に放り込んだ。

フッ。

「あ、本当だ。」

井伊も流石に今ので合点がいったらしい。


「他には?」

俺が井伊に尋ねた。

「そうだな・・・。このカプセルを持っている目的があるだろ。それって?」

流石学年一の秀才だ。速攻で核心をついてきやがる。

「ああ。実はな・・・。」


俺は彼に事細かに話をした。今から粗筋を書くのは大変面倒なので、読者の皆さんは今までの話を読み直して頂ければ幸いである。



「なっ・・・!?何だってんだよ!そんなことが信じられると思ってんのかよ!?」

井伊は一瞬愕然とした表情を見せた後で、俺につかみかかってきた。

「・・・」

俺はただただ黙って下を向いているだけだった。それしか出来なかった。彼が納得いかないのも十分分かる。しかしこれは紛れも無い現実なのだ。この場でひっくり返すことのできない現実なのだ。

「くそっ・・・。分かったよ。」

井伊は俺の顔を見て何を悟ったのかしらないが、ようやくその掴んでいた手を離してくれた。


「それからこれはもう一つ質問なんだが・・・。これを俺に見せた理由って一体何なんだ?」

彼は首をかしげながら言った。俺が中濱に目配せをすると、彼は小さめのトランポリンとマットを具現化してくれた。


ギシイッ!ギシイッ!

トランポリンのバネの音と共に高く跳び上がると、そのままくるくると五回転ほど回転し、見事に土下座の姿勢で着地したのである。俺の亜空間限定必殺技、

「抱え込み型・五回転宙返り土下座」である。若干空中で体勢を補正するのが大変だが、決まると無駄にかっこよく見えるのである。


「頼む!俺達に力を貸してくれ!お前の力が必要なんだ!」

俺は頭を下げたまま頼み込んだ。ずっと長い間腐れ縁を続けてきた俺には、恥もプライドも無くしていた。ただあるものは目の前にある井伊に力を借りたいという

「信念」だった。

「はぁ!?ふざけてんじゃねえよ!そんなことを言われて俺がそう簡単にやるわけ・・・あるんだよな、これが。」

ズルッ。

俺は思わずずっこけてしまった。何でこいつらはそうも簡単に命を賭けられるんだろうか。俺にはそれが不思議でたまらなかった。


「お、お前・・・。解答早いな・・・。」

中濱もかなり驚いていた。

「だって・・・、お前ら、何でこんな苦しい思いして戦ってんだよ!何で俺にこんなことを言わなかったんだよ!」

井伊が突然語気を強めた。

「仕方ないだろ!?『俺達、地球の平和のために戦ってます』って言えるかよ!?それこそ大パニックじゃねえか!」

中濱が彼に食ってかかった。

「ちげえよ!俺達三人、生きるも死ぬも一緒ってガキのころ誓っただろ!?どうして俺を無視して、そんな死線で戦い続けて来たんだよ!?」

彼が珍しく力説していた。普段は冷静な彼がそんなに怒るなんてよっぽどのことである。その証拠に目が血眼になっていた。

「あ・・・」

中濱が彼の気当たりとその言葉に気圧されて、ようやく静かになった。


そうだった。ガキの頃に俺達は三国志の

「桃園の誓い」の話を国語の授業で聞き、それに深く共感した俺達三人は、それを真似てお互いに誓い合ったことがあった。詳しい話は話すと長くなるので、またどこかで機会があったら話すことにしよう。


「井伊、お前・・・。」

「忘れた、とは言わせないぜ?」

井伊はいたずらっぽく笑った。これをかわいい女の子がやると胸がときめいたりするのだが、男がやっても何の気にもならない。

「それじゃあやるか!・・・10年振りに。」

中濱が言い出した。

「おお、面白いな!やるか!」

俺も彼の提案に同調した。


「それじゃあ刀がいるよな・・・あらよっと。」

ボシュッ!

俺は

「フォーム・アドベント」で侍に変身し、名刀

「紅」を取り出した。

「あれ!?こいつ、カプセル飲んでねえじゃねえか!」

井伊は俺の突然の変身に驚きを隠せないようだ。

「あぁ、これ、こいつの特殊能力みたいなやつ。一度使った能力を記憶しておけるらしい。」

中濱が彼に簡単に説明する。

「それじゃあ俺も・・・ほら、井伊もこれを飲めよ。」

そう言って彼は紺色のカプセルを渡した。

「え、これを?毒とか盛ってないだろうな?」

井伊は突然の要求に混乱していた。

「ばか。そんなことをしてる余裕などないだろうが!」

中濱が彼につっこむ。

「わかった。」

そうして彼は口にカプセルを放り込んだ!

ボシュッ!

ギュルルルル・・・

カッ!


・・・気付くと彼は立派な刀を携えた侍に変身していた。

「スゲー・・・。これが俺・・・。」

初変身の井伊は感動に胸を震わせていた。

「さあ、誓いをやるぞ。刀を抜け!」

「おう!」

俺が号令をかけると、中濱は名刀

「蒼炎」を、井伊は

「黄雷」を抜いた。俺の刀はうっすらと赤みを帯びていたが、中濱のは青く、そして井伊は黄色っぽく色を帯びていた。しかも中濱のは細身で長いが、井伊のものはどちらかというと短めで太めのものだった。

そして刀を真ん中で合わせ、井伊から思いきり叫んだ!


「我ら、生まれた場所は違えども!」

「生きるも死ぬも運命は同じ!」

「いざ、天下無双の大局へ!」

「しゃあ!」




その頃、ガラクトス一味では新エンジンの本運転が始まろうとしていた。

「ヴォルグ様!接続準備、完了しました。」

技術班の一人が大声で叫んだ。ヴォルグ(最後に出てきたのは第38章辺り)はレアメタルを超える逸材の発見で一躍株がうなぎ登りになり、技術班長に大抜擢されていた。ちなみに前の班長は諜報班に栄転となった(下っ端ではあるが・・・。しかし、それでも給料は高い)

「わかった。一応ガラクトス様に報告しておく。」

ヴォルグは冷静に答えた。ガラクトスは今前の戦いで負ったダメージを回復中である(第46〜48章参照)


「よし!運転開始!」

ガコン!

シュゴオオオオ!


地球到達まであと36日・・・!


物語は最終決戦に向け、ゆっくりと加速していく・・・!

To be continued...

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