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第49章:愛(前編)

はい、どーも。作者です。本当は正規投稿よりも三日遅れました。大変申し訳ございません。実は最近部活が結構試合とかが多く、通学電車の中で書いている俺には大変困る状況でして、今も群馬に向かってます。そんな中からの投稿です。それでは、本編をお楽しみください。

前章でようやくもとの世界に戻ってきた俺は目の前にあった光景を許さず、ガラクトスと対峙することを決意したのだった。


「いいんじゃな?これを組織への裏切り行為ととって。」

ガラクトスの額に青筋が一つ出来た。

「ああ、当然だ!」

俺は怒っていた。許せるはずもなかった。なにしろ目の前で愛する人が殺されそうになっていたのだ。殺そうとしている相手を倒そうというのはむしろ当然のことであった。

「そうか・・・。お主も知っておるよのお。ワシが裏切り者は完膚なきまでにたたきのめしてあの世に葬り去るってことをなあ!はああ!」

ドッ!


・・・一瞬何が起きたのか判らなかった。気付いたら地面が1メートルくらい陥没していた。

バッ!

俺はまだ意識が朦朧としているタレーランを抱き抱えると、すばやくその場を離れた。

「ほお。そんなに彼女の命が大事か。たいした美談じゃのお。ハハハハハハ!」

ガラクトスは突然高笑いした。

「ああ、大事だ!彼女が助かるんだったら俺は命の一つや二つ、貴様にくれてやったって構わん!さあ、かかってこい!」


この時俺はうっすらと感じていた。今の俺の実力で敵う相手ではないと。気迫だけで地面が陥没するなんて考えられない。何をしていたんだ?俺には到底分からなかった。

「ねえ、サミュエルさん。あなた、何を言い出してるの?」

彼女はこっちの眼を見て問いかけてきた。そして俺の袖を掴んで、

「ねえ、お願いよ!これ以上私を置いていかないでよ!どうしてみんな私を置いていくの?あなたがいなくなったら、私、私・・・!」

そこまで言うと、彼女は俺の腕で泣き崩れた。それは確かに正論だ。タレーランは両親を亡くしてからオニキスに入るまで、ずっと一人で生き抜いてきたのだから。

「・・・悪い、タレーラン。これは男の戦いなんだ。今ここで引き下がったら負けなんだ。大丈夫だ。必ず俺は帰ってくる。」

俺は彼女を抱きしめながら言った。彼女は俺の胸の中で啜り泣いている。


「おい!貴様にそんな余裕があるのか?ほれほれ!」

ヴヴヴヴヴヴヴヴ・・・!

いつもなら彼の作る球は黒い球だが今日は違った。

「漆黒」だった。黒と変わらない気もするだろうが、ただの黒じゃなかった。

ズズズズ・・・。

回りのものが少しずつ吸い寄せられていく。あの漆黒の球から物凄い吸引力が生まれているのだろう。

俺は身震いがした。このままだと二人とも殺されてしまうだろう。そんな結末だけは避けたかった。何としてでも俺はこのクソジジイを倒さねばならない。倒して幸せな生活を手に入れなければならない!

そう言って俺が一歩を踏み出そうとしたその時だった。

ズバアッ!


※ここからは主人公の視点でお楽しみ下さい。


ブシュッ!

「があっ!?」

ガラクトスは背中から赤い血を出してその場にうずくまった。

ヴヴ・・・ヴ・・・。

その勢いからか、彼が溜めていた漆黒の球は消えていた。

「残念ながら・・・そんだけの余裕はあったんですよね。恋愛事情の分からないジジイは引っ込んでな!」

中濱がなんかカッコつけて言った。その中濱の表情が逆に痛い。

「中濱!」

「中濱君!」

二人は俺達のいきなりの登場に驚いていたようだ。俺の名前は何一つ呼ばれなかったが・・・。

「おのれ・・・こぉのこわっぱどもめ〜!」

ガラクトスの怒りが頂点に達した様子だった。それでいいのだ。そうやって怒らせることで大振りさせるのが俺達の目的だった。ここでそれが成功すれば、確実に奴を仕留めることができる。俺達にはそれだけの自信があった。

「・・・来いよ。ボコボコにしてやるぜ!」

俺は右手で奴を呼ぶように挑発する。

「そうか!ならこちらから行かせてもらうぞ!」

ガラクトスはゆっくりと腰を落として構えた。そして・・・!

シュン!

いきなり俺達の背後に回り込んできた!

「なっ・・・!?」

・・・やられた。あれは完全に芝居だったのか!

「はあっ!」

キィン!

俺は彼の右拳をすかさず

「紅」で受け止める。一撃が物凄い重たい。

「ぐっ・・・!」

俺は思わず一歩後退する。

「まだまだ!」

ブアッ!

ガラクトスの素早い左拳を俺はかろうじて身を捻らせてかわした。速い。さっきまでの戦いとは格が違う。

「このやろう!俺を忘れるなよ!」

ビシッ!ビシッ!

中濱がその空振りを見計らってエネルギー弾をガラクトスの背中をお見舞いする!

ヒュオッ!

カカカッ!

「・・・がはあっ!」

更にその時に三本の矢が彼の脇腹に突き刺さった!こんなことをできるのは一人だけだ。


「サミュエルさん!」

俺は思わず声を出していた。鮮やかな一撃だった。

「お前ら!この戦いは俺とそこにいるクソジジイとのタイマンだからな!邪魔するなよ!」

サミュエルさんも例によってビシッと決めポーズをとった。どうして二人はこうも似てしまったのだろうか。しかも痛いし。

「誰がクソジジイじゃ!ワシはまだ66じゃぞ!」

「うるせー!150年も寝てた奴がんなこと言うんじゃねーよ!」

「寝てれば時間はそのままなんじゃよ!」

「んなわけねーよ!」

「何を!?」


・・・喧嘩が小学生レベルだ。大の大人がそういうことをしているから子供達が育たない気がするのは俺だけか。

「まあとにかく!お前らは下がっておけ!」

サミュエルさんは話を戻した。

「そうじゃ!ワシからも頼む!」

ガラクトスもなぜかそれに便乗してきた。

「分かりました。それじゃあタレーランさんを連れて避難しときます!」

中濱はそう言うと、素早く彼女のもとへと駆け寄った。

「行きましょう、タレーランさん。」

「え、ええ・・・。」

彼女はあまり納得のいっていない様子だったが、とりあえず俺達と避難することになった。俺も中濱のあとについていく。

「あ、中濱!お前に一つ言い忘れてた!」

サミュエルさんは突然中濱に話しかけた。

「何ですか?」

「くれぐれも手を出すんじゃねえぞ〜!」

彼は手を振りながら言った。・・・全くどんな心配をしているのか。そんな心配をしている余裕があったらさっさと倒してこっちに戻ってこいとでも言ってやりたかった。



※ここからはサミュエルさんの視点でお楽しみください。


三人を見送ったあと、俺はゆっくりとガラクトスの方に向き直った。

「さて、危険なことも無くなったし、これで正々堂々勝負ができるな?」

俺は軽く肩を回しながら尋ねた。

「もちろんじゃな。どちらかが死ぬまでやろうぞ!」

「もちろんだぜ!はああっ!」

ゴオッ!

俺の感情の炎は燃え盛っていた。怒りと楽しみとが入り交じった炎だった。その炎は赤というよりもオレンジに近かった。

「スターダスト・アロー!」

キリキリキリキリ・・・。

ビシュッ!

俺はいつもより硬い矢を一本取り出すと、よっぴいてひゃうふっと放った!


ヒュアッ!

「甘いわ!」

ブゥン!

ガラクトスはそれを防御しようと、いつもの俺の矢の軌道を知っているかの如く、自分の前面以外に結界を張り始めた。

「甘いのはそっちだぜ!」

ドッ!

「なっ・・・!分散しないだと・・・!?」

彼の予想を嘲笑うかの様に、俺の矢は奴の体に命中している・・・はずだった。


シュン!

「ふっ。そんなちんけな攻撃じゃワシは倒せんぞ!」

ドゴオッ!


「!ぐあっ!?」

ズザザザ・・・!

突然俺の背後にガラクトスが現れたかと思うと、強烈な一撃を叩き込まれた。目の醒めるような一撃だった。

でも一体どうやってあの攻撃をかわしたのだろうか。俺はふと気になって矢の突き刺さった方を見ると、その体はみるみるうちに何もなかったかの様に消えていってしまった。


「フハハハハ!こんな分身の術も見抜けないようじゃまだまだじゃのお。どうした?あのお前の彼女がそんなに恋しいか?え?」

ガラクトスは嘲笑した。

「うるせー、ゲホッ!お前に分かってたまるかよ!俺はお前を倒して、必ずあいつのところに帰るんだよ!」

俺はゆっくりとその場から立ち上がった。

「・・・どうやらまだ戦えるようじゃな。」

「もちろんだ!いくぞ!」




※ここからは再び主人公の視点でお楽しみ下さい。


タッタッタッタッ・・・!

俺達は走った。あの人達のことだ。手加減など一切無しでやり合っているに違いない。あんな周りにいたら俺達はともかく、タレーランさんの命が危険になる。そんなことでもし彼女が命を落とそうものなら、サミュエルさんに合わせる顔がない。


しばらく走ったところで、ちょうどいい洞穴を見つけた。これならいつ要請が来てもすぐに向こうに行けるし、第一タレーランさんの安全を確保することもできる。

「よし、ここなら大丈夫だろう。」

俺達四人(中濱はまだアナハイムを背負っている)はその中に駆け込んだ。


「いやあ、肩痛くなるわ、これ。」

中濱はそっとアナハイムを地面に寝かせてから言った。怪我はある程度回復していたが、依然彼の意識は虚ろだった。

「おいおい、そんな不謹慎なこと言うなよ。本人いるんだし。」

俺は中濱を窘めた。

「・・・まあ、とにかく。この状況をなんとかせねばな。」

そうである。確かに今はサミュエルさんとガラクトスのタイマン中だったが、今のままでは間違いなくサミュエルさんは死ぬだろう。こういうことを考えるのはよくないが、それは誰の目からも分かる真実だった。


ところがただ一人、必ず生きて帰ってくる、と信じている人がいた。そうである。タレーランさんだ。

「・・・」

彼女は落ち着かない様子だったが、一緒に避難してからここに来るまでただの一言もしゃべらなかった。

「タレーランさん。心配なのは分かりますけど・・・。」

俺はとりあえず彼女の気持ちが少しでも楽になるようにと慰めようとした。

「よし、決めたわ!」

そう言って彼女はすっと立ち上がった。

「え、ちょっと!タレーランさん!?まさか・・・」

彼女は俺達が引き止めようとするのを振り払いながらこう言った。

「そのまさかよ!私、サミュエルさんの所へ行くわ。」

と。


ピシャッ!

そこまで言った途端、中濱が立ち上がったかと思うと、いきなり彼女に平手打ちを食らわしたのだ。俺は驚いた。中濱は少なからずそういうことをする人間ではないと思っていたからだ。


「・・・タレーランさん。いい加減にしてくださいよ。聞きますけど、あなたはサミュエルさんのことを愛しているんでしょう?だったらどうして愛する人を大人しく待っていられないんですか!」

中濱は語気を強めた。こんなに女に手厳しい中濱を俺は過去の一度も見たことがなかった。何しろいくら女にぼろくそに言われたって言い返さない程女には優しい男だ。こんな中濱など見たくなかった。


「お、おい、中濱・・・。」

俺は中濱を止めようとしたが、どうやら止まる気配はなさそうだ。

「待っていられる訳無いでしょう!?いつ死んで二度と会えなくなるか解らないんだよ?それなのにここで指をくわえて待ってるわけにいかないでしょう!」

彼女はいきり立って言い返してきた。

「だからといってここから出すわけにはいきませんよ!そんなんで命を落とすことをサミュエルさんが望む訳無いじゃないですか!」


はたして、中濱はタレーランさんを説得できるのか!?そして、サミュエルさんは生きてタレーランさんと再会できるのか!?

To be continued...

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