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第4章:覚醒

前章で糞箱に嵌められて、中に入っていた謎のカプセルの箱が俺の腰にくっついてしまったのだった。










「ん?何だよ、それ。糖尿病患者か?ハハハ。インシュリンでも打ってるのかよ、ウケるわ〜。ちょ、ごめん、プッ。」

次の日、学校で言われた、強烈な一言。主は勿論、井伊だ。井伊は成績は1番、スポーツ万能、おまけに顔もいいという、憎らしい俺の幼なじみだ。完璧出●杉君だ。

昔から彼はこんな感じだった。得意のサッカーではかつて

「神童」と呼ばれていた上に、今では静岡県のユースに所属し、更には日本代表をも狙おうというツワモノだ。既にJリーグや実業団のスカウトも何人か来ているらしい。

おまけにスポーツだけではないところが余計ムカつくところだ。こいつの家は母が茶道の家元でもあり、更には父は剣道の道場まで所有しているのだ。ちなみに俺も小さい頃からそこで修練を積んでいるが、なぜかたまにやってくる初心者の筈の井伊にはどうやっても勝てない。これだけはかなりのショックを俺に与え続けている。




普段からこんな感じの井伊だが、正直言って今の言葉はかなりうざかった。

「ああ?俺みたいな高校生がそんな中高年のかかるような病気にかかると思ってるのか?」

「うん。」

即答しやがったよ。もう少し俺のことを気遣えよ。

「え、おい何でそんな簡単に即答するんだよ!?」

俺は井伊に聞き返した。

「え?だってさ・・・」




キーンコーンカーンコーン・・・。

井伊がしゃべり出そうとした瞬間に、チャイムが鳴り響いた。


「おい、授業始まるみたいだぜ!早く席に着け。」

俺は井伊を急かした。

「わかったよ、しゃあないなあ。」

とか言いながら奴は自分の席へと帰っていった。







逃げ切った・・・。ちなみに昨晩、このカプセルの箱について決して喋ったらいかんと、あの糞箱に叩き込まれたのである。しかも角でボコボコに殴られながら・・・。結局俺が泣きながら土下座して事無きを得たが、おかげで体中が痛い。



こうなったら、俺の独壇場だ。影の薄さでなら絶対に負けん。あいつは確実に女子に捕まるしな、畜生。これが哀しい男の性よ。




結局そのまま、今日はあいつと話すことはなかった。いつもの様に部活を終え、家路についた。


しばらくしていつもの分かれ道にたどり着いた。しかし今日はいつも通りの野道を歩くことにしたので、そこを右に曲がった。あんなことがあったために俺は左に行く気にはなれなかったのだった。




そんなこんなで一人でだだっ広い野道をゆっくりと帰っていたその時だった。

ガサガサッ!

むっ。今なんか草むらから音がしたな。俺は瞬時にそれを察知した。何やら気配がする。そう俺の剣道で培った長年の勘が告げていた。


すると、草むらの茂みの所から・・・

ガサガサッ!


「イー!」

と5人位のショッ●ーっぽい輩どもが飛び出て来たのである。


ちなみにショッ●ーとは仮面●イダーに出て来る悪役の総称、特に雑魚キャラを指す。口癖(というかこれしか喋れない)は

「イー!」

であるのは比較的有名。



「うわ、こんな田舎で撮影?わざわざご苦労様です。」

俺はそんな事を知っていたこともあり、思わずそう思った。それじゃあそろそろ仮面ラ●ダーっぽいヒーローが・・・







と思っていたが、それは大きな間違いだった。周りを見渡しても、辺りにはカメラが一台もない。しかも、肝心のヒーローすら来ない。更に・・・。


「イー!」

と一声叫んだかと思うと、なんと俺に向かって突進してくるではないか!やばい!速く逃げないと!




ダッダッダッダッ!

逃げる。俺はその選択肢しかとれなかった。もうなりふり構ってはいられなかったのだ。




しかし、5対1では勝負が見えていた。直ぐに俺は、あいつらに追い付かれてしまった。

「イー!」

ズバッ!

奴らの中の一匹の右手の爪が、俺の耳横を掠める。しかも、ちょっと血が出た。

つ〜

耳の後ろを赤い雫が伝ってゆく。



やばい、殺される・・・。俺は即座にそう感じていた。




その時、俺の脳裏にふと、あのカプセルが横切った。あのカプセルには、きっと仕掛けがあるに違いない!殺される位ならとりあえず駄目元でやってみるしかない。やれるだけやってやる!



俺は腰に引っ付いているカプセルの箱に手を掛けた。ボタンを押すと、

カシャッ!

と箱が開いた。箱が開くと、中には予想通り色とりどりのカプセルが詰まっていた。選んでいる余裕など全くなかった。そこで俺は赤いカプセルを掴むと、口の中に放り込んだ・・・。


カッ!


自分の中にエネルギーがほとばしる。何だかいつもの自分と違う。これならイケる・・・。あいつらをやっつけられる!



−と思った矢先だった。激しい閃光が辺りのショッ●ー達を後ろに吹き飛ばした。


「イ?イ、イ、イ、イー!イーイ、イー!」

敵が明らかに動揺している。よし、今がチャンスだ!いくぞ!


と思っていたら、なんだか右腕が熱い。不自然だなと思って右腕を見ると、なんか想像できないくらい凄い事になっていた。これなら敵もビビるはずだ。第一、俺もめちゃくちゃビビってしまった。

なんと、右肘からはなんか岩のような刺みたいな突起物が出ていて、それが真っ赤に染まっている。太さは大体、左腕の二倍、いや、三倍位になっているようだ。


「イ、イ、イーイ、イ、イーイ、イ、イ、イ、イーーー!」


気合いを入れて、戦闘員達が勢いよく突っ込んで来た。でも、さっきみたいに怖くない。不思議だ。今ならどんな事だって出来ちまう気だってする。


俺は躊躇わず、思いっきり右腕を振るった。


ブワッ!

辺りに激しい焔の嵐が吹き荒れた!そしてそのまま、

グシャッ!

という何かが潰れたような鈍い音がこだました。

更にその勢いで右手を前に出すと、

ボオオォォッ!

さながらかめは●波のような凄まじい勢いで、火柱が飛んでいくではないか!


かめは●波は説明しなくとも自明のはずだから説明は省く。



やばいって。ここ焼け野原になるって。辺りにあるものには燃えるものしかないから確実に山火事だって。俺は自分で出しときながらそう思った。

しかし、5人の戦闘員は物凄い勢いで、



ズドドドドドッ!



と吹っ飛び、後ろの木にぶつかった。それから奴らは落ちてきたかと思うと、そのまま

フッ。


と灰になって消えてしまった。






「しっかし、今のはなんだったんだ?腕、もう戻ってるし・・・。」

俺は右腕をさすってみた。しかしそれはもう、いつものなんの変哲もない俺の腕だった。




この時の俺はまだ思いもしなかった。これから始まる、

「バイオ・ウォーズ」に・・・。



はたして、バイオ・ウォーズとは一体!?

To be continued...

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