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第47章:ガラクトス再び(後編)

はい、どーも。作者です。一挙二話投稿、第二部です。ここら辺から大分長くなってきます。ご了承ください。それでは、本編をお楽しみください。

前章で俺達を仕留めに来たガラクトスの、人道を離れた技の数々に俺達は苦戦していた。その時に放たれたバリアを吸収する技、絶望の齦覩靉鏤闍(コンツェルト)に消されそうな、絶望的なピンチを迎えていた。そんな時に、数発の銃弾がアナハイムによって放たれたのだった。



ズギュウン!ズギュウン!ズギュウン!ズギュウン!


ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!


彼の放った銃弾は、大量の黒いエネルギーの塊達に一発ずつ当たった。

「ちょっ!?何してんの!またでかくなっちゃ・・・」

ボム!ボム!ボム!ボム!

すると、なんとさっきの黒いエネルギーの塊が爆発して消えていくではないか!

「す、すげえ・・・。」

中濱の目があまりの驚きに円くなっている。

「万物皆核あり。故にそれ突きて塊消滅せん。」

なぜかアナハイムは喋り方が漢文みたいになっている。まあ、喋らなかった時よりはマシか。


「よし!俺もやってみよ!たあっ!」

ドシュウ!ドシュウ!ドシュウ!ドシュウ!

中濱が先程の戦闘で使っていたエネルギー弾をぶつける!

ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!

ズズズズズズズズ・・・。

しかし彼の放った弾は悲しくも、ガラクトスのの弾に吸い込まれていく。

「おい、バカ!余計でかくしやがって!危ねえだろう・・・」

俺がそこまで言いかけたときには、もう目の前まで塊は近づいていた。

「う、うわあああああ・・・!」




※ここからはサミュエルさんの視点でお楽しみください。



「ったく・・・。仕方ねえな。俺は右手しか使わないから、それでどうだ?」

俺は頭を掻きながら言った。

「えー・・・。仕方ないっすね・・・。やれるもんならやってみてください。絶対に使わせますからね!行きますよ!簪騾蠻齟齲拳(しんらばんしょうけん)!」

ブウウウン・・・!

俺は少し驚いた。いつもならここでラグーンの腕は緑色になるはずなのだが、今日は紅いのである。真っ赤な、血の様な赤。そんな表現が1番しっくりくるかもしれない。


「はあっ!」

ラグーンは俺の懐に入り込んだ!

「やべっ・・・!」

「貰った!」

ラグーンが右手を振り上げたその刹那!

ゴッ!

「・・・くっ!」

ヒュウウウウ・・・!

ズザザザザザザザザ・・・!

彼は右手を振り上げた体勢のまま、後ろに三メートルほど跳ね飛ばされた。


「ふっ。そんな攻撃じゃ、腹ががら空きだぜ!」

俺は咄嗟に右腕を振り、彼の顔面に叩き込んでいたのだった。

「どうした?それで終わりか?」

「ま、まだまだ!」

ラグーンは素早く立ち上がると、懲りずに俺に突っ込んできた。


スッ、スッ、スッ、スッ、スッ・・・。

俺は彼の攻撃を一発一発丁寧に避けまわる。そして!

「はあっ!」

俺は右手を前に突き出した!しかし!

ガシッ!

「せいっ!」

ブアッ!

彼は俺の拳を掴むと、そのまま背負い投げの体勢に入った!

「ふっ、まだまだぁ!」

ドグッ!

そこを更に俺は右肘を曲げて、一気に肘ごと彼を地面にたたき付けた!俺が最初にマスターした技、

「バックトマホーク」だ。

これを覚えたのにはあるいきさつがある。話すと長くなるから、またいつか余裕があったら話すことにしよう。


「ぐふぅっ!」

ラグーンは声にならない叫びと血を吐いて、地面に伸びた。


「まだまだだな、ラグーン!そんなことじゃこの俺を倒すなんざあ五億年は早いぜ!」

・・・決まった。完璧だ。決めポーズまでビシッと決まった。もう言うことはない。


「ぐうっ・・・。兄貴・・・。い、今の・・・わざと急・・・所を・・・は、外したで・・・しょう?何故・・・ですか?」

ラグーンはゆっくりと立ち上がりながら俺に尋ねた。

「え?そりゃあ、わざわざとどめをさす必要性もないからな。」

俺は満足げに答えた。

「兄貴・・・?それじゃあダメ・・・なんすよ。俺を・・・ここで、倒さなくちゃ・・・。ここ・・・から出られ・・・ないんすよ?」

「・・・はあ?意味が分からんぞ?」

俺は認めたくなかった。いや、認められなかったといった方が正しいのかもしれない。現実が飲み込めない。どうして俺は弟の様に可愛がってきたラグーンを殺さなきゃいけないのか?どうして俺は戦わなきゃならないのか?そんな思いが頭の中を駆け巡った。答えは見つからない。いや、見つかるはずもないだろう。


俺がガラクトス一味に入ってまだ間もない頃、俺は先輩達の殺人トークに全く馴染めず、普段から一人でいることが多かった。

そんな時にやって来たのがラグーンだった。彼とは境遇も似ていたし、話がよく合った。そのうちに互いに競い合うようになり、今では二人とも

「十二魔将」と呼ばれるようになり、何人か部下もでき、更に強くならなければいけなくなっていった。それでも俺達はたまに空きが合うと、二人で酒を酌み交わすような仲だ。


「・・・悪い、ラグーン。俺には、お前を殺せない・・・。」

俺は下を向いた。その時!

バキイッ!

ラグーンの右拳が炸裂した!

「痛ってえ・・・!いきなり何すんだよ!?」

「ふざけるのも大概にしてくださいよ、兄貴!」

ラグーンが声を荒らげた。

「いいですか?俺はもうとっくに死んでるんですよ!?既に死んでる人間を殺したって問題は無いでしょう?それに兄貴には守りたい人がいるんでしょう、タレーランさんという!」

「バッ・・・!何をいきなり!」

「ほら、やっぱり図星ですね?そんなこったろうと思いましたよ。兄貴は人がいいから。ずっとこの世界で見てましたよ。」

その言葉に俺はハッとなった。そうか、俺の考えは間違ってなかったな。ここは死んだ人間が来るところなのか。それじゃあ俺は死んじまったのか?


「兄貴。だからあなたはここから抜け出さなきゃいけないんですよ!向こうの世界を見てくださいよ。」

そう言って彼はポケットからボールを取り出した。

「!それは!」

俺はそれに見覚えがあった。そうである。俺が初めてタレーランに渡したあのボールだった(それについての話は第27・28章参照) 。今は技術の進歩もあって大分小型化が進んだが、ラグーンが持っていたのは俺が初めて買った型だった。

カチッ。

ヴヴヴヴヴヴ・・・

スイッチを押すと、まだ綺麗なまま残っている俺の体と、その前で泣き崩れているタレーランの姿があった。

「う・・・ばかぁ・・・。どうしてよ・・・。どうしてあなたまで私を置いていくのよ・・・。」

彼女はもう既に泣き疲れているようだった。それでも彼女は溢れ出す涙を抑えられないらしかった。

俺はその言葉に強く心を打たれた。そうだ。俺はこの世界から生きて帰らなくちゃならないのだ。元の世界に帰って、彼女の夫として頑張らなくてはならないのだ。


「そうか。それでどうせやるならガチンコで、って事だな?」

俺は意を決して尋ねた。

「はい。」

ラグーンは首を縦に振った。

「・・・よし。途中で音をあげるなよ?」

「もちろんです!」




「う、うわあああああ・・・!」

ビシッ!ジャキッ!ジャリィン!

ボム!ボム!ボム!ボム!ボム!

しかし、その黒いエネルギーの塊達は縦に亀裂が入ったかと思うと、次々と爆発して消えていった。

「なぁんて、残念だったな、ガラクトス!」

俺は笑いが止まらなかった。危なかった。ぎりぎりの状況でよく出来たもんだと自分でも感心している。

実は当たる一歩手前で

「ブリッツ」を発動し、目にも留まらぬ早業で一気に片付けたのだった。なんかありきたりな結末な気もするが・・・。

「・・・ほう。ずいぶんと成長したではないか。それじゃあワシはこの場を離れるとしようかの。」

「・・・はあ?」

俺は聞き返した。一体奴は何をしに来たんだ?

「まあ、命拾いしたと思って、真摯に受け止めてくれい。また会おう!フハ、フハハハハハハハ!」

そう言って奴は消えるようにこの空間からいなくなった。


「全く・・・あいつは一体何を考えているんだ?」

中濱がため息を付いた。

「まあ、いいんじゃね?何事もなかった訳じゃ・・・!?」

そこまで言いかけて俺はハッとなった。

「中濱!いいから早くここから出ろ!」

「お、おい。いきなり何を言い出すんだよ?」

「二人の命が危ないんだよ!」

そこまで言うと、俺は二人の手を掴み、ホログラムキーのスイッチを押した!

カチッ。

シュウウウウウウ・・・。

「おい、ちょっ、何を考え・・・うわあああああ・・・!」




※ここからはタレーランさんの視点でお楽しみ下さい。


「うぅ・・・。ひっぐ、ひっぐ。」

私は溢れる涙を止められずにいた。どうして私の大切な人は次々と目の前から消えていくのだろうか?どうしていつもガラクトス一味が関係しているのか?私には分からない。けれども、それも運命なのかもしれない。


シュアッ!

そんな時、亜空間から誰かが出て来た。私はそれが中濱君達だと思ったので、

「遅かったじゃない・・・。今まで何して・・・?」

私は次の言葉が出てこなかった。そこにはなんとガラクトスが立っていたのである。


「おお、久しぶりじゃな。元気でやっとるか?」

「元気な訳がないでしょう!?」

私は反発した。奴の言葉が私には許せなかった。

「まあとにかくじゃ。まずお主にはここをどいてもらおうかのお。」

ガラクトスは頭を掻きながら言った。私はその言葉に更に腹が立った。

「誰がどくもんですか!どうせ彼を殺しに来たんでしょ?あなたのやりたいことなんてお見通しなんだから!」

私はビシッ、と指を突き付けた。

「ほっほっほっ。それは心外じゃのお。人聞きが悪いから、『制裁を加えに来た』くらいに訂正して欲しいんじゃが・・・。」

ガラクトスは不敵な笑みを浮かべながら言った。

「何が『制裁』よ!私は何があってもこの場を離れないから!」

私はサミュエルさんの前に仁王立ちした。

「何があってもか?」

彼は私の前に立つと、物凄い形相で睨んできた。その表情は以前中濱君の店で読んだ雑誌にでてきた金剛力士像そのものだった。

「う・・・、もちろんに決まってるじゃない!」

それでも私は強がった。そこは必死だった。こんなところで引き下がる訳にはいかないのだ。彼が生き返るまでは絶対に戦わなくてはならないのだ。

「ほう。それじゃあお主もろともこの世から消し去ってくれようぞ!」

ヴヴヴヴヴヴヴ・・・!

黒いエネルギーの塊がいつものように奴の右手に溜まり始める。しかし違うのはここから先だった。

ヴヴヴヴヴヴヴ!

今度は段々とそれが細長くなっていくではないか!

「確かお主の武器は鞭だったのお。それならばワシも、と思ってな。」

ガラクトスが言い終わる時には、もう長くて真っ黒な鞭が出来上がっていた。

「さて、もう一度だけ聞くぞ。ここを離れるつもりは無いんじゃな?」

彼の目に私はゾッとなった。それは獲物を捕らえる獅子の目そのものだったからだ。

「もちろんよ。二人で死ねるんだったら私はそれで本望だわ。」

私は逃げ出したい思いを堪えて、奴を睨み返した。

「そうか・・・、なら仕方がない。この世に礼を言うんじゃな!」

シュルシュルシュルシュル!

ビシイッ!

「!?う・・・あ・・・。」

突然巻き付いてきた鞭に首を締め付けられた私は宙づりになってしまった。息が苦しい。何もできない。段々と意識が遠のいていく。ごめんなさい、サミュエルさん・・・。私には奴を止められません・・・。向こうの世界で会いま・・・しょう・・・!


果たして、結ばれるはずの二人の運命やいかに!?

To be continued...

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