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第45章:ガラクトス再び(前編)

はい、どーも。作者です。最近暑い日が続いていますね。そんなこんなのせいで、つい先日、高熱と下痢に悩まされ続けました・・・。三日程の闘病生活の末、ようやく回復はしたものの、まだ脂ものと辛いものは食べられません。あ、冷たいものと炭酸もダメです・・・。かなりきついですが、これからも執筆頑張ります!それでは本編をお楽しみください。

前章でサミュエルさんが意識を失いながら倒したはずのアナハイムから、契約していた古の悪魔クオラと戦うことになった俺達は、何度も攻撃を与えても倒れない彼に苦戦していた。そこで俺はこの前修得した

「ブリッツ」(修得までのエピソードは第41・42章参照)で倒すことに挑戦することにした。


「いくぜ、『ブリッツ』!」

ドンッ!

やはり体に力が込み上げてくる。これで倒せなかったらもう倒す手段はないだろう。3分でケリをつけてやるぜ!


シュン!

「んなっ・・・き、消えた!?」

「遅い!」

そうして俺は一気に切り上げ、そのまま袈裟から切り下ろした!

ズバッ!バサッ!

彼から赤というか葡萄色の血が吹き出した。

「くっ・・・おのれぇ!」

クオラが右腕を振り下ろしてきたが、さすが

「ブリッツ」、それも止まって見えた。

シュン!

「甘い!」

俺が踏み込もうとすると、彼はしっかり銃を構えていた。

「甘いのはそっちだよ!」

ズギュウン!

彼の放った銃弾さえも止まって見えていたが、不幸なことに体勢を立て直すにも、刀で切り落とすにも間に合いそうになかった。しかしその時!

バチイイイイ!

「危ねえ。何とか間に合ったぜ・・・。」

中濱のバリアがしっかりそれを受け止めていた。ナイスだ中濱!



「お、おのれぇ!次から次、ゴミ、わくな!」

クオラの顔が段々と紅潮してきた。なんとも程度の低い悪魔だ。これくらいのことでキレてどうするのだろうか。

「ゴミとな?それは聞き捨てならんな。人間のちょっとした攻撃でキレてる様じゃ、悪魔殿もなかなか程度が低いのお。そなたの方がよっぽどゴミなんじゃないかの?ハハハハ!」

俺は少しカチンときたので奴を挑発した。大体こういう短気な奴ほど怒った時に弱点が露呈する、という風に相場は決まっているのだ。


「お、おのれぇ・・・おのれぇぇぇ!」

あ、案の定キレた。そんな奴の周りには凄まじいまでの怒りのオーラを感じる。ここが勝負所だ。次の一手で決めないと、確実に俺の命が持ってかれる。俺は考えた。考えに考えた。・・・そうか!これなら!

そうして俺は改めて

「紅」を握り直し、大きく一歩を踏み込んだ!






一方その頃、亜空間から俺の手によって送り返されたサミュエルさんは、依然意識を取り戻せずにいた。

※ここからはしばらくサミュエルさんの視点でお楽しみください。


「ん・・・ここは・・・どこだ?」

目を開けると、俺は何もないだだっ広い空間にいた。壁も床も天井も見当たらない、どこまでも真っ白な空間に。

俺はゆっくりと立ち上がった。不思議だ。さっきまでアナハイムとやり合って体中がボロボロだったはずなのに、なぜか何事もなかったかの様だ。傷一つない。

「っかしいな・・・。俺は一体どうなったんだ?」

俺は疑問に思ったが、とりあえず出口を探して歩いてみることにした。


床が無いはずなのに普通に歩けるのは一体何故だろうか。それは俺にも分からなかった。

とぼとぼと歩いていると、昔死んだはずの仲間が立っていた。彼とは俺がまだ入りたての頃、一緒に切磋琢磨した仲だ。俺が抜け出していたときに俺をかばって殺されていた。あの時は悔しかった。墓の前で泣きに泣いたのを今でも覚えている。


「よぉ、サミュー!久しぶりじゃねえか!」

「お、おぉ・・・。」

俺はなんて返したらいいか分からなかった。今でも俺は奴には申し訳なく思っていた。俺の我が儘のせいで命を奪われたのだから・・・俺が殺したのも同然なのである。

「全くどうしたんだ?そんな浮かない顔しやがって。サミューらしくないぜ?」

「あ・・・、そうだな。」

俺はまたこれ以上の言葉を言えなかった。


「サミュー?ひょっとしてまだあのことを気にしているのか?」

彼が俺の顔を覗き込むようにして尋ねてきた。

「・・・ああ。あの時は本当に済まな・・・」

「いいんだ、サミュー。もう過ぎたことをいちいち気にしなくても。」

彼は俺が謝罪の言葉を持ち掛ける前に彼は肩にポンと手を置いた。その手の感触で俺はぞっとなった。手に温もりも何もないのだ。ただ冷たい何かがそこにはあった。。

「え・・・?」

「いいんだよ、サミュー。また二人で頑張ろうぜ?今度は負けねえからな!」

彼は微笑みながら言った。その面影に変わりはなかった。俺はある意味で少しホッとしたが、さっと体を翻して彼を振り切った。

「お、おい!サミュー!?サミューったら!」

「来るな!分かっているんだ。でもお前とここでまた一緒に頑張ったら、俺自身がダメになっちまう気がするんだ。だから俺はここから出て、また一生懸命頑張るよ。」

俺は少し辛かったが笑顔で返した。涙が今にも零れ落ちそうだった。




それに耐えてまたとぼとぼと歩いていくと、目の前にどこか見覚えのある少女と遭遇した。

「あれ、君は・・・?」

俺は目を疑った。

「ふふふ。覚えていないの?私よ私!」

彼女は上品に笑った。

ああ、思い出した。この人は俺の初恋の人だ。忘れもしない、俺がガラクトス一味に入った時。彼女は泣きながら俺を送り出してくれた。それからは返事も何もなくなってしまったけれど、淡い恋心を抱いていたのは間違いないだろう。現に今も俺は少し緊張していた。名前は確か・・・そうだ、カミーチェだ。

「カミーチェじゃないか!ひ、久し、ぶりだな。」

「いやだわ、サミュエル君。緊張しすぎよ。・・・凄く会いたかったんだから。」

彼女は少し頬を赤らめながら言った。

「・・・え?あり・・・がとうな。」

俺は彼女のその言葉に少し驚いて、物凄いどぎまぎしてしまった。


「それで今はどうなの?」

彼女が興味津々に聞いてきた。俺は今までに起きた出来事や組織での話、それから他愛のないもした。彼女は時々頷いたり笑ったりしながら俺の話を何も言わず聞いていてくれた。

話が全部終わると、俺はゆっくりと立ち上がった。

「悪い、カミーチェ。俺、もう行かなくちゃならないんだ。楽しかったよ、ありがとう。」


「待って!」

歩き始めた俺に、彼女が突然抱き着いてきた。俺はあまりの突然の出来事に顔が赤くなるのが分かった。

しかし彼女には温もりも何もなかった。凄く冷たかった。さっきと同じだ。俺と親しかった奴が突然現れて、出口を探そうとする俺を引き止める。

その時俺は悟った。ああ、俺は死んだのか、と。正確には

「死にかかっている」と言った方が正しい気もするが。

しかし俺は彼女をゆっくりと俺の体から引き離し、静かに言った。

「すまない、カミーチェ。俺は生きなくちゃならないんだ。向こうの世界で俺の大切な人が待っているんだ。会えて嬉しかったよ。じゃあな。・・・達者でな。」

そこまで言うと、俺はまた零れ落ちそうな涙を見せないように後ろを振り返らずに走り抜けた。


走りながら俺は思った。神よ!どうしてこうも辛い試練を私に御与えになったのだ!私が今まで人をたくさん殺してきたからか?助けると言ってボコボコにされた私を戒める為なのか?皆目見当がつきません!

とにかく悲しくて、切なくて、涙が止まらなかった。




※ここからは主人公の視点でお楽しみ下さい。


俺は大きく一歩を踏み込むと、空高く跳び上がった!

「まず一発目!」

俺は大上段から一気に振り下ろす(フリ)をした。

「ハッハッハ!甘い!」

クオラは手を出して止めようとしたので、

シュン!

「ブリッツ」の間はこういうことが出来るから驚きだ。空中で彼の背後に瞬間移動出来るなんて。


ザン!

ブシュッ!

「!?ぐはあっ!?」

彼は突然の後ろからの攻撃に思わず前のめりになる。

「甘いのはそっちの方のようだな!いけ、中濱!」

「よっしゃあ!」

中濱は素早く彼の背中にバリアを作った!

ガチイッ!

クオラは前のめりになったまま動けない。


「くっそ・・・!これなら・・・」

ガチイッ!

更に中濱がすかさず彼の前面にバリアを作る!クオラは完全に身動きの取れない状態になってしまったではないか!


「んなっ・・・!?う、動けん・・・!」

「悪かったな、クオラとやら。これで主は身動きが取れまい。さて、時間も無いし、さっさと行くぞ!二発目!」

俺は

「紅」に氷のチカラを宿し、逆手に持ったまま、奴の脇腹目掛けて突進した!

シュン!

ドスッ!


パキパキパキパキ・・・!

傷口から物凄い勢いで彼の体が凍り付く!

「う、うがああああああああ!」

パキィン!

物凄い大きな悲鳴が上がったかと思うと、彼は完全に凍り付いてしまった。


俺はそれから安心して

「ブリッツ」を解いた。3分って案外短いものである。そうした瞬間!

ドクンッ!

「!?ぐっ・・・!」

心臓に激しい痛みを感じた。どうやら

「ブリッツ」は凄まじいまでに心臓に負担をかけるらしい。

「おい、大丈夫か!」

中濱が駆け寄ってきた。

「あ、あぁ・・・。なんとか・・・な。」

俺は息も絶え絶えに答えた。凄い息苦しい。もうこれ以上戦うのはきついだろう。現に立とうとしても立てやしない。


「あ、そうだ。アナハイムは?」

俺は依然地面に突っ伏している彼の方を見た。


「う、うむむ・・・。俺は一体・・・?」

彼は意識は取り戻したが、起き上がれる状態ではなかった。何しろ心臓を外しているとはいえ、三本も矢が突き刺さったのだ。無理もない。

「はっ!君達か、俺を救ってくれたのは。悪かった、礼を言うぞ・・・うぐっ!」

彼は傷口を押さえながら言った。

「いやいや、まだ無理は禁物ですよ!とにかくまずはここから出ましょう。話はそこからですよ。」


「ワシのいない間、随分楽しいことが起きておるのお。」

中濱がアナハイムの肩を支えて脱出を図ろうとしたその時だった。突然ガラクトスが俺達の目の前に現れたのである!


「な、何故だ!何故お前がここにいる!」

「何故、とは心外じゃのお。ウェーデルンから話を聞いたら何やらアナハイムがタレーランを捕まえたとか言うからな。それで様子を見に来た訳じゃよ。」

彼は頭を掻きながら答えた。相変わらず凄まじいオーラと気迫に溢れている。

「それで見に来たらこの様じゃ!だから処分しに来たんじゃよ。裏切り者のサミュエルと一緒にな。」

「ふざけるな!誰がお前なんかに引き渡すかよ!彼には幸せになってもらわなくちゃいけないんだよ!」

中濱が堂々と構えて言い放った。

「幸せに、じゃと?笑わせてくれるわい!奴にはそれ相応の罰は受けてもらわんとな。」

冗談じゃなかった。彼の言う

「罰」なんてもんは間違いなく

「抹殺」に決まっているではないか!


「っざけんな・・・!あの人には、生き残ってもらわないと・・・いけ・・・ないんだよ!俺は絶対ここを通さねえ!」



果たして親玉と再び対峙する少年達の運命やいかに!

To be continued...

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