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第43章:決意

はい、どーも。作者です。最近暑くて一遍熱中症っぽくなってしまいました・・・。それでも元気よく執筆していきます!それでは本編をお楽しみ下さい。

前章で、中濱とルルーと名乗る少女の手柄によって見事、タレーランさんが捕まっているアナハイムのアジトを発見することができた。


「何じゃと!?こんな短時間で見つかるとは、全くこのワシも予想外じゃよ。よっぽどルルーと息がぴったり合ったようじゃな。」

会長は少し驚きながらも笑顔で答えた。

「んなっ・・・!?ま、まあ・・・。」

中濱はちょっぴり照れながら答えた。あいつ、二人きりの間に何かあったのか?

「しかしあいつも手が焼けるじゃろう?何てったってこのワシのひ孫だからのお。ガハハハハハ!」

「え・・・?い、今何と?」

中濱の表情が凍り付いた。本当に何があったんだ?一線を越えてやしないだろうか。


「ま、まあとにかく!早く行かないとタレーランさんがどうなっているかも解らないんですよ!?」

中濱が素早く話をすり替えた。これはもう疑惑を持つしかない。絶対何かあったに違いない。俺はひそかにそう確信した。

「おお、それもそうじゃな。それで、場所はどこじゃ?」

「はい。座標的に位置を調べると、俺の家の近くです・・・。」

「な、何だって〜!」

俺は某ルポルタージュのお約束になっていたリアクションを取るしかなかった。そんなに近くにあったならすぐに見つかっていてもおかしくはないはずだ。


「おい、中濱。それならすぐ見つかってもおかしくは・・・あ、そうか!」

「そうだよ。近くにあったとはいえ、きっちり亜空間に仕込んであったんだ。それじゃあ見つかるはずもない。」

「そうじゃな。でもどうやってそこに乗り込むんじゃ?ホログラムキーは確かガラクトス一味内で空間の周波数が統一されていて、普通のホログラムキーじゃ入れないはずじゃが・・・?」

会長が中濱の言葉に疑問を示した。

「会長。その辺は抜かりないですよ。しっかりと手を打ってあります。」

中濱の目がキラリと光った。

「ははあ、さてはルルーの奴じゃな?」

「ぅ・・・その通りです。彼女が俺の奴を逆探知中にちょっといじくって、自由に周波数が変えられるようにしてくれたんですよ。まあ、変えられるとはいっても三つくらいですけどね。」

中濱は図星といった表情を見せながらも、気を取り直して簡単に説明した。なるほど、確かにそれならあまり気にせずにアジトに乗り込める。



「それじゃあ中濱。早く行ってアナハイムとかいう野郎をとっちめてやろうぜ!」

「おお!」

そう言って俺達はホログラムキーのスイッチを押した。






その頃ガラクトスの宇宙船では、この前拾って来た謎の鉱石について調査を始めているところだった。


「班長はおるか!」

「あ、ガラクトス様!これはこれは、このような油まみれの部下達の元にわざわざ御足労を・・・。おい!全員集ご・・・」

「いや、別に集める必要はない。様子を見に来ただけじゃから。それでどうじゃ?エンジン開発は進んでおるかのお?」

ガラクトスは尋ねた。

「はい。今改良が出来そうな部品を調査しています。今のところビスが三本とボルトが二つ、それと放冷用のファンの羽根がもう少し薄く出来そうです。」

班長は調査書を取り出して、状況をずらずらと羅列した。

「ほお、軽量化か。でもそれじゃあ五倍など到底無理じゃないのか?」

「ガラクトス様。ガラクトス様は『レアメタル』なるものを御存知ですよね?」

「ああ。確かこの太陽系に存在する、現存量の少ない鉱石のことじゃな?」

「その通りでございます。それで先程小さな惑星に降り立って発掘を試みていたところ、この班一番の博識であるヴォルグですら見たことがないという鉱石が見つかったので、今放射線を当てたり、ちょっとだけ削って薬品に浸けてみたりして調査中です。恐らく二日はかかってしまうと・・・」

班長は軽く一礼をして答えた。

「二日か・・・もう少し早く出来んかのお。」

「すみません。班員一同全力で調査を進めていますが、早くなっても三時間程度が限度ですね・・・。」

「そうか。まあそれなら仕方あるまい。なるべく早く進めろよ。」

「はい、それはもちろんでございます、ガラクトス様。」

「よし。それではワシはこれでおいとまするとしようかの。早めに地球の奴らを叩いておきたいからの。できるだけ早く頼むぞ。」

「はっ!了解しました!」







「うおらぁ!」

ドシュウ!ドシュウ!ドシュウ!ドシュウ!

「甘い!」

ズギュウン!ズギュウン!ズギュウン!ズギュウン!


その頃サミュエルさんとアナハイムは激しい戦闘を繰り広げていた。彼が弓を放てばアナハイムが銃弾でそれを打ち落とし、また彼が撃てば、サミュエルさんは弓でそれをかわしていた。


「くそっ!これじゃあ埒があかねえ!それならこれでどうだ!くらえ!スターダスト・アロー!」

そう言って彼が一本の矢を放つと、その矢が無数の光となってアナハイムの体を掠めていく!

ビシュッ!ビシュッ!


「くっ・・・。お前、なかなか。しかし、俺、効かぬ。」

そう言い放つ彼の体には確かに傷はいくつも付いていたが、血が全く流れていない。あの量の矢を全てぎりぎりでかわしていたとでも言いたいのだろうか。

「今度はこちらから。」


ズギュウン!ズギュウン!


彼は二発の銃弾を放った!しかし弾のスピードが物凄いゆっくりなのだ。いくら操っているとはいえ、何の目的があるのだろうか。サミュエルさんにはさっぱり分からなかった。しかしその時!

カッ!

その閃光で彼は瞬時に察知した。狙いは俺ではないと。

「タレーランさん!危ない!」

彼は咄嗟にそう叫んでいた。そうである。彼の銃弾は彼女目掛けて飛んでいたのである!


「くっ・・・くそったれ〜!!!」


ブアアアアッ!

フッ。

彼の特殊能力、感情を炎に変える能力で何とか最悪のケースは防ぐことができた。

「だ・・・大丈夫ですか?」

彼は素早く彼女に駆け寄った。

「ほお。そんな、彼女、大事か。」

アナハイムが腕を組みながら嘲笑した。

「くだらぬ。戦場、そんな想い、役立たない。」


「ふざけるな!彼女は俺が初めて大切にしてやろうと思った女だよ!大事に決まってるだろうが!俺はあの時彼女の両親が守れなかったことをずっと心苦しく思ってた。だけどもうそんな思いはしたくないんだ。俺は絶対に彼女を守る!だから俺はたとえ規則に反したとしても、絶対にお前を倒〜す!」

サミュエルさんは吠えていた。彼の目には怒りに満ちていた。そしてその背後には激しい炎が燃え上がっていた。

「・・・タレーランさん、いや、タレーラン。」

「な・・・何ですか?」

彼女の顔が少し赤くなった。

「この空間から脱出してください。今からここはある意味ですごいことになるでしょう。そうなった時にはさすがに俺でもあなたを守れる自信がありません。これはこの空間用のホログラムキーです。大丈夫です。俺は必ずあなたの下に戻ってきます。だから・・・今はここを出てください。」

サミュエルさんが重い表情で語った。

「そんな・・・嫌です!あなたを置いていくことなんて・・・」

「タレーラン!ここを出るんだ!俺はきっと戻ってくる。そうしたら、けっ・・・結婚してくれないか?」

彼は必死に照れる心を抑えながら言った。

「えっ・・・。」

タレーランさんは二の句が継げなかった。あまりに突然だったからだ。彼女は少し考えてから、

「・・・はい。」

と頷いた。そうして彼女は彼からホログラムキーを受け取ると、彼の頬に少し背伸びをしながらキスをした。それから泣きたい気持ちを抑え、その空間を後にした。




「さて、そろそろのはずなんだけどな・・・」

中濱はホログラムキーの様子を見ながら言った。

「確かに行きより時間かかってんな・・・。本当に大丈夫なのか?」

俺は不安になったので中濱に尋ねてみた。

「ああ、多分平気だと・・・おっ、着いたみたいだな。いいか?恐らくそこに入った瞬間に戦闘開始だからな。」

中濱がホログラムキーに手をかけながら言った。

「ああ、分かってる。」

俺もそれに小さく頷いた。

「いくぜ!」


フッ。



こうして俺達が出てきたのはアナハイムのアジト・・・ではなかった。出てきたのは中濱の家の裏にある小さな喫茶店、

「LIVE」の前だった。

「LIVE」は俺達が通っている高校生がよく訪れる喫茶店だ。メニューも豊富で、安くておいしい、高校生には大変ありがたい店だ。さらにここのマスターは俺と同じ道場の人だから、時折こっそりおまけしてくれたりすることもある。

けれども今日はそれどころではない。一刻も早くタレーランさんを救わねばならない。

「おい、中濱!何ミスってんだよ!俺達は今こんなところに用事は・・・」

そこまで俺が言いかけたその時だった。


「う・・・ひっぐ。うぅ・・・ぐすっ。」

どこかで聞き覚えのある声で泣きじゃくる人がいた。この声は間違いない、タレーランさんだ。

「!?この声は・・・。中濱!こっちだ!」

俺達はその声を頼りに進んでいくと、予想通りタレーランさんが地面に力無く座り込んで啜り泣いていた。


「タレーランさん!?あれ、アナハイムとかいう奴に捕まってたんじゃ・・・?」

俺はなおも泣き続ける彼女に駆け寄り尋ねた。

「えぇ・・・ぐすっ。でも、でも・・・サミュエルさんが・・・ひっぐ。」

「何だって!?サミュエルさん、仮にも味方の人間に手を出しやがったのか?」


全くもって無茶をする人である。そんなことしたら、たとえ生きていようが死んでいようがガラクトスの奴が現れて殺されてしまうではないか。それではラグナシア(ラグナシアとの話は第16・17章を参照)の二の舞になってしまうではないか。そして、明らかに愛していたタレーランさんを悲しませるだけではないか!


「わかりました。タレーランさん。確かそれ、サミュエルさんが持っていたホログラムキーですよね?」

中濱が尋ねた。

「えぇ。渡すから・・・お願い・・・ぐすっ。彼を・・・ひっぐ、助けて・・・ひっぐ。」

彼女は涙を拭うと、そっと中濱にホログラムキーを渡した。

「任しといてくださいよ!絶対生きて連れて帰ってきますからね!」

中濱はいつもの純粋無垢な笑顔で答えた。


「よし・・・いくぜ、中濱!」

「もち!」

カチッ。

シュオオオオオオ!




「お前、なかなか。でも、これまで。さら・・・」

「させるかあああぁぁ!」


バゴオオオオ!


亜空間から出たと同時に中濱はアナハイムらしき人物に全力で拳をぶつけていた!

「っしゃあ!どうだ!」

中濱が吠えた。


「大丈夫ですか、サミュエルさん!」

俺はサミュエルさんに駆け寄った。見ると、彼の身体はボロボロに傷ついている。しかも血が滴り落ちて、服が真っ赤になっていた。

「ああ・・・、大丈夫・・・だぜ・・・。」

とか言ってる彼の目は半分死んでいる。

「どこが大丈夫なんですか!?俺達が助太刀するから・・・」

「いや、待て。この勝負は俺の戦いだ。一切手を出すな。」



果たして、彼が俺達の助太刀を拒んだその真意は!?

To be contiued...

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