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第38章:拉致

はい、どーも。作者です。PVが6500に到達したので投稿しました!執筆スピード的には7000で投稿しようかな、とか考えてましたが、結局投稿しました。ここからタイトルは変わっていくものの、長編、アナハイム編が始まります!ちなみに今も続いています。楽しみにしていてくださいね。それでは本編をお楽しみ下さい。

前章で盗聴器を付けながら下の様子を伺っていた俺と中濱は、後から来た重傷のサミュエルさんが信じられないでいた。そして彼の口から出た一言は、

「か、彼女がさらわれた・・・!」


俺はその言葉を聞いた途端、心の底から

「絶望」の念が沸き上がってきた。

「ちょっと・・・どういう、じゃなかった。その前に手当しなくちゃ!」

俺はタレーランさんからこっそりくすねておいた、強化治療虫を取り出して、彼に振り撒いた。ちなみに威力は実体験済みだ(第29章参照)。すぐ回復するが、それに伴う痛みがやばい。常人なら確実にのたうちまわる。

「お前、それって・・・!」

「ああ、それだよ!」

「!?グアアッ!」

サミュエルさんは顔をしかめながら必死で我慢していた。



しばらくして、ようやくサミュエルさんの容態が落ち着いた。

「サミュエルさん?今なんか凄いことを言ってましたが?」

「ああ、彼女がさらわれたんだよ!俺としたことが!くそっ!畜生・・・!全然守ってやれてねえじゃねえかよ・・・!」

サミュエルさんの目には熱いものが浮かんでいる。物凄く悔しいことくらいはすぐに見てとれた。


「それよりもサミュエルさん。まずは助けに行くことが先決ですよ!誰がさらっていったかくらいは見当ついてるでしょ?」

中濱が彼を慰めながら言った。

「ああ、アナハイムの野郎だ。最近十二魔将に入ってきた新参者だ。」

アナハイムは銃弾を自在に操ることができる(第8章参照)、元人間だ。それだが悪魔と取引をしたツワモノである。確かによくよく思い返してみると、サミュエルさんの傷は銃創に違いなかった。

「それじゃあどうやって彼は一人でさらったんですか!?破廉恥もいいとこじゃ・・・イダァ!」

ガン!


「バカ!そんな事を考えている場合か!?彼女の命が懸かってんだぞ?」

俺は中濱の後頭部目掛けて鋭いツッコミを叩き込んだ。

「つうぅ・・・!お前、最近どんどんツッコミレベルが上がってきてねえか?」

中濱は後頭部を両手で押さえながら言った。

「当たり前だろ。お前のその数々の爆弾発言を止めるのに1番手っ取り早いから使ってたら、結局熟練の腕になってきたってことだ。」

俺は得意げに言った。

「それで・・・彼女が一体どこに行ったか分かりますか?」

「ああ、それが・・・全く掴めていないんだ。」

彼はそう言うと、がっくりとうなだれた。


さて、困った。居場所が解らなければ助けにもいけないではないか。俺達は考えた。けれどもなかなかそれに見合う場所が出てこなかった。

そんな時だった。

「そうだ!なあ、確かタレーランさんってどこかの組織に入ってたよな?」

中濱が何か閃いた感じで言った。

「ああ、オニキスのことね。でも、それがどうかしたのか?」

俺はその彼の表情が不思議でたまらなかった。

「彼女の宇宙船に乗り込んで、組織の連中と連絡を取る。」

中濱が言い出した。俺はその言葉が信じられなかった。

「はあ?お前、それでどうするつもりだよ。」

「分かってないなあ、お前。組織の人間なんだから発信機の一つや二つくらいついてるに決まってるだろ?」

彼はなぜか誇らしげだった。こういう時の中濱の推理は100%と言っていいほど当たらない(たまにまぐれで当たることがあるが・・・)しかし今回はまぐれの方ではなかったようだ。

「分かってないみたいなのはお前の方だぞ、中濱よ。」

「な、何だと!?」

「考えてもみろよ。宇宙船にそういうものを付けてるというのなら確かに合点がいく。でも組織として組織員に発信機を付けるほど・・・あっ。」

失敗した。中濱の言うことはある意味功を奏すかもしれない。

「どうやら分かったようだな。無線の逆探知という手があるだろ?」

中濱に再び笑みが零れる。

「決まったみたいだな。よし、早速作戦開始だ!」

とサミュエルさんが立とうとすると、

「あ、サミュエルさん。ちょっとタンマ。」

中濱が彼を制した。

「あなたは彼女の宇宙船には行かない方がいいかもしれません。」

中濱はいつになく真剣な表情で言った。

「おいおい。冗談はよしてくれよ。いきなり何を言い出すんだ?」

サミュエルさんは軽い冗談だと思い、あまり真剣に受け止めていないようだった。


「いやいやサミュエルさん。俺達はそうは思っていないですけど、オニキス側からしてみれば、仮にもあなたは敵対すべきガラクトスサイドの人間ですよ?もしオニキス側と会ったりするときに行ったらどうなるか。それくらいはあなただって解るでしょう?」

中濱の目から『優しさ』が消えた。それは裁判で検察側が被告を問い詰めるような目だった。

実際俺は一度だけ裁判というものを見たことがある。中学の時の職業体験で裁判所に行ったときに、大麻所持者の裁判を見たことがあったが、その時の検事さんの目がちょうど今の中濱の目そのものだった。


「そ・・・そう・・・だな。分かった。敵のアジトを襲撃するようなことになったら言ってくれ。あと一つお願いがあるんだが・・・。」

サミュエルさんは渋々頷いた。

「え?何かあるんですか?もしかして・・・?」

俺は彼の解答が少し楽しみだった。

「そのあとの突入する時は参加させて貰えないかな。俺は彼女を助けたい。」

彼の目は光に満ち溢れていた。

俺達は顔を見合わせて静かに頷いた。

「分かりました。それじゃあサミュエルさんはここで待機してて下さい。」

「分かった。さて、作戦開始だ!」

そう彼が言うと、俺と中濱は店を飛び出した。




「ガラクトス様!アナハイム様が無事、タレーランを捕獲することに成功した模様です!」

諜報班の班長が叫んだ。

「ほぉ、あやつもなかなかやるではないか。このままうまくいったらボーナスも弾んでやらなければな。」

ガラクトスの顔には不敵な笑みが浮かんでいた。

「おい、班長。」

「な、何でございましょう、ガラクトス様。」

「十二魔将を集めておけ。アナハイムは任務途中だから別によいぞ。」

彼が十二魔将を集める時は必ず何かある時だ。

「はっ!了解しました!」

班長はいつものようにビシッと敬礼すると、船の最下層にある、諜報室へと駆け降りていった。そして彼らの体にについている発信装置へ一斉に電波を送った。それと一緒に、

「十二魔将の皆様全員にお伝え致します。今日の今から1時間後に、船長室にて緊急会議を行います。いつもの通り、必ず出席をお願いします。なお、アナハイム様は重要任務遂行中のため参加しなくてよろしいそうです。繰り返します。・・・」

という班長からのメッセージも添えた。

そうして役目を終えた班長は、また班員をしごくために現場へと戻っていった。




そして俺と中濱が店を飛び出して10分後、二人はタレーランさんの宇宙船に着いた。よくよく考えてみるとホログラムキーを使う手もないこともなかったが、その手を使うと変身用のエネルギーを余計に使わなければならないから、むしろこっちの方が安全といえよう。

「さて、まずは扉の鍵を開けなくちゃな・・・」

ガチャッ。

開いた。いいのか、こんな簡単に開いて。少し無精過ぎやしないだろうか。

「・・・まあいいや。とりあえず中に入ろうか。」

そうして俺達は中に入っていった。


中はこぢんまりとはしていたが、かなり散らかっていた。どうやら荒らされてしまったらしい。

「中濱!とりあえず交信用の無線を探すぞ。」

「合点承知の助と来たぜ!」

中濱はドンと胸を叩いた。というか中濱よ。また死語が来たな。当たり前田のクラッカー以来だぞ(第17章参照)?

とにかくそんなことは気にしてられない。とりあえず奥に進んでいこうとするが、洗濯物とかが山積みになっていて、とても進める状況ではなかった。そこで俺達はまず彼女の部屋をある程度片付けることにした。犯罪かと思う人もいると思うが、はっきり言おう。そんなつもりは全くない。


程なくして、とりあえず通り道を作ることに成功した。

「ハア・・・ハア・・・。さて、やっと交信出来そうだ。」

こうして俺達はようやく交信機のところまでたどり着いた。


交信機は地球では恐らく100年くらい経たないと作れそうもなさそうな作りだった。フォルムも結構かっこよかった。でも操作は俺達でも解るくらい簡単だった。

「えーと、ここを押すんだな?」

ポチッ!

ジジジジ・・・

中濱が手前にあった赤いスイッチを押すと、一昔前の八ミリフィルムが動き出すかのようなレトロな音と共に動き始めた。

「はい。こちらブラッド・オニキス本部。会員No.025、タレーランですね?」

綺麗な女性の声がした。

「それが違うんです。僕は中濱晋也と言います。いきなりの無礼で申し訳ありませんが、会長と代わって貰えますか?」


何を言っているんだ、と思った。会長と掛け合うつもりなのだろうか。逆探知くらいなら普通の人に頼めば問題ないはずだ。

「あの、会長は今会議の途中でして・・・。タレーランがどうかなさったんですか?」

中濱との交信に対応していた女性の声が少し上擦り始めた。

「いや、それがあの・・・アナハイムとか言う十二魔将の奴に掠われまして・・・。」

「な、何ですって!?」

「だから会長にお会いして直接お話がしたいんです!お願いします!」

中濱は見えない相手に深々と一礼した。

「・・・分かりました。会長はもうすぐ会議から帰ってくると思いますので、もう少しお待ちを・・・」

「あぁあ、やっと終わったわい。全く役員の堅物どもめ・・・。」

彼女の言葉を遮るように、渋い老人の声が聞こえてきた。

「か、会長!?今交信中ですから!」

突然話を遮られた女性は必死で場を取り繕うとしているようだった。見えなくてもそれくらい分かる。

「なぁんじゃ?誰と交信しとるんじゃ?」

「いや、それがかくかくしかじかで・・・。」

彼女はどうやら会長らしき人物に状況を説明しているらしい。

「な、なんじゃと!?とりあえずワシと代われ!」

「は、はい。」

そうして彼女は会長と代わった。

「おぉ、すまぬ。ワシはブラッド・オニキス本部会長のトルムじゃ。御見苦しいところを見せて、済まなかったのう。」

会長は独特のしわがれ声で言った。

「は、はあ・・・。」

流石の中濱もたじろいでいる。

「それよりもだ。ワシと会って話がしたいようじゃな?」

会長は聞いてきた。

「は、はい。」

中濱も俺も二人同時に頷いた。

「わかった。今そっちに転送装置を繋ぐからな。そのマイクをしっかり握っておけよ。」

俺達は言われるままにマイクをしっかりと握った。このあとの展開は何となく予想がついていた。

「えっとここをこうしてだな・・・よし。準備はいいか?」

「はい!」

「よっしゃ!GO!」

ガチャッ!

シュオオオオオ!

「う、うわあああああああ!」

はたして、二人の運命やいかに!?

To be continued...

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