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第37章:秘密

はい、どーも。作者です。久々の投稿です。実はここででてきた話、後々重要になっていく(というかする)予定です。ちなみに今まで書いてきた章には出てきてませんが、そのうち出そうかなと考えています。それでは本編をお楽しみ下さい。

前章でサミュエルさんの口から語られた、

「君は地球人ではないかもしれない」発言に、俺は戸惑いを隠せないでいた。


「それじゃあ、『裏付け』って一体何なんですか?」

中濱が少し考え込んでから聞いた。

「ああ。実は君の中に、絶滅したはずの『もう一つの人類』の血が流れている可能性が高いんだ。それからこれはあくまで俺の憶測だが・・・、君は一度でも伝説のキノコを食べたことがあるんじゃないかな?」

サミュエルさんは俺に問い掛けた。俺はその時思わずハッとなった。

「どうやら心当たりがあるみたいだね。」

俺の表情を見たサミュエルさんは更に話を続けた。

「それじゃあ俺と中濱君に、その時のことを話してくれるかな?」

「はい・・・。」

彼の促しに、俺は静かに頷いた。


「実は俺、小さい時に、何度か家出したことがあったんです。その時の話なんですけど、確か小三くらいだったと思います。夕方に家出して夜になって、俺はもうお腹が空いてふらふらしてたんです。そしたらキラキラ光る、綺麗な石を見つけたんです。あまりに綺麗だったから拾ったら、いきなりそれに吸い込まれて、気付いたらなんだか変なところに着い・・・あぁ!その時に俺は伝説のキノコを口にしてる!」

「「な、何だって!?」」

二人はほぼ同時に立ち上がった。

「はい、間違いないです。目の前には、なんか門みたいなのと、その奥にはキノコが沢山ありました。僕はお腹が空きすぎていたから、キノコは少し嫌いだけどその門に入って貪るように食べました。」

そう言って、俺は報告を終わりにした。


「な、なんてことだ・・・。」

サミュエルさんは唖然としていた。

「いくら死んで力が弱まっているとはいえ、大魔法使いの結界の中に、そう簡単に入れるはずがない。どうやって入った!?」

彼が真剣な目で語ろうとしたその時!

ガチャッ!

「え、なになに?面白い話でもしてるの?」

扉を開けて入ってきたのは、この空気に来てはならない人ランキング第一位(俺調べ)の、タレーランさんだった。この空気を察すれば、今はそういう空気でないことくらいすぐにわかるはずだ。なのにどうしてそんな質問ができるのか、そこが俺にはさっぱり解らなかった。

そう俺が思っていたら、中濱が俺の肩を突いた。どうやらそういうことらしい。俺は静かに頷き、一芝居打つことにした。


「あ、サミュエルさん、ごめんなさい。腹が・・・イタタタタ・・・。ちょっとトイレ行ってきます。」

そう言って俺は腹を抱えながら二階への階段を上っていった。

「あ、おい!ちょっと待てよ!」

俺が上っていくのを、中濱は後ろからついてきた。

「あ、ちょっとお前ら・・・。」

サミュエルさんが呼び止めようとするのを、俺達は振り返らず駆け上がった。そのあとの状況は考えずに・・・。




「ハァ・・・。ハァ・・・。こ、これでいいだろ、中濱?」

俺は息を切らしながら尋ねた。我ながら迫真の演技だったが、演技というものはやはりキツイ。主役級の演技は学芸会でもやったことがない。ちなみに学芸会はたいてい浦島太郎でいう龍宮城の魚レベルの役が最高記録だった。しかも台詞なんか当然あるはずがなかった。

「うーん・・・60点?」

中濱は顎に手を当てながら言った。品定めされたこともムカつくが、微妙な点を付けられたことの方がもっとムカついた。

「はあ?めっちゃ微妙じゃねえかよ!あれが俺の最高の演技だぞ!?」

「そしたら、お前は『大根役者』ということに・・・?」


グサッ!


俺の心に強烈な一発が突き刺さった!『大根役者』はいくらなんでも酷いだろ。

「なっ・・・!お前が言うからやったんだろ!?それで駄目出しとか酷すぎるぞ!?」

俺は中濱に一歩詰め寄った。

そもそもこんな演技をせざるを得なくなったのは、中濱の機転のせいもあったが、一番悪いのは間違いなくタレーランさんだろう。タイミングが悪すぎる。せっかく俺の呪いの秘密に近づこうとしていたのに、それを中断せざるを得なくなったのだから。


「まあいいや。こっちはこっちで話を進めようぜ。下は二人に任せておけば大丈夫だろう。」

俺は中濱にそう提案した。

「・・・それもそうだな。あっちはほっといてもなんとかなるだろう。」

彼は少し考えたが、俺の提案に応じた。


「まず・・・中濱。聞いておきたいことがあるんだ。」

俺は真剣な面持ちで、中濱へと話を切り出した。

「おい・・・、どうしたんだよ、急に。」

中濱が少し驚く。

「その・・・あれだ。もし俺が地球の人間じゃなかったとしても、その・・・友達でいてくれるな?」

俺は言葉を選びながら言った。

「ん・・・どうかな?」

彼の一言に俺は本当に焦った。

「え!?ちょっとお前、冗談だよな!?なあ。冗談だよな!?」

「ああ、冗談だ。」

中濱は普通に答えた。俺はその一言に、とりあえず安心した。


「そうか・・・ありがとう。非常にありがたい。それじゃあ本題に話を移すけど・・・。」

「あ、ちょっとタンマ!」

俺が本題を切り出そうとすると、中濱が突然俺の話を遮った。

「ど、どうしたんだよ、急に。」

「いいのか?あの二人をほっといて。」

そう言って彼は一階を指差した。

「え?どうして?」

俺は彼の言葉の真意がよく解らなかった。

「だぁから!このままほっといたらあんなことやこんなことをし兼ねないぜ?」

「いや、そもそもお前があの方達を二人きりにしようと言い出したんだろ!?」

でも中濱のいうことは確かに一理ある。ただでさえエロい女とそいつが気になる男を野放しにしておいたら、流石にそれはそれで危険な気がする。

「・・・仕方ない。あれの出番か。」

そう言うや否や、彼は押し入れの戸を開けて、何やら捜し始めた。

「えーと、これじゃなくて・・・これでもなくて・・・あった!これならなんとかなる!」

そう言って彼が持ってきたのは、なんと盗聴器だったのだ!


「えぇ!?お前も持ってたのか!?」

そこまで言って俺は声を押し殺した。

「まあな。でもお前のみたいに安物じゃねえ。こっちが聞いてるのがばれないように、骨伝導マイクを使えるように改良してもらった。お年玉をはたいてな。」

骨伝導マイクとは奥歯辺りに仕込んでおくマイクのことで、その名の通り、骨が振動することによって聞こえる。それによって回りには盗聴しているのがばれにくいという代物である。

「す、すげえ・・・。」

「まあ、俺もこれ使うのは初めてなんだけどな。それじゃあ早速やってみるか。おい、畳のそっち側持ってくれ。」

俺は言われるがままに畳の縁を掴んだ。


「よし、いくぞ!」

ガタッ!

畳を持ち上げると、そこから天井裏に出られるようになっていた。

「ちょっと待ってて。えーと・・・。ここらへんでいいかな。」

カチャカチャ・・・

「よし!」

中濱が盗聴器をセットし終えて戻ってきた。

「ほれ、これを付けとけ。」

そう言って中濱から渡されたのは、奥歯に付ける金歯みたいな奴だった。どうやらこれがマイクらしい。

「ああ、分かった。」

俺は言われるがままにそれを取り付けた。


「まあ、下は危なくなったときに止めればいいから、こっちはゆっくり話をしようじゃないか。」

中濱はドッカとそこに座った。


「さて、まずはサミュエルさんが言っていた『もう一つの人類』っていうのは一体何なんだ?」

俺は1番気になるワードを切り出した。

「うーん・・・。考えられるのは、別の銀河に地球と同じような星が存在していたと考えるのが自然だな。でもそうすると二つ問題点が出てくる。一つは、何故その星は滅亡したのか。そしてもう一つは、仮にお前がそうだとしても、それじゃあどうやって生き延びたのか。」

中濱は熱く語った。俺はいつものことだが、深く感心していた。とにかくあいつの推理力には頭が下がる。

「んで、中濱は考えがまとまっているのか?」

「まあな。一応持論はあるぞ。」

「教えてくれよ。」

俺は期待の眼差しで話を聞こうとした。しかしその期待は後に大きく裏切られることになる。



「まず星が滅亡したことは二つのことが考えられる。何かしらの気候の変化、例えば異常気象とかで作物が絶滅して飢え死にしていった。それともう一つはお前でも分かるだろう?」

中濱の言葉に、俺はすぐに察しがついた。

「ガラクトス・・・だろ?」

「その通り。」

中濱は日曜の昼からやっている某クイズ番組の司会者風に答えた。正直この地点でぶん殴ってやろうと思ったが、それは流石に大人げないので我慢した。

「んで話を戻すけど、どうやって生き延びたかは、おそらくたまたま別の星に行ってたか、本当にその攻撃から生き延びたかのどっちかだろうな。あ、今まで生き残ってきたのかは当然あんなことやこんなこ・・・とぉ!?」

スパーン!

あいつに言わせる前に俺が烈火の如きツッコミでそれを封じた。


「いってえな!何すんだよ!?」

「当たり前だろ!?一応ぼかしてあるけど、そういう刺激が下の連中に伝わったらどうすんだよ!?」

俺は思わず熱くなっていた。それもそのはず。いくら定休日とはいえ店の中でそんなことをやられたら、店の評判はがた落ちするってことに彼は気付いてないのだろうか。

「あ・・・そうだ。確かにそれはまずかったな。」

どうやら彼も気付いたようだ。

「全く・・・。自分ちの店じゃないかよ。そのくらい頭を使えよ。期待した俺が損したみたいじゃねえかよ。」

俺は深くため息をついた。


「でも・・・確かにその理論は合ってるかもな。あ、でも待てよ。仮に生き延びていたとするなら、資料の一つや二つあってもおかしくないんじゃないか?」

俺はそこが少し気になっていた。

「お前なあ。資料なんか残してたら、敵に捕まるに決まってるだろ?」

「ああ、それもそう・・・。」


「あれえ?こんなとこで何してるのかなぁ?」

シュカッ!

一本の矢が俺達の目の前を凄まじいスピードで駆け抜けていった。こんなことをするのは一人しかいない。

「サ、サミュエルさん!?ちょっと危ないですって!」

「・・・」

しかしサミュエルさんの表情は一つも崩れていない。それどころか、後ろから鬼というか不動明王のごとき怒りを感じる。

「わ、わかりました!俺が悪かったです!すみませんでした!」

俺はそのあまりにも巨大な危険性を知っているので(第30章参照)、素早く、かつ全力で土下座をした。

「お、おい。いきなり何をして・・・」

「ばか!お前も早くやれよ!」

俺はたじろぐ中濱を小声で促した。

「わ、わかった。ほんとごめんなさい!」

ようやく状況の呑めた中濱が俺に続いた。

「あ、悪かった。それが実は・・・クッ!」

よくみるとサミュエルさんの脇からは血が滲んでいた。

「ちょっと!一体何があったんですか!?」


果たして、サミュエルの口から語られる、衝撃の事実とは!?

To be continued...

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