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第35章:本音

はい、どーも。作者です。ユニークの方が2000の大台を突破しました!これだけの読者の方が読んでくれてることを大変光栄に思います。これからもガンガン書いていくので、応援の方をよろしくお願いします!それでは、本編の方をお楽しみください。

前章で何やら暴走しまくっていた俺は、中濱にその暴走を止めてもらった上に、家にまで泊めてもらっていた。


ドタドタドタドタ・・・


俺は階段を駆け降りると、そこには厨房で支度をする中濱の姿があった。辺りには葱のいい香りがする。

「おっ、中濱。早速作ってくれてるのか?いつもありがとうな。」

俺はカウンター席に座った。

「あ、いや、いいんだ。俺は料理が好きだからな。」

中濱は中華鍋に油を引きながら答えた。


しばらくして、中濱は麻婆豆腐と、お粥を出してくれた。中濱にしては結構珍しい取り合わせだったが、なにしろ三日間何も食べていなかった俺にとっては、それはそれは至福の味だった。


「ああ、中濱。そういえば、お前に一つ相談したいことがあったんだ。」

俺はお粥を啜りながら言った。

「ん?聞きたいけどお前なあ、飯食いながらはやめろよな。」

中濱は少し呆れながら答えた。

「あ、わりいわりい。実は・・・これのことなんだ。」

俺はお粥の丼をテーブルに置くと、懐から盗聴器を取り出した。

「おいおい、それ、盗聴器じゃねえか!どうしてお前、そんなもんを手に入れたんだ!?」

中濱は結構驚いた様子だった。

「ふっふっふ。滝口だよ。」

俺は不敵な笑みを浮かべながら答えた。

「何だって!?滝口、そんなもん使ってたのか!?あいつ、犯罪もんだろ、それ。」

中濱は更に驚いて、かなりパニクっていた。


滝口とはうちのクラスにいる、女たらしのことだ(第10章参照)。これがばれたら奴の人生は一気に変わってしまうであろう。


「だからばらさないようにという約束で、作り方を教えてもらってきたんだよ。」

「なるほどねえ。んで、お前、それを出したってことは・・・?」

「ふっふっふ。一仕事してきたんだよ。このテープの中にはサミュエルさんとタレーランさんの会話が入ってるんだけど・・・。タレーランさんはどうやらサミュエルさんに惚れてるらしい。」

そうである。俺は三日前、サミュエルさんがタレーランさんを誘い、実は両親が殺された時に自分が立ち会っていたということを打ち明けていたのを、全てテープに収めていたのである(第29・30章参照)

それでその結果、俺はデリンジャとかいう十二魔将の一角に遭遇してしまったのである(第31章参照)

「はあ?お前何を根拠にそんなこと言えんだよ。」

中濱はまだ状況を飲み込めていないらしい。

「バーカ。このテープを聴いてからその言葉を言えよ。いくぜ!」

俺はラジカセのスイッチを押した!

ガチャッ!

ジ・・・


テープにはその一部始終がしっかりと収められていた。


「なあ、これのどこが・・・」

「シーッ!よぉく聴いとけ!」


そして、テープはサミュエルさんがタレーランさんに真実を告げた場面になった。

そしてタレーランさんが気を失って・・・。

そいでもって彼女が目を覚まして、何故助けたのか尋ねると、

「ああ、あの時は君の健気な瞳を見て心を打たれたからだよ。つまり、君が僕をあそこまで突き動かしたんだ。」


「うっわ、くせえ台詞!」

中濱は結構引いていた。


それで彼女が泣き出してサミュエルさんの胸に抱き着き・・・。

「お願い。このままでいさせて・・・!お願い・・・!」


ガチャッ!


「とまあ、こんなもんだ。」

俺は少し得意げに言った。

「・・・それで?」

俺はその台詞に愕然とした。

「お、おい。ちょっ、何を言ってんだよ!この状況を聴いて、何にも感じないのかよ!」

「・・・だって、どう考えたってそこから恋に落ちていくと断定出来ねえもん。」

中濱は鍋を片付けながら言った。

「ど、どうしてだよ!?」

俺は中濱に質問を重ねた。

「だってお前、よくよく考えてもみろよな。まず、二人とも過去に何か深い傷を負っていることは確かだ。それを慰め合うことは至極当然なことであって、そこから恋に発展するのは微妙じゃねえか?」

中濱はそう説明した。言われてみればその通りである。

「まあ・・・くっつけることには賛成だけどな。」

彼は笑顔で付け加えた。

「だろ!?だろ!?じゃあお前も協力してくれ・・・」

俺がそこまで言いかけたその時、

ガチャッ!

「ほほお。誰をくっつけるって?」

扉が開くと、そこにはなんと、サミュエルさんが立っているではないか!


「うわぁ!サ、サミュエルさん!一体どうしたんですか?」

俺は素早く盗聴器を隠しながら言った。全く、なにもかもが最悪のタイミングである。

「!?おい、今何を隠したのかな?」

・・・どうやらサミュエルさんに気付かれたらしい。

「さ、さあ・・・僕は何も・・・ってちょっと!」

俺が白を切ろうとすると、彼は鬼の形相で弓を引いていた。しかも回りには凄まじいオーラまで感じられた。

「わ、分かりましたよ!正直に喋りますよ!」

俺は素直に降参することにした。店の中でのカプセル使用は危険だし、更に今こんなシチュエーションで怪我するのもあほらしくてしょうがない話になってしまうからだ。


「実は・・・こういう事なんです。」

俺は盗聴器を差し出すと、その夜のことを事細かに説明した。




「ほほお。つまり、君が仕掛けたと。」

そう言うと、彼は席を立った。そして近くに置いておいた弓をゆっくりと引き絞り始めた!

「うっわ、ちょっ、止めてくださいよ!ごめんなさい!ほんっとごめんなさい!仕方がなかったんですよ!」

俺は必死で謝った。

「仕方がなかったって?犯罪だよ?」

サミュエルさんは燦燦とした笑顔でこちらを見ている。その笑顔が逆に怖い。

「だから、確かめたかったんですよ!あなたがタレーランさんに気があるかどうか!」

そう言って俺は言ってはいけないワードを出してしまったと思った。

「え・・・?」

シュカッ!

サミュエルさんの気が緩んだ途端に、引き絞られていた矢が飛んできた。俺はそれを何とかかわした。

「ちょっと!危ないじゃないっすか!普通の人だったら確実に死んでますよ!?」

「あ、いや、すまない・・・。」

彼の顔が真っ赤になっている。どうやら図星らしいが、いくらなんでも単純過ぎるだろう、と中濱も思っていたに違いない。その証拠に、明らかに目がキョトンとしている。


「ははあ。さてはサミュエルさん、図星ですか?いよっ、この色男!」

中濱がからかった。

「おい、よせ。」

すかさず俺は彼を制した。

「いや、いいんだ。まあ、座ってゆっくり話そうじゃないか。」

俺とサミュエルさんはそのままカウンターに座った。中濱もその隣に座った。


「それにしても・・・。まさかそうだったとは・・・。」

俺はわざと驚いた風に見せた。

「一体彼女のどの辺に惚れ込んだんですか?」

中濱がインタビュアーみたいなノリで聞いた。

「違うんだ。惚れ込んだんじゃなくて、ただ・・・気になるだけなんだ。」

サミュエルさんは続けた。

「こうして改めて巡り逢えたってことは、きっと何かのお引き合わせなんだろうね。それにそりゃあ、彼女は確かに魅力的だ。けれども・・・怖いんだ。」


サミュエルさんから出た意外な一言に、俺達は思わず答えを探してしまった。

「えっと、怖いって・・・何故?」

俺が恐る恐る聞くと、

「いや・・・、俺は一応ガラクトス一味から逃げてきたし、第一彼女の過去の記憶にもいるんだ。当然奴はあらゆる手を使ったり、諜報班の力を借りて、俺を狙ってくるに違いない。それに彼女を巻き込みたくないんだ。彼女まで傷つく必要なんてないんだ!」

彼は語気を強めた。

「でもサミュエルさん。あなたは自分の気持ちに嘘をつくつもりですか?それでいいんですか!?」

そこに中濱がすかさず割って入った。

「だぁから!気になるだけだって言ってるだろ!?別に・・・俺は・・・。」

そこでサミュエルさんは口をつぐんだ。何だか段々重苦しい空気になってきた。

生来、俺はこういうムードが苦手、というか嫌いだ。過去にもフラれた後の中濱との会話でなったことがあるが(主人公の過去の恋愛については第20章参照)、それ以上かもしれない。何せ命がかかっているのだ。それも仕方ないのかもしれない。


「あ、それにしてもサミュエルさん。今日は何か用事があって来たんでしょ?」

俺は話を切り替えようと、彼に話を振った。

「あ、そうだった。用事が三つあって来たんだ。一つ目が・・・これだ。」

サミュエルさんは懐から地図みたいなモノを取り出した。

「何ですか?これ・・・。なんか地図みたいですけど・・・?」

俺と中濱はそれを覗き込んだ。その地図には、何やら船を中心として、色々な星の名前と方角が記されていた。

「そうだ。これはガラクトス一味の中でもLEVEL5以上の戦闘員にしか配られない、通称『船紙』だ。『船紙』というのは、今ガラクトス一味の船が全宇宙のどの辺を航海しているかとか、どの辺の星を襲撃するのかが、諜報班の手によって事細かに調べられて、そのデータがここに送り込まれているんだ。」

サミュエルさんはそう説明してくれた。

「へー・・・。でもサミュエルさん。『諜報班』って、一体何者、いや、どんな組織なんですか?」

中濱は彼に聞いた。

「どんな組織・・・。ごめん。それは俺もよく分からないんだ。何しろ、水面下で動いている組織だからね。」

サミュエルさんはため息をついた。

でも俺はそういう班の存在が分かっただけでも、十分な収穫だと思った。


「さて、二つ目の話だ。二つ目はその一味の話。それが・・・奴らはどうやら地球に向かって来てるらしいんだ・・・。」

そこまで言うと、彼は唇を噛んだ。その言葉に俺達は激しい慟哭を覚えた。

「な・・・まさか・・・。」

俺は二の句が継げなかった。中濱も口をあんぐりと開けている。

「そうだ。これをよく見てくれ。」

サミュエルさんは『船紙』を指さした。

「今、奴らの船は地球のある隣の銀河にある。そしてその船は着々とこの銀河の果てに向かっているんだ。この船は確か一日で一億光年進むから・・・、この位置だとちょうど半年後には地球に着くな。」

サミュエルさんは淡々と説明してくれたが、それはかなり大事ではなかろうか。


「そ、それじゃあ、後半年でガラクトスの連中は地球を破滅させる気なわけですか!?」

「まあ、そういうことになるな。」

そんな簡単に言うなよ、と俺は思った。

「半年!?それじゃあ後半年で、地球はガラクトス一味の容赦ない襲撃を受けてしまうんですか!?」

俺はバン!と机を叩いた。

「まあ、そういうことになるな。だから、それを阻止するのが君達の仕事だ。」

サミュエルさんは俺達に言った。


俺は改めてこの戦いの重大な使命を感じた。この戦いは俺達だけのためではない。地球人全てのために戦っているんだ。それだけは忘れないようにしようと思った。


「それじゃあサミュエルさん。三つ目は・・・?」



この時、サミュエルの口から驚きの言葉が飛び出す!

To be continued...

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