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第34章:暴走(後編)

はい、どーも。作者です。久々にアクセス解析をかけましたところ、PVが5500を大幅に超えてました!いやあ、びっくりです。という訳で後編を載せました!結構力作です。是非とも読んでくださいね。それでは本編をお楽しみください。

前章で俺こと中濱晋也は、奴(主人公)が禁呪によってなってしまった、

「白きケモノ」の暴走を止めるために、タレーランさんの宇宙船に突入したのだった。


宇宙船の中に入ると、そこには爪と牙が血に染まったケモノと、それを見て恐怖に怯えるタレーランさんの姿があった。

「タレーランさん!大丈夫で・・・」

「来ちゃダメ!」

俺は彼女を助けようとしたが、彼女に制された。

「フ〜・・・。フ〜・・・。」

そのケモノは今にも彼女を襲って、食い殺してしまいそうな勢いだった。

「よしよし。怖くない、怖くないよ。」

彼女は何とかして奴をなだめようとしているらしかった。そうしようと試みるタレーランさんが、俺には天使に見えた。



「ガル・・・ル・・・。」

その気持ちが伝わったのか、ケモノの眼光は段々と光を失ってきていた。この呪いには、どうやら友情とか、そういうものに反応させて弱めることが出来るらしい。



しかしその予想は大きく裏切られることとなった。


「ガル・・・ル・・・ル・・・ウガアアアァァ!」

白きケモノの眼には再び真紅の色が戻り、更に黒いオーラの力が増幅したのか、更に筋肉に迫力がついた!

「タレーランさん、危ない!」

ドシュウウウゥゥ!

俺は一心不乱に炎を放射した!

バチイイイィィィ!

しかし俺の放った炎は奴の黒いオーラにすべて掻き消されてしまった。こ、これじゃ勝ち目なんかあったもんじゃない!俺はそれを察知した。

「ガウ?ガルルルル・・・。」

けれども、何とか彼女からケモノを引き離すことができた。しかしそのせいで、ケモノが俺の方に向き直った。しかも眼の鋭さがさっきよりもより力を増している気がする。

この状態はマズすぎる状況であるということは分かった。俺の背中に、一筋の悪寒が走った。 今まで何度も喧嘩とかしてきたからよく分かるが、こいつは今までとは違った。殺気というよりも、

「本能」という言葉の方がしっくり来る感じだった。

けれども俺がここで引き下がる訳にはいかなかった。親友の命が、更には他の人間の命がかかっているのだ。いくら相手がめちゃくちゃ強いとはいえ、俺にはあのケモノを止めるという重大な使命があった。


「来いよ。表で決着つけようぜ。」

俺はその白きケモノを挑発して、外に誘い出すことにした。

「中濱君!ダメよ!そんなことしたらあなたが・・・。」

タレーランさんが俺の無謀な挑戦を止めようとした。

「タレーランさん、何言ってるんですか。俺はそう簡単には死にませんし、そもそもこのケモノはあいつに変わりないですからね。」


それは俺の素直なキモチだった。たとえ白いケモノになろうとも、カプセルによってどんな姿になろうとも、あいつはあいつのままなのである。少なくとも俺はそう信じていた。

もしかすると俺のこの意見は自己肯定にしか聞こえないかもしれない。けれどもそう信じたかったのだ。だからこそ俺はあいつを助けてやりたいと思えたのだ。



「ガウ?ガルルルル・・・。ウガアアアァァ!」

シュオッ!

物凄い唸り声とともに、奴は俺に突っ込んできた!

ピシィッ!

「ウガァッ!」

ズザザザザアァッ!

俺はそれを素早い反応で受け流すと、白きケモノは自分から地面に突っ込んでいった。

「まだまだぁ!」

ボオオオォォッ!

俺はまだ倒れている奴目掛けて、灼熱の炎を噴射してやった。

シュン!

しかし奴は突然俺の目の前から消え、俺の背後に現れた!

ブオッ!

俺は素早く体を反転させて、奴の攻撃をかわした。しかし、奴の鋭い爪が俺の頬を掠める。

ピッ。

ツーッ。

俺の頬を紅い血が伝っていく。しかしその血も、イフリートの熱い炎で一気に蒸発してしまった。

「ウガアアアァァ!」

「おらあああぁぁ!」

ガガガガガガガガガガガッ!

俺と白きケモノは激しくぶつかり合った。奴の右手が出れば、俺はその右手をぎりぎりでかわし、また俺が攻撃すれば、奴はそれを全て軽やかなステップでかわしていた。

「もらったあ!」

ドガアッ!

その音は、俺の右拳が奴の顔面に突き刺さる・・・前に俺がくらった音だった。

「ぐっ!?」

奴の強烈な一発に俺は少しよろめく。



「ふっ、面白い。あの時もお前とこうして殴り合ったよなあ。それの延長戦って訳だ。」

俺がそう言うと、奴の手が止まった。

「ウ・・・ガウ・・・。」

奴は申し訳なさそうにこっちを見ている。


「殴り合った」というのは、中学時代に些細なことから喧嘩になり、終いには殴り合いの喧嘩になったあげく、最後は両方倒れて病院に担ぎ込まれたことがあったのだ。結局病室のベッドまで隣同士になり、仲直りせざるを得ない状況になったのだった。



「ウ・・・ガウ・・・ガルルルル・・・。ウガアアアァァ!」

ドシュウウウゥゥ!

奴の周りの黒いオーラが更に魂を吸い取って、増幅し始めた。もうこのままじゃ奴が死んでしまう!俺は見るからにそう感じた。どこをどう見ても、明らかに眼が死にかかっているのだ。絶対に死なせない!それだけが俺の心を支えていた。



「ウガアアアァァ!」

ヒュオッ!

ザシュッ!

突っ込んできた白きケモノの爪が、俺の腹の肉をえぐった!

「ぐああっ!?」

俺は思わずそこを押さえ込んだ。そして奴の左腕は、もう大きく振りかぶって、それを振り下ろすところだった。

やばい、やられる・・・!俺の脳裏にその言葉がよぎった。しかし、

ピタッ・・・。

奴の腕が振り下ろされない。不思議なことがあるもんだ、と俺は思った。

「ガア・・・ウガァ・・・。」

奴は何かを堪えているようだった。すると、奴の目から突然、血の涙が溢れ出してきたではないか!


「中濱・・・、中濱!聞こえてるか!?」

しかも、あいつの声が俺の頭に直接響いてきた。

「な、何だ!?お前か!?お前なのか?」

「ああ、そうだ。それでいきなりお願いなんだけど・・・、俺を殺してくれ。」

俺はその言葉を聞き間違えたのかと思った、いや、思いたかった。

「はあ?お前、いきなり何を言い出してんだよ!」

俺は奴に聞き返した。

「頼む!このままじゃ俺の魂はこの黒いオーラに取り込まれちまうんだよ!今苦しくてたまんねえんだよ!ぐっ・・・。だからそうなっちまうと、俺はタレーランさんとかサミュエルさんとか、それからお前まで殺しちまいそうなんだよ!それが俺は怖いんだよ!だからお願いだよ、中濱!俺を・・・ウガァ・・・、俺を殺してくれ!」

奴は必死で、その振り下ろされそうな腕を止めようとしていた。しかしその腕は、激しく震えている。

「おい!誰がお前を殺せるんだよ!!俺にはそんなことできねえよ!今まで一緒にバカばかりやってきたじゃねえかよ!」

俺の眼からも、とめどない涙が溢れてきた。

「ちきしょう・・・、ちきしょう・・・!そんなことできねえよ・・・。」


俺は奴のあんな姿を見てはいられなかった。見ているだけで、俺の胸は張り裂けそうだった。

「どうした、中濱!?頼むよ、殺してくれよ!もう限界だよ!」

奴は言った。確かに、腕はもう上から俺の目線の少し上くらいの高さまできていた。

「いや。俺は絶対にお前を死なせない!生かしたまま、お前の呪いを解いてやる!!!」

俺は奴に心の底から、この台詞をぶつけた。この台詞は俺の自己保身でもあったかもしれない。


「中濱・・・ありがとう。お前ならその言葉を・・・ガウ・・・ウガアアアァァ!」

ブオッ!

奴の腕が俺の目の前で振り下ろされた!

スカッ。

ドガアッ!

俺は素早く後ろに身を退いたが、奴の爪はそのまま地面に突き刺さった!


俺は考えた。このままじゃ埒があかない。どうにかして呪いを解かねば・・・!

その時俺は閃いた!もしかして、呪いの根源だけを燃やすことはできないだろうか・・・?ただ、そもそも根源はどこにあるのだろう?それから、そうすると奴の命をおとしめてはしないだろうか?

そこで俺はある作戦を立てた。しかしこれはとてつもなく大きなリスクがかかる作戦だった。けれども乗り掛かった船だ。やるしかない!!!


「ウガアアアァァ!」

白きケモノは刺さっていた爪を引き抜くと、俺に襲い掛かってきた!


ドスッ!


俺は覚悟を決め、奴の爪を腹で受け止めた!痛い。というかこの世の痛みではない。しかし俺はこれに耐えなくてはならない。なぜなら、こいつはもっと辛い思いの中で戦っているんだから。

ガシッ!

俺は奴の手が抜けないように、しっかりと両手で掴んだ!

「さて、これで決着がつけられるな。おもいっきりいかせてもらうぜ!」


ボオオオォォ!

俺は全力で炎をたぎらせた。あいつをこの忌まわしき呪いから救うため、そして、今ここで呪いを根絶するために!

「うおおおぁぁぁ!」

ボオオオォォ!

俺のからだが真っ赤に燃え盛っている。そして段々と俺の炎が、少しずつ白きケモノのあの黒いオーラを押し戻しているではないか!

「ガル?ウ・・・ウガアアアァァ!」

バチバチバチッ!

しかし奴もオーラを増幅させ、俺の炎を押し返してきた!

「まだまだぁ!いっけええええええ!」

俺は更に力を込めた!

ボオオオォォ!

カッ!

ドゴオオォォン!


俺の炎と奴のオーラが激しくぶつかり合って、大爆発を起こした!


俺は薄れゆく意識の中で、あいつのオーラと、忌ま忌ましい毛皮が消えていくのを見た。どうやら呪いに打ち勝てたらしい。

「ヘヘ・・・やった・・・ぜ・・・。」

そこから先のことはよく覚えていない。



※ここからは再び主人公の視点でお楽しみ下さい。



俺が目を覚ますと、いつの間にかベッドに寝かされていた。

「う・・・ん・・・。ここは・・・?」

「俺の家だよ。」

右を向くと、そこには中濱が立っていた。

「うわぁ!中濱じゃねえか!一体どうしたんだよ!」

どうやら俺は中濱の家に連れて来られたらしい。

「どうしたもくそもあるかよ。呪いがいきなり解けたかと思ったら、いきなり三日三晩寝続けやがって!おかげでお前の親父にめちゃくちゃ怒られたぞ!?」

中濱は少しふくれていた。

「はあ?呪いって・・・あ、あれのことか。」

俺はすぐに合点がいった。

俺はあの時完全に意識が飛んでいたから、何をしていたか正直分からない。

「まあ、生きてたことだし、よしとするかな。」

中濱はため息をつきながら答えた。


「そうだ!なんか腹減ったから、またお前の炒飯が食べたいなぁ。」

俺はさりげなくおねだりした。

「・・・仕方ねえ。作ってやるから下に降りてこい。」

中濱は少し考えてから答えた。俺はその言葉を聞くや否や、すぐに下へと駆け降りていったのだった。


この時、俺はまだ気付いてはいなかった。この呪いの、本当の恐ろしさに・・・!

To be continued...

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