第29章:協力
はい、どーも。作者です。今学校祭で疲れがパないです。眠気がやばいんですよ!さて前フリはさておき、PVが4500を超えました!私、家で一人で勝手に盛り上がってます!嬉しい限りですよ!今度は5000という区切りの数字目指してがんばります!それでは本編をお楽しみ下さい。
前章までタレーランさんの長い過去話に付き合っていただき、本当にありがとうございました。
さて今回のお話は、学校の保健室での、放課後の話です。
キーンコーンカーンコーン・・・
チャイムが鳴り響いた。俺は結局保健室から出て、授業に出ることはできなかった。まあ、あれだけ瀕死のダメージを喰らってる訳だから当然なんだけどね。
ガララッ!
「おい、お前、大丈夫か?」
俺が大怪我をしたという知らせを聞き付けたのか、井伊が物凄いスピードで入ってきた。
「まあ、物凄いイケメンじゃない!もう食べちゃ・・・」
スパーン!
タレーランさんのまさか、というかもはや予想通りの暴言に、俺は井伊に見えないようにビンタをかました。そのせいか、タレーランさんをようやく黙らせることが出来た。
「ん?何だ、今の音は?」
井伊が首を傾げながら言った。
「あ、いやいや、何でもないよ。空耳じゃないか?」
俺はとにかくばれないようにやんわりとごまかした。
「そうか?なら別にいいけど・・・。」
井伊はゆっくりと近くにある椅子に腰掛けた。どうやらごまかせたらしい。いやあ、なんとか助かったわあ。
「・・・あれ?そういえば、おい、井伊。中濱はどうした?」
俺は井伊に問いかけた。
そうである。中濱も俺と一緒に戦ってボコボコにされたが(第22・23・24章参照)、タレーランさんが持ってきていた治療虫で、幸いすぐに回復したのだった。
「ああ。中濱なら・・・『あいつなら多少ボコられても帰ってくるから平気だよ。』とか言って部活行ったぜ。」
井伊は何事もなかったかのように言った。
俺はその話を聞いて憤慨した。政治家がよく使う、
「誠に遺憾でございます。」は正しくこの為にあるもんだ、と思った。
「ああ。それはそうと、お前、怪我は大丈夫なのか?」
井伊は心配そうに言った。
「あ、ああ・・・。まあ、なんとかな。」
俺は淡々と答えた。
「まあ、それなら良いんだけど・・・。じゃあ、心配する必要はなさそうだな。それじゃあ、俺は部活に行くとするぜ。じゃあな!」
そう言い残すと、井伊は早々に保健室を去っていった。
「全く・・・どいつもこいつも酷すぎるぜ。」
俺は井伊が去った後に呟いた。どうして俺はこうも風当たりが酷いんだろうか。もう少し心配してくれても良いんじゃないのか?俺は本当にそう思った。
「アイタタタ・・・。酷いじゃない!か弱い乙女をひっぱたくなんて、男として恥ずかしいと・・・。」
スパーン!
はい、本日二度目〜!お前をかわいい乙女なんて思う奴がどこにいるかよ!俺はそう実感した。
大体自分からそんなこと言うやつには、たいてい夢見てる奴が多いんだよ!俺はそう言ってやろうかとも思ったが、そんなことを言うと、なんだか泣き出しちゃいそうな気がしたので、流石にそれは憚られた。
「もういいわ!もう知らないわよ!」
そう言うと、彼女は赤い瓶を取り出した。
「そ、それは・・・?」
「フフフ・・・。強化した治療虫よ。傷は治りやすいけど、痛みは半端ないわよ。」
彼女は不敵な笑みを浮かべた。
「ごめんなさい!もうホントごめんなさい!俺が悪かったですから、それだけは、それだけはぁ!」
俺は彼女に懇願した。冗談では済まされなかった。あれより痛いモノがこの世に存在するところから信じられ・・・。
パラパラパラパラ・・・
「!?ギイヤアアアアアアアアアアァァァァァァァァァ!」
3分後・・・。
「さあ、もう傷は治ったでしょう?」
・・・酷い。酷すぎる。明らかにこの世のモノとは思えない断末魔の叫びが学校にこだましていた。
強化治療虫の痛さは普通の治療虫の二倍は確実にあったが、確かにあれだけあった数々の傷は綺麗に治っていた。
「は、はい・・・。」
俺はまだ痛みの残る全身をゆっくりと起き上がらせながら言った。
「それじゃあ、問題ないわね。今から修行に行くわよ!」
そう言うと、彼女はホログラムキーを懐から取り出した。
「え、今からっすか?」
俺は彼女に聞き返した。
「当たり前じゃない!さ、行くわよ!」
カチッ!
「いや、ちょっ、うわああああああぁぁぁぁ!」
俺とタレーランさんは、亜空間へと吸い込まれていった。
「何だよ。遅かったじゃねえか。」
亜空間で待っていたのは中濱と、なんとサミュエルさんではないか!
「あれ?サミュエルさん、ここにいて大丈夫なんですか?」
俺は不思議に思って、彼に問い掛けた。
「ん?ああ、もはや味方にばれてしまったものは仕方がない。こうなったら自分の道を貫くだけだよ。」
彼は自信満々に答えた。
「はあ・・・そうですか。それじゃあこれからどうするんですか?」
俺は更に質問を重ねた。
「決まってるだろ?君達二人をこれでもかってくらいに鍛え上げるのさ。」
彼はいたって平然とした顔で答えた。
「さあ、御託はこのくらいにして、早速修行を始めようか。」
「あ、はい。」
彼のいきなりの発言に俺は少し戸惑ったが、早速修行に取り掛かることにした。
「えーと、二人には別々の修行をしてもらおうかな。中濱君は『死孔』の位置を覚えて、そこを素早く防御する練習をしよう。それから君の方はまさかとは思っていたけど、君の家にあった箱から、君は『フォーム・アドベント』を持っているって言うから、それを自由に使いこなせるようにしよう。さあ、早速始めてくれ。」
彼は俺達にテキパキと指示をした。俺達はある程度距離をとって、修行を始めることにした。
忘れてる人も多いと思うので一応説明しておくが、
「フォーム・アドベント」とは、カプセルを飲まなくても、今まで使ったことのある能力なら思った通りに使えるという能力で、200年に一人しかいないらしい。(第7章参照)
ちなみに何で今までそんな凄い能力のことが置き去りにされていたかというと、当の筆者も読み返すまですっかり忘れていたのである。だからそこは気にしないで欲しい。
「ほらぁ、そんなスピードじゃ、攻撃がバンバン当たるぞ?」
ガガガガッ!
ズドッ!ズドッ!
「ぐ・・・う。」
中濱はサミュエルさんの容赦ない攻撃を、素手で2分間避け続ける、という修業だった。中濱がサミュエルさんの手をガードしようとすると、なぜかもう片方の手がもう中濱の脇腹に入っているのだ。
「まだまだ!」
中濱はボロボロの体で再び構え直した。
「よし、この調子でいくぞ!」
「はい!」
一方俺の修行はというと・・・
「ハッ!」
シーン・・・。
「くそっ!これでもダメか・・・。」
そうである。俺の修行は、集中を高めて、カプセルを飲んでいない状態で右手をおもいっきり突き出して、能力を発動させるという極めてシンプルな修行だった。
最初は簡単だと思ったが、やってみると物凄く難しい。しかし、やらないと身につかない。だから俺はこんな地味な修行をやろうという気になったのだった。
「よし・・・。」
俺は再び集中し始めた。集中する修行は過去にもやっているので、ここまでは簡単だ。しかし、問題はこの先だ。いかにして能力を発動させるか。その謎が俺にはまだ分からなかった。
「これで、どうだ!」
俺は右手を突き出した!
シーン・・・。
・・・ダメだ。何にも反応が起きない。本当に出来るものなのか?俺はそれにすら疑問を感じ始めていた。
地球時間の10分後、つまり亜空間ではほぼ一日が経った。しかし、二人ともなかなか出来るようにはならなかった。進歩したことといえば・・・。
「ぐはっ!はぁ・・・はぁ・・・」
「フムフム。30秒フラットか。まあ、進歩はしたかな。」
サミュエルさんはストップウオッチを見ながら言った。
ちなみに始めは5秒しか持たなかったのだから、大変な進歩であるといえよう。
一方の俺はというと・・・。
「やあっ!」
ポフッ。
前までは何も出なかったのが、小さな煙の球くらいは出るようになった(ちなみに大きさはパチンコ玉くらい)。
「ハハハハハハ!何だよ、そのちびっこい球と音は!屁でもこいたのかよ?」
中濱があまりにもできない俺をからかった。
「な、何だと!?お前だって、目標2分だろ?全然俺の方が修行の成果が出てるもんね〜!」
俺は少し腹が立ったので、彼に言い返した。
「いいや、俺の方が・・・」
「はいはいはいはい。小学生みたいなケンカは辞めようね〜!」
中濱が更に続けようとしたところに、流石にサミュエルさんが割って入った。
「さて、今日はガドリニウムとも戦ってるわけだし、修行はこのくらいにしよう。今日やったことはしっかり復習しとくこと!以上!」
サミュエルさんがしっかりと締めて、今日の修行はひとまず終わりを告げた。
「あ、タレーランさん。ちょっといいですか?」
サミュエルさんはタレーランさんを呼び止めた。
「はい。何か御用件でもおありですか?」
彼女は今までに例を見ないくらい上品な言葉で答えていた。
「いえ、まあ・・・。後で、俺の宇宙船に来てくれませんか?少しお話したいことがあるんですよ。」
彼はそう言った。これは間違いない!サミュエルさんは彼女を誘ってるぞ!?何だよ、この緊急イベント!俺はびっくりした。
「はい・・・いいですよ。」
彼女は照れながら答えた。
「それじゃあまた後で。」
サミュエルさんは一旦彼女に別れを告げた。
しかし、ここで彼の口から告げられた話が、後の話を大きく動かすこととなる!
To be continued...




