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第2章:格闘

前章で、ミッションを果たすために猛スピードで家に帰還した俺は、扉を閉めようと奮闘していたら、さっき森で見た箱がくっついてきていた。

俺はもはややけくそになった。とにかく必死になって扉を締めにかかった。

ガッ!ガッ!ガッ!ガッ!

もう俺はこの箱を潰す気だった。しかしその時、

「お〜ま〜え〜、ワイを殺す気かい!調子に乗っとるんちゃうか!?」

−喋った〜?何このいきなりの怪奇現象。思わずウル●ン風になっちまったよ。何でこんな普通の箱が喋ってるんだ?もしもこの箱にマイクが付いていたとしても、それじゃあ何で関西弁なんだ?俺の頭の中で謎は深まるばかりだった。






・・・そうだ。これは夢なんだ。今までを巻き込んだ壮大な夢の一部なんだ。そうに違いな・・・。

「・・・あんた、この状況を夢やと思ってらっしゃるやろ。」

「え、え!?ま、ま、まさかそんな訳無いだろ?」

図星だった。こ、コイツ、何故俺の考えが分かった?読心術でも持ってやがるのか?箱には不必要じゃね?

「お、お前、一体何者・・・いや、何物なんだよ!」

俺は少し腰が抜けそうになった。

「あんた、ワイを見て何かわからへんと。阿呆なやっちゃなあ。」

箱っぽい物体はため息をつきながら、やれやれという感じで言った。少しムカつく。

「ワイは見ての通り、箱や!」

奴は威厳たっぷりという感じで言った。

あー、良かったなあ、箱ということで。俺は物凄く納得した。

「あ、そうですか。それじゃあお引き取りをお願いします。」

ガッ!ガッ!ガッ!

俺はそれでも全力で扉を締めにかかった。

「あ、痛い!ちょっと待って!それだけは止して!?お願いやから!痛い!」

箱が悲鳴を上げ始めた。仕方ない。そろそろ勘弁してやるか。






俺はとりあえず箱の奴を玄関の敷居まで入れてやることにした。

「それじゃあお前は単純に俺のあとを付けて来ただけって訳か?」

俺は私服に着替えながら奴を問い詰めた。聞きたい事が山ほどあったからだ。

ちなみに制服はどろどろになってしまったので、洗濯機で洗っている。だから風呂場でのゴウンゴウンゴウン・・・という音が玄関に響いている。

「まあ・・・簡単にまとめればせやな。」

「何故そこで一瞬ためらう必要があるんだ。何か隠してやいないかな?」

俺は更に問い詰めた。なんとしてもこの謎を説き明かしたくなってきたからだ。

「いやいやいやいや、そんなことあらへんて!ワイの目をよう見てみ?嘘をつくように見えるか?」

いやまず目がどこだよ。



「ああ、なんかもういいよ。本当に帰ってくれよ。」

謎も面白いけど、こんな関西弁の輩と話してると疲れそうだったので、俺は自分の部屋に向かおうとした。

「いや、ちょっと待ってえな!酷いで!」

ギャギャギャギャ・・・

箱の奴は俺に突っ込みながら追ってきた。しかも空中浮遊で。


「うるせえな!まだ用事があんのかよ!」

俺は奴を振り払おうとした。

「いや、これといった用事でもないんやけど・・・この近くにはカワイコちゃんはおらへんのか?」




ゴッ!




奴の一言に俺は完全に頭にきた。だから俺は奴目掛けて、豪快に蹴りを見舞ってやったのだ。

んだよあいつはよ!急に人ん家に乗り込んできて、あげくの果てには『カワイコちゃんはおらへんのか?』ですかい。ふざけるのも大概にしとけよ!

その後、俺に一メートル吹っ飛ばされた箱の奴はゆっくり起き上がったが、俺は放っておくことにした。


「はあ・・・あんだよ。俺は今から大量の宿題と格闘して、徹夜を回避するという、重大なミッションが待っているんだから、お前みたいな謎の物体と関わってる暇はないの!ほら、今扉開けてやるから出てってくれ!」

俺は扉を開けて、奴を外につまみ出そうとした。

「はあ。宿題か。ほな、ワイが手伝ってやろか。その方があんたが持ってそうなミニマム脳味噌よりは役立つで。」



シュタッ!



「箱様神様仏様!先程は大変ご無礼な事を致しました!」

俺はパシラレ対策その一、瞬間土下座を発動した。瞬間土下座とはその名の通り、素早い身のこなしで土下座の体勢を瞬間的に作り、即座に謝るという荒業だ。ちなみにこの技で俺は幾度となくチンピラから逃れてきたのだ。しかしそれにしても百戦錬磨の大技を見せようという気になぜなったのだろうか。

確かにミニマム脳味噌と言われたのは流石に少し腹が立ったが、そんなことを言ってる余裕は一切ないんだよね。猫の手も借りたいくらいだったからちょうどいい。俺はもうプライドもなにもかもかなぐり捨てて奴に頼み込み、結局協力してもらうことになったのだった。







「はい、それじゃあまず英語から行こうと思うんですが、よろしいでしょうか?先生。」

ちなみにここから先生とは箱の事を指す。奴が教えるという代わりに出してきた対抗条件だ。少し悔しかったが、仕方なく俺はその条件を呑むことにしたのだった。

「ん?まあ、いいとちゃうか?」

くっ、物凄い上から目線だ。


「えーと、I will have read this book by the time I see you next.ってどういう意味でしょうか?」

「ああ、これか?これな、『私はあなたと再会するまでにこの本を読むだろう。』って意味や。こんなんも分からんのか?」

くそっ、めちゃくちゃムカつく。しかし耐えろ、俺!耐えて宿題が終われば安眠という極楽が待っている!それだけが俺の心を支えていた。それだけのために俺は睡魔と、この膨大な宿題と戦っているのだった。




20分後、英語の課題が片付いた。俺が予想していた時間よりも圧倒的に速い。しかも答え合わせしたら、全問正解でやんの!コ、コイツ・・・どんな頭脳してやがんだよ!

「す、すごっ!お前スゲー!」

「へっ!もっと讃えてくれや〜!ワイは神やで?」


ゴシャッ!

「お前、ちょっと調子乗りすぎだぞ?」

「はい。申し訳ありまへん。」

俺はあまりにも奴に腹が立ったので、奴の頭上に強烈な鉄拳制裁を加えてやった。奴からは煙が上がってやがる。はっはっは!いい気味だぜ!って煙?普通の箱ではないにしろ、煙りっておい。俺の中で余計に疑問が増えた。












その後、数学、国語、理科、歴史と奴の手助けのおかげで、日付が代わる前に終わってしまった。凄すぎる。本当に信じられない。いつもならこの量だと徹夜かつ学校で時間稼ぎをしてまで終わらせなくてはならない量のはずなのだ。単純計算で大体13時間くらいかかるのか。

しかし今日は違った。今大体11時半くらいだ。そいで家に帰ってきたのが大体7時半だから・・・ゲッ!3時間半で片付いちまった!奇跡だ・・・奇跡としか言いようがない。






「よし、おかげで物凄い助かったよ。」

「まあまあ、ええってことよ。お安いこって。」

奴は鼻息を荒くして答えた。もうなんか得意げな感じだ。やっぱり少しムカつく。


「な、なあお前・・・本当に開くのか?」

俺は最後に不思議に思っていたことを聞いてみた。物凄い直球な質問になってしまった。


「なあに言うとりまっか。物を入れて閉めてるんやから、開くに決まっとるやろ。ちょっと待って・・・ほれっ!」

ガチャッ!

・・・開いたよ・・・。いとも簡単に開きやがったよ。いいのかよこんな超簡単なセキュリティで。


そこで俺が開いた中身を覗いてみた。すると、奴の中からは小さな箱が出てきたのだった。



この小さな箱が後に重大な任務を背負うことになる!

To be continued...

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