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第27章:過去(後編)

はい、どーも。作者です。今回もタレーランさんの過去話です。長くてごめんなさい。それからPVが4000を超えた上にユニークも1500に到達しました!この小説を更新して4ヶ月、これほどの方に読んで頂いていることを大変嬉しく思います!それでは、本編をお楽しみください。

前章で、仕方なくガラクトス一味の言うことに従った私達家族は、彼らの船に乗り込むこととなった。







「おらぁ!とりあえずここに入っとけやぁ!」


ドガッ!


キイイイィィィ・・・

ガシャン!


カチャカチャ・・・

チャキッ!


牢屋番らしき人達は、私達を牢屋へと入れた後に、ゆっくりと重い鉄格子の扉を閉めた。それから、いかにも鍵でしか開かなさそうな頑丈な鍵がかけられたのだった。

「お願い!私をここから出して!」

私は泣きわめいた。そして堅い門扉をこれでもかと叩きに叩いた。手に汗と血が滲む。手は痛かったが、そんなことを言ってる暇なんてなかった。とにかく家族皆で家に帰ることだけが私の頭の中にはあった。

「おいおい。俺は一生ここから出さないとは言ってないぜ?」

番人は尤もらしい意見を言った。確かに言われてみればその通りだった。

「いいか?お前達は明日の朝、ガラクトス様の審議にかけられる。つまり、その時はここから出て、ガラクトス様のいる部屋まで行き、そこで直々に話をしてから決めるんだ。もしガラクトス様がOKサインを出したら、少なくともこの船からは出してやる。ただし、NOサインが出た場合には仕方がない。即座に、とは言わないが、お前達の首が飛ぶのは間違いなかろうな。」

番人は淡々と話した。

首が、飛ぶ?あのよくある映画みたいに?私は愕然となった。

「まあ、少なからず今日の命は保証されてるんだ。せいぜい家族との一日を大切にするんだな。ハッハハハハハハ!」

番人は高笑いをして、他の牢屋の見回りへと行ってしまった。
















さて、一体どうしたものか。私はまだそんな感じだった。一体どうしたら私達の住んでいた星に、家族全員で帰ることが出来るだろうか。私は考えた。時間はたくさんあったからゆっくり考えた。この問題の答えは一つではないはずだ。

そういえばこの前、学校で先生がこう言っていたのを思い出した。

「いいか、みんな。今はあんまり実感が沸かないかもしれないけど、算数の答えは出し方は違えど必ず一つだ。けれども国語はどうだろう?漢字は答えが一つだけど、作文とかはみんなそれぞれ答えが違うはずだ。人生の選択もそうだ。例えばみんなが人生の分かれ道に立ったとしよう。しかし、必ずしもこの道が正解とは限らない。一見違うように見える道でも、最後まで進んでみると、意外と始め成功に見える道よりもいい結果が得られるかもしれないんだ。いいか?急がば回れ、だぞ?」


と言っていたはずだ。だから私は先生の言葉を信じてみることにした。


私の作戦はこうだ。まず明日の朝、ガラクトスとか言う奴に私達が呼び出される。そこで私がわざと怒らせるような一言をかまして、処刑宣告を出させる。

処刑の準備もあるはずだから、いきなりということもないだろう。その間に家族全員で小型船を奪いとって脱出すればいい。私はそう考えたのだった。


その夜、私は両親にその作戦を報告した。しかし、両親は私の考え方にどうも難色を示しているようだった。

「タレーラン、急に何を言い出すんだ!そんなことさせられる訳無いだろう!」

父はむしろ少し怒っている感じだった。

「なんで?なんでダメなの?パパ。私は・・・」

「家族のためだって言いたいんだろう?」

父は私の言葉を遮って言った。

「いいか、タレーラン。親ってものはな、自分の幸せよりも、子供の幸せを願うもんなんだよ。だからパパとママのことはどうだっていい。少なくとも私達は、お前がここから脱出して、生き延びてくれるだけで、それだけで幸せなんだよ。分かってくれるか?」

父は優しく言った。


「・・・突然何を言い出すのさ!私は、私は・・・。」

私が言いかけたその時だった。




「こらぁ!お前達、一体何を企んでいる!」

門番の激しい怒声が響き渡った。門番は私達のところまで走ってくると、いきなりこう言った。

「お前達、まさかここから出ようとか、ガラクトス様を倒そうとか言ったりしてないだろうな!?」

門番の顔は真っ赤だった。

「違うわ!私達、そんなこと言って・・・」

私がそこまで言いかけた時、父の口からとんでもない一言が飛び出した!







「いいえ、私と妻がこの子にそう言い聞かせていました。」









私はその言葉に耳を疑った。父は一体何を言い出しているのだろう。そんなこと言ったら殺されるに決まっているはずだ。なのに・・・どうして!?


「ほお。いい度胸じゃねえか。分かった。一時間後にまた来る。その時にはお前達の首をスパッと落とされると思っておけよ!ハッハハハハハハ!」

と言い残すと、門番はその場を去っていった。
















「パパ!何言ってるの!?パパ、死んじゃうんだよ!?ねえ!そんなのやだよ!お願いだよ!」

私は門番が去った後に、父に懇願した。

「いや、これでいいんだ。これならお前を救うことが出来るからな。」

私は父の言葉を信じられなかった。

「私を救える?しかもパパとママが死ぬことで?そんな冗談みたいなこと言うのやめてよ!」

私は混乱した。もう何が言いたいのかすら分からなかった。

「落ち着くんだ、タレーラン。いいか?そうすることで牢屋から出られるんだぞ?分かるか?」

父は私を説得したいようだった。しかし、そんな手に乗るほど私は馬鹿じゃない。父もそのくらいは知っているはずだ。けれども、父の気持ちは何となく伝わってきた。私には生き残ってほしい・・・。その気持ちでいっぱいいっぱいのようにも見えた。






そんなこんなしている時だった。いきなり私達の前に、どこにでもいそうな少年が現れた。歳はどうやら私より上のようだ。

「・・・あなたは?」

私はその少年に聞いた。

「ああ、1時間経ちましたので・・・処刑台の方へと・・・案内に・・・上がりました。」

彼は下を向きながらそう告げた。・・・そうか。もう、1時間経ったのか・・・。私は悲しくなった。

「・・・ああ、そうでした。こちら、娘さんですか?」

「いかにもそうだが・・・それがどうかしたのか?」

彼の質問に父が不思議そうに答えた。

「いや、実はね。君に渡したいものがあるんだ。」

その少年は私の所へ来ると、鍵と、何やら丸いボールのようなものをくれた。

「・・・これは何?」

私は彼に尋ねた。

「こっちはね、脱出用小型船の鍵だ。さっきいじくって、一番近くの安全な星に飛ぶようになっているからね。それから、こっちは、どうしても困った時に使うんだ。君のパパとママの状態が映し出されるようにしてある。だから、僕がきっと君の両親の処刑は止めてみせるからね。」


一瞬顔が赤くなるのを感じた。こんなに親切にされたことなんてない。私は彼のことを、優しい人だなあって思った。

「とにかく、今から行こう。分かった?」

「は、はい・・・。」

私は言われるがままに牢屋から出て、分かれ道まで案内された。



「いいかい?これを真っすぐいったら、脱出用小型船の所に着けるからね。気をつけて行くんだよ。」

「うん!」

私は懐に鍵とボールを、手にはしっかりと熊のぬいぐるみを持って、階段を駆け降りた。




カンカンカンカンカンカン・・・



階段を下りる音が響く。

私は振り向かなかった。ただ必死に走った。パパとママは、あの人がきっとなんとかしてくれる。私はそう信じていた。



だから私は生きる!私を救ってくれたあの人の為にも、そして、両親の為にも・・・!




ようやく脱出船の所に着いた。私はただ一隻ある小さな船に飛び乗ると、持ってきた鍵を差し込んだ!


シュオオオォォ!




船はゆっくりと浮かび上がり、真っ暗な銀河へと飛び出した!


















見渡す限りの満天の星。私はその景色のあまりの美しさに、思わずうっとりしてしまった。その中を船は、静かに、かつ猛スピードで進んでいき、近くの小さな星に到着したのだった。


シュオオオォォ・・・。






その星には、誰もいなかった。動物達が、ただ楽しく遊んでいるだけのちっぽけな星だった。今どんなことが起きているかどうかも知らずに・・・




私はとりあえず食べ物を探しがてら、ひとまず近くを散策してみることにした。






♪見渡〜す限〜りに、緑の、波が、うねる。夏の日差し〜のな〜か〜で。(サトウキビ畑より)



父がよく母と歌っていた曲だ。私も何となくは歌える。

この星は本当に、この歌詞が本当にそのまま当て嵌まるようなところだった。なんだか懐かしくて心地よい。そんな気がしていた正にその時だった。


「あ〜あ、やっぱりいやがったよ。命知らずの逃亡者が。いじくってる奴がいたから先回りして正解だったぜ。」

草むらから明らかに追っ手と思われる輩が飛び出した!私はそれを見た瞬間に、船の方に向かって全速力で走り出した!



捕まったらダメだ。折角逃がしてくれたあのお兄ちゃんに、パパとママに合わせる顔がない!私はただ一心不乱に走り続けた。


「おいおい。逃げても無駄だぜ?何故なら、ここで死ぬからなあ!」


ジャキッ!

何やらどでかい銃を構える音がした。あれだけのサイズがあったら私は確実に死んでしまうだろう。それだけは嫌だ。絶対に嫌だ。


ズダッ!

しかし、私は小石に躓いたのかしらないが転んでしまったのである!

「ハッハッハ!お嬢ちゃんには悪いが、死ねぇ!」

「いや、いやあああああぁぁぁ!」


ピクッ。


その時だった。私の持っていた熊のぬいぐるみが私の前に飛び出したかと思うと・・・


ズキュウウゥゥン!


一発の銃弾をなんと、そのぬいぐるみが身代わりになって喰らっているではないか!

役目を終えたと言わんばかりのぬいぐるみは、ポテッと地面に落ちたかと思ったら、ゆっくりと溶け始めた!




「ほお、メイド・イン・ベーメンのやつか。彼等の作るぬいぐるみには想いが込められていて、一度だけ持ち主の想いに答えてくれるとか。そうか・・・。」

私を狙った人は、少し考えた後に、

「よし!お嬢ちゃん!この星から逃げなさい。それから、そのぬいぐるみを送ってくれた人に感謝するんだな。」

と言って、銃を捨てたではないか!


私はその言葉を聞いて、少しホッとした。

「ありがとう!おじさん!」

私は彼にお礼を言うと、この星をあとにした。







「そういえば、パパとママ、どうしてるかな?」

私は不思議に思って、ポケットからボールを取り出してみた。




しかし、私はこの選択が間違っていたことに気付くはずもなかった。

To be continued...

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