第15章:成果
はい、どーも。作者です。更新が遅れてごめんなさい。なかなか36章が完成しなくて、そっちの方に時間がかかってしまってました。あと少しで完成ですね。それからユニークが500を超えました!非常に嬉しいです!これからも御購読、よろしくお願いします。それでは本編をお楽しみ下さい。
前章で、亜空間に閉じ込められるという、最悪の事態に陥った俺達三人は、対策会議を開いていた。
「えー、それでは、どうやってこの亜空間から脱出するか考えたいと思います。」
司会は俺。俺はこう問い掛けると、
「えー、私は別にいいんだけどなぁ。このまま時間が止まっても。」
タレーランさんはめちゃめちゃはしゃいでいる。絶対この状況を理解できていない。
「全くその通りですよ、タレーランさん。」
おいおい中濱、お前もか。お前もそっちサイドか。ってことは、俺、孤立無援じゃね?
「とにかくそんな事を言ってる場合じゃないでしょ?ここから出ることが最優先でしょ?ねえ、そうって言ってくれよ、っていうか言ってくださいよ〜。」
二人の情けなさに俺は段々空しくなってきた。こいつらは脱出しないでここで暮らすとでも言いたいのか?俺はそれだけは絶対嫌だぞ!
「え〜?俺は別に問題ないと思うんだけど・・・」
「おい!中濱!真面目に考えろ!ここは亜空間だぞ?」
俺は流石に頭にきたので、中濱を一喝した。
「ごめん・・・」
よし。とりあえずこいつは何とかなった。後は・・・あの女だな。いいや、あいつは無視して確実に出る方法を練らなくては・・・。
「そういえばタレーランさん。確かエネルギーが切れたら自動的に出れるって言ってましたけど・・・。ちなみにあとどのくらいかかります?」
「そうね・・・この空間の感じを見ると、大体あと6時間位かな。」
彼女はさも当然であるかのように言った。
「ろ、6時間!?ってことはこっちの時間に直すと、え〜と、2時間で十日分だったから、三倍して・・・三十日分!?」
冗談じゃねえ!約一ヶ月じゃねえかよ!そんなにいたくねぇよ!こんな亜空間によ!
「いや、それじゃあどうしろって言うんですか?一ヶ月分ここで修行しろと?普通に考えて死にますよ?あ、そうだ!タレーランさん。助けを本部に呼んで下さいよ。そうしたら助かるかもしれません!」
「それがね、今本部に連絡とろうとしたけど・・・ダメね。電波が完全に遮断されてるもの。」
彼女はため息混じりにいった。あ〜!どいつもこいつも使えねぇ!こうきたらもうやることはたった一つ。無理かもしれないけど、この亜空間の壁をぶち壊す!
俺は自分達が入ってきた穴の前に立った。そして、深く深呼吸をした。
「お、おいおい。お前、一体何をする気だよ。そこは封じられてんだぞ?」
「この壁をぶち壊す・・・」
「え?」
「俺は、この壁をぶっ壊〜す!」
ビリビリビリ・・・。
あれ?なんかいつもと違う。俺の声が空間のありそうでない壁にこだまして、反響している。地面が揺れている。そしてなによりも、俺の心が燃えたぎってるぜ!うわやべぇ。くっさい台詞はいてるよ。ちょっと酷かったかな?ハハハ。
俺はカプセルの箱を開けた。やっぱり力のあるカプセルじゃないと破れないよなあ。俺は考えた。そりゃ死活問題だからである。必死に考えた。テストですらこんなに頭を使わない、というか使えないといったほうが正しいか。
俺は黒いカプセルを取り出して、一気に飲み込んだ!
ゴォオオォォ!
いつもの光とは違うのが、すぐにわかった。光に俺が吸い込まれていく・・・。
カッ!
ふと自分の体を見ると、両腕はと体が、岩のようなもので覆われている。これは・・・確か、ゴーレム・・・だったっけ。でも、これなら壁を破れる気がする。
早速俺は固そうな壁に向かって右腕を振るった!
ガキッ!
グググググググ・・・
バチイイイイィィィ!
一瞬壁に腕が埋め込まれたと思うと、物凄い勢いで弾かれた。き、効かないだと!?俺の・・・一撃が?
「漂依率と威力が足らないわ!完全漂依が必要よ!もっと集中して!」
彼女の檄が飛ぶ。俺は精神を統一して、右腕に力を込めた!
「うおおおおぉぉぉ!」
バチイイイイィィィ!
バチイイイイィィィ!
バチイイイイイイイィィィィィ!
拳をぶつける。何度も何度も。しかし、それも全て跳ね返される。何もないはずの壁に、衝撃が吸い込まれていく。その度に、俺の拳に痛みが走る。
「ぐ・・・うおおおおぉぉぉ!まだまだぁ!」
バチイイイイィィィ!
バチイイイイィィィ!
バチイイイイィィィ!
バチイイイイイイイィィィィィ!
・・・ダメだ。どうやっても皹一つ入りやしない。畜生、俺の修行はなんだったんだよ・・・。
「いいえ、無駄じゃないわ。もっと集中して!漂依率が99%まできてるわ。もっと集中すれば、絶対に行けるはずよ。」
そうだ。今までの修行を思い出せ!このくらいで動じてどうする!もっと集中するんだ!集中、集中、集中・・・。
シュウウウウウウウウウ・・・。
腹の下になにかが溜まってくるのが分かる。間違いない。更に集中を続けた。
シュウウウウウウウウウ・・・。
更に溜まっていく。俺は心に溜まっているものを一気に吐き出した!
「俺は・・・・・・俺は!ここから二人を救い出す!そしてガラクトスとかいう野郎も、絶対にぶっ倒〜す!!!」
カッ!
魔物の魂を、自分の心が吸い込んでいくのがすぐにわかった。俺の腕が更に強固なものへと変化していく・・・。更に厚いレンガの胸板がついた。これはそうだ。間違いない!
「凄い・・・こんな短期間で完全漂依をマスターするなんて・・・。」
タレーランはしきりに驚きっぱなしである。中濱も口をぽかんと開けている。何故だ?そういえば二人とも小さく見え・・・やばい、そういうことか。モンスター本来の体格まで身につけちまうのかよ。スゲー!
そんなことで喜んでいる暇はない。俺は全神経を右腕に込めて、一気に壁目掛けてぶちかました!
「うおおおおぉぉぉ!霸巖囂瀏拳!」
ズドオオオォォン!
俺の腕が一気にめり込んだ。しかし・・・
バチイイイイイイイィィィィィ!
こ、これでも駄目か・・・。
ピシッ!
やった!少しだけど皹が入ったぞ!あと少し、あと少しでここから出れる!でも・・・腕が・・・。
そうである。俺の腕はレンガが崩れ始め、もうとてもじゃないけど、連発出来るような状況ではなかった。せいぜいあと一発・・・。
「まったく、なんでそんなちんけな顔してんだよ。そんなになる必要ねぇだろ?」
中濱の声だ。どこからしてるんだ?
「ふん。この俺様をナメんなよ!」
「うわあ!な、中濱・・・お前ももうマスターしたのか?」
なんと、俺の顔の横には、俺と同じゴーレムに変身して、しかも同じ大きさの中濱がいるではないか!
「いや、正直なところ、なんでできたかわかんねぇんだ。」
中濱は笑いながら言う。
「ただ・・・お前を見てたら、俺も壁をぶっ壊す気になったから・・・かな?」
「中濱・・・。」
俺は奴の言葉に涙が出て来た。
中濱は昔からそうだった。
俺が虐められてる時も、どこからともなく現れて、そのいじめっ子が立てなくなるまでボッコボコにしてくれた。俺が両親に勘当されて、家を追い出された時も、こっそり彼の中華料理店に入れてくれた上に、慣れない手つきで、チャーハンを作ってくれた。あの時の美味しさは、何事にも変えがたかったのを今でも覚えている。
「おい、どうしたんだよ。そんな簡単に男が泣くなよ。」
「中濱、ありがとう!」
俺は涙を拭いながら言った。
「何を今更。まずここから出るんだろ?じゃあ、ぶっ壊すとするかぁ!」
俺達は、合図もなく、同時に振りかぶって同時に皹目掛けてぶちかました!
ドッゴオオオォォォ!
ミシミシミシ・・・。
シュウウウウウウウウウ!
「う、うおあああああぁぁぁぁぁ!」
突然の光に一気に俺達三人は吸い込まれた・・・。
ドサドサドサッ。
「イテテ・・・や、やっと出れた・・・。そして、完全漂依ができたぞ〜!」
俺と中濱は手を取り合って喜んだ。
「あなたたち、凄いじゃない!これなら奴らに勝てるかもしれないわ!」
「よし!中濱!絶対奴らをぶっ倒すぞ!」
「お〜!」
こうして、少年達の新たな戦いが始まる!
To be continued...




