第14章:特訓(後編)
はい、どーも。作者です。早いもので、この作品も14章を迎えました。ちなみに今は36章を執筆中です。他の章は順次掲載予定です!楽しみにしててください!それから、PVが1000を超えました!これも読者の皆様方の協力の賜物です!これからも頑張るので、応援をよろしくお願いします。それでは、長くなりましたが、本編をお楽しみ下さい。
「但し!お前にも地獄を見てもらうからな!」
前章での俺の一言から全ては始まった・・・。
その日の放課後、中濱は俺の家にやってきた。
「おぉ〜!来たぞ〜!」
「よし、上がってくれ。」
俺はとりあえず奴を自分の部屋に連れて来た。
「んでさ、まだ来ないのかよ〜!」
中濱はやっぱりそこを期待しているらしい。
「いや、お前には騙されて貰ったぜ!」
そこで俺は彼に正直に言った。
「はあ?どういうことだよ!」
「今彼女は仕事中でさ・・・ゴメン!マジでゴメン!」
そうである。今彼女はオニキスの定例会議に参加するために、自分の星に帰還しているのだ。だからいないって言うのは本当なのだ。しかし、それは喋れない。彼女が異星人だってことがばれてしまうからである。
「マジで?じゃあ携帯に連絡入れりゃいいじゃねえか!」
「それが・・・彼女は、携帯を持ってないんだよ。」
「すげぇ!今時携帯持ってないなんて、清純でいいなあ。」
中濱の鼻の下がのびている。こいつ、なんか勘違いしてるな。あの女の本性はドエロなんだよ。日々の発言を聞いてみりゃわかるぞ。
「まあとにかくだ。お前には地獄を見て貰うって言ったよな?」
「い、言ったけど・・・?」
中濱がいつになく真剣な表情になる。
「じ、冗談って分かってるからな!」
「それが冗談じゃねえんだよ。」
俺はホログラムキーを取り出しながら言った。
「な、なんだよそれ。今日のお前、なんか変だぞ!」
「ちょっとお前、手持ってろよ。」
「こ、こうか?」
中濱は俺の手を握る。
「いくぞ!」
カチッ。
シュウウウウゥゥ!
「う、うおああああああぁぁぁ!」
俺と中濱はキーに吸い込まれていった。
スタッ。ズダッ。
俺は着地に成功したが、中濱は見事にケツから落ちた。
「いってぇ〜!なんだよここはよ!」
「ここは俺の修行場所だよ。」
「修行?お前、花婿修業か?」
「ちげぇよ!ちゃんとした戦闘修行だよ。」
まだ中濱は状況を呑めてないようである。全く物分かりの悪い奴め!
「戦闘?お前なぁ、小学生じゃあるまいし、戦隊物の見すぎだろ。」
「違うんだ。マジなんだよ、この状況。」
もう俺は中濱に全てを話す事にした。奴ならきっと分かってくれる筈だ。
「中濱。今からいうことは全部本当だから、耳の穴かっぽじって、よく聞けよ!いいか?俺はひょんな事から、ガラクトスとかいう宇宙の大海賊が作ったカプセルが、ホントは地球に流れて来るはずがなかったのに、俺の許に来たんだ。んで、そのカプセルには魔物の魂が閉じ込められてて、飲むと、魔物の力が借りられるんだ。そして、そのカプセルを回収しに、ガラクトス直属の部下、十二魔将が俺を狙ってるわけだ。この前も、ラグナシアとかいう奴が俺の所に来て、俺はボッコボッコにされて、崖に落とされた所を誰かに助けられたって訳。ちなみに、お前が言ってた女はタレーランって言って、俺を護衛に来ているブラッド・オニキスの一員なんだよ。このホログラムキーもそいつのもんで、亜空間に飛んで、一分で、あっちの世界の二時間分の修行が出来るんだ。それで、今俺は魔物の魂と完全に一体化する、完全漂依を身につけるために、ここで修行してるって訳だ。わかってくれるか?」
読者にはあらすじになってしまって悪いが、中濱に説明するためなので、そこは我慢してもらいたい。
「いや、何となくは掴めたけど・・・本当かよ、それ。」
まだ信じてくれてない。よし、あまりしたくないけど、奥の手だ!
「ホントだぜ。見せてやるよ。」
俺は赤いカプセルを取り出した。イフリートに変身する奴だ。
本当は見せたくなかった。見せて、大切な友人を失ったりしたくなかった。せっかくの腐れ縁が解消されるのは嫌だけど、俺はこいつだからこそわかってもらいたい。俺はカプセルを一気に飲み込んだ!
シュゴオオオォォォ!
中濱がア然として、こっちを見ている。しかし、それも大量の光の輪と、閃光に掻き消された。
カッ!
激しい光と共に、俺はイフリートの大きな両腕と、激しい炎を身に纏っていた。
「う・・・お、お前・・・。な、なんだよ・・・?ほ、本当だったのかよ・・・。」
中濱は腰を抜かした。
「そうなんだ。お前なら分かってくれると思って・・・。頼む!誰にも言わないでくれ!」
「・・・。お前がそんな風にものを頼むなんて珍しいからな。わかったよ。だけど、一つだけ頼みがあるんだ。」
「なんだよ。頼みって。」
「俺にもそのカプセル、一つくれ。」
「わかったよ。じゃあ好きなのを選べ。」
俺は白いカプセルを飲んで、元に戻りながら言った。
「えっと・・・じゃあ、この黄色い奴を貰うわ。」
そう言って、中濱はカプセルをつまんだ。そして、一気に飲み込んだ!
シュオッ!
あれ?変身速くね?と思ってたら、中濱は見事に麒麟に変身していた。体からは、一本の角が生え、雷が辺りに落ちまくっている。しかも、漂依率がめちゃくちゃ高い。一回目、しかも修行なしだぞ?やべえ、俺よりレベルたけえよ。こいつ、ニュータイプか?
「なんだよ、早くもそんなに強そうなんだよ!」
「わかんねぇ。でも、すげえ・・・お前、こんな風になりながら戦ってたんだな。そうか・・・。」
中濱は一瞬顔を曇らせた。そして、こう言った。
「よし、決めた!俺もお前と一緒に戦う!」
彼はこう言い出した。
「お、おい!急に何言い出すんだよ。」
冗談じゃない!俺はこいつを巻き込みたくないんだ!だからイフリートにもなったのに・・・。
「お前なぁ。いっつもそうやって、一人で抱え込もうとするんだから。それに、一人で戦うより二人で戦った方が楽だろ?」
「そ、そうだけどさぁ・・・。」
「よし!じゃあ決定・・・」
「ごっめ〜ん!会議が長びいちやって・・・ってあれ?なんかもう一人いるけど・・・どちら様?」
タレーランさんが最悪のタイミングで帰ってきた。
「あ、俺は中濱って言います。タレーランさんですか?噂はかねがね・・・」
「あ、それよりもタレーランさん。こいつ、俺と一緒に戦いたいとかほざいてるんすけど・・・何とか止めてやって下さいよ。」
俺は中濱の話を遮って懇願した。
「え?別にいいじゃな〜い?仲間が増えるんだし。しかも私も両手に花だし〜!」
・・・ダメだこりゃ。女ならまだしも男だったとこに全ての問題があった。
「それにしても、中濱の分のカプセルがなきゃどうしようもないじゃないっすか!あげるわけにも行きませんよ!」
「それもそうね。分かったわ。本部に行って、貰ってくるわ。それまでちゃんと修行してなさい。いい?」
「ラジャー!」
それから俺達は猛特訓を重ねた。素手で丸太を破壊できるようにまでなった。こんな能力、意味あんのか?しかしそんなことはかまっていられない。強くなることが先決だ。完全漂依を絶対マスターするぞ〜!
「ただいま〜!ちゃんと貰ってきたわよ。」
彼女の手にはきっちりとカプセルの箱が握られていた。
「やっと来ました?これで俺も戦えるぜ〜!」
中濱ははしゃぎ回った。こいつ、あんだけ修行したのに、どこにそんな余力が?まあとにかく、これで新しい仲間がまた一人増えたわけだ!やったぜ!
「さあ、とにかく時間が遅いから、ここから出ましょうよ。」
俺は二人をそう促した。
「そうね。じゃあそろそろ・・・ってあれ?空間の出口がないわ。大変!私達閉じ込められたわ!」
信じられない。最悪だ。なにもかもが最悪だ。ここにきて一番来て欲しくない事態がやって来たよ。どうしろっていうんだよ〜!
はてさて、三人の運命やいかに!
To be continued...




