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第11章:敗北

前章から分かる通り、なんかもう魔将が来ちゃうらしく、俺はあくせくしていた。なんとかしないと地球が危ないってのに、何勝手に親父の焼酎飲んで酔い潰れてやがる、この糞女ぁ!俺はもう泣きたい気分だった。

しかし俺はそんな気持ちを堪えて、とにかく森に出た。着いてから腕時計を見た。ちょうど三分だ。そろそろ出て来てもおかしくないけど・・・と思ったその時だった!




ズガァーン!




雷の如く、大きな塊が俺の目の前に落ちて来た!俺は少し驚きながらも、深く深呼吸をしてゆっくりと構えた。


「んぁー!いやぁ、ちょっと飛ばし過ぎちまったなぁ。お陰で肩がいてぇったらありゃしねえ。」


激しい土煙の中から出て来たのは赤い体をして、超ちびっこくて、がりがりな奴だった。肩を回しながらそいつは言う。

「ん?お前がガラクトス様が言ってた地球人か。思ってたよりちっけえなぁ。」

少しおどけたように見えた。いやいやお前に言われたくねぇよ。よっぽどお前の方がちっちゃいよ。

「お・・・お前がラグナシアとか言う奴だな!よくも俺をこんな面倒な戦いに巻き込みやがって!俺を殺す気か?」

俺はやけくそになりながら、敵に向かってタンカを切った。

「当たり前だろ?そうでもしなきゃ、俺達十二魔将が出て来る筈ないだろ?」

ラグナシアはさも当然かのように答えた。確かに言われてみればその通りである。思わず納得してしまった。あぁ、敵の言う事に納得してどうすんだよ、俺はよ!俺は余計困惑する羽目になった。つまり、自分で墓穴を掘ったことになる。




しかしながら何はともあれ、俺はこいつを止めなけりゃならない。俺はいつものように箱を開け、適当に選んだ緑色をしたカプセルを口に放り込んだ。


シュゴオオオォォォ!


今までと違うのがすぐにわかった。俺の体から激しい蒸気と、数多の光の輪が飛び散った。



カッ!


とてつもなく激しい光が辺りを包んだと思ったら、俺の体から大量の葉っぱと木の枝が生えて来た。俺はみるみる内に、大木を身に纏った感じになっていたのである。これはひょっとして、エグドラシル?俺はそう感じた。


「ヘッヘッヘ!やっぱり戦いはこうでなけりゃあなあ。そいじゃあ、おもいっきりいかせてもらうぜぇ!」

奴は完全にマジモードのようだ。いや、おもいっきり来なくていいから。普通に来てくれれば問題ないから。俺はただのしがない田舎の高校生だから!俺はそう心の中で繰り返した。

とか言ってる側から奴は物凄い速さで間合いを詰めてきた。ホントに速い。

ヒュオッ!


ガシィィ!

俺は奴の左ストレートをなんとか右腕で受け止めた。しかしそれだけが精一杯だった。


「甘い!」


ドゴッ!

奴の左のミドルキックが俺の脇腹に突き刺さる。

「かはぁっ!?」

俺はたまらずニ・三歩後にたじろぐ。



「おいおい、それだけかよぉっ!こんなんにあのミラコスタはやられかけたのかぁ?」

気がつくと、奴はもう最初の間合いに戻っている。あいつ、どんな速さだよ。俺はかなりびっくりした。


「な、ナメんじゃねぇぞ!俺だってやりゃあできんだよ!」

そう言いながら、俺は背中の木を激しく揺する。


シュパパパパパパパッ!


背中の大量の葉っぱ達が奴目掛けて風を切り裂いていく!その様子はまるで物凄く速い竜巻のようだった。

「ヘッ!こんなもの楽にかわせるぜ!」

クルッ。

ラグナシアは右に体重を置きつつ、一回転した。


ピッ!

プシュッ!


しかし俺の攻撃は当たってない筈なのに、奴の右頬を碧い血がつーっ、と伝う。別の星の人間だからと覚悟はしていたが、や、やっぱりキモい。俺は思わず目を反らした。それにしても今のが衝撃波って奴か。よく漫画とかで出て来るけど、実物を見たのは初めてだった。結構強いんだな。

なんて言ってる余裕は全くなかった。息つく暇もなく、俺は右腕の大木を奴の鳩尾に叩き込んだ!



ズドオオォォォ・・・!



周囲の木に反射して、激しい衝撃音がこだまする!

すぐに奴は地面に叩き付けられた!よっしゃあ!どうだこの糞チビィ!俺は一息つきながら、ガッツポーズをした。もしかしたら勝てるかもしれない。そんな気持ちさえ沸いてきたのだった。


「くぅっ!な、なかなかやるじゃねぇか!ちょいと見くびっていたみたいだな!こりゃあ本気を出さないといけないですなぁ。」

奴はゆらゆらと立ち上がり、スッと構え直した。はぁ?今のでも本気でないとでも?俺は奴の言葉に耳を疑った。

そんな中で、奴は腕をコキコキ鳴らしている。こいつは一昔前の不良か?



「な、何だとぉっ!だったら、出される前にこの世から葬り去ってくれるわぁ!」


俺は右手を突き出した。体中の蔦が奴に絡み付く!

シュルル!


ミシミシミシミシッ!


蔦が奴の体を一気に締め付ける!

ここからの追撃が大事なのは分かっていた。だから俺はおもいっきり息を吸い込んで、奴目掛けて吹き出した!


シュパアアアアァァッ!


ソーラー●ーム張りの巨大な光線が奴を襲う!しかしその時だった。


スルッ・・・。


・・・あれ?今確実に奴の脳天目掛けて打ち込んだのに・・・。何故外れているんだ!?俺は目の前に映る光景が信じられなかった。

「いやぁ。もうちょっと遊ぶつもりだったんだけど、そうもいかなさそうだなぁ、こりゃ。」


キュボオオオオォォン!


な、なんか向こうで爆発音が聞こえたぞ?ま、まさか、う、嘘だろ?あいつ、俺の明らかに最強の技を、しかも動けない状態で受け流したとでも?いや、そんな事はないぞ、絶対に!むしろあってたまるかよ!俺は必死に自己正当化に走っていた。

「ちっちっちっ。これだから雑魚は困るんだよなぁ。自分の力と技を過信して、自ら潰れてゆく。俺は今までそんな奴は腐るほど見て来たんだよぉっ!」

奴の言葉に、俺はハッと胸を突かれた。言われてみればその通りな気がする。俺は今までの二度の闘いで確実に強いと思い込んでいたのかもしれない。あんな巨大な魔物を追い詰めたり、カプセルの力を、自分の力と勘違いしていたのかも知れない。いや、きっとそうなんだ。

よくよく思えばさっきの蔦攻撃だって、所詮は相手の動きを止める、逃げの攻めだ。俺はあの時、怖がっていたのかもしれない。しかも、自分では分からないくらいに・・・。

そう思った途端に、急に体中の力が抜けた。もう途方にくれるしかなかった。


「ケッケッケ!この小僧、完全に力が抜けてやがる。とどめをさしてやるぜぇ!讖蠡鑁蔬齲拳(しんらばんしょうけん)!」


ブチイイイィィィッ!


みるみる内に、奴の手が赤色から緑色に変化していく。

や、やばいよ。あれを喰らったら、確か・・・こっちの能力が一時的に封じられるんだっけ。

「う、うおおおぉぉぉ!」

何も考えなかった。というか、考えられなかった。気付いたら、俺はもう奴目掛けて、左腕を振っているところだった。

ストン・・・

ギュルルルル!

奴の手が俺にスッと触れた。

あ・・・駄目だ。吸い取られちまった。もう何も・・・でき・・・ねぇや。

ドドドドドドドド!

ズドオオォ!

俺は奴にめった打ちにされたうえに、おもいっきり崖の下へとぶち込まれた。目の前があっという間に真っ暗になった。さよなら地球・・・、さよなら、みんな・・・。










さて、この少年の安否、そして、十二魔将の更に巨大な闇とは一体!?

To be continued...

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