5/3 午後
あの後普通に学校に登校、真面目に授業を受けていた。それから昼食を食べ午後の授業に臨む。
「〜〜であるからして魔法とは魔法陣を展開、そして発動させることによって生じる現象であ……起きなさいスザク君!」
そう言われ肩をたたかれる、早起きしすぎで眠くなった朱雀は夢の小旅行へと旅していたところだった。
すると朱雀が起きてすぐにチャイムが鳴る。授業の終了を知らせるチャイムだ。
「では、来週までに課題を終わらせておくように。」
そういうとその初老の教師は去っていった。朱雀は突っ伏していた机から立ち上がり帰宅の準備をする、今日は部活がなくイージスに久しぶりに顔を出すことになっているからだ。だから急ぐ、時間は有限だ。
「おーい。終礼すんぞー」
ルイスが前の扉から入ってくる。いつも通りの終礼が終わると廊下を駆け抜けて玄関へ。靴を履き替えると校門へダッシュ、どうと言うことのない平坦な道のりを七割のスピードで駆け抜ける。五分や十分、少し汗をかいてきた頃目的地へとたどり着く。流れるような動きでドアを開ける。
「こんばんわ〜」
「いっ、いらっしゃい!スザク君、ビスケット食べる?」
「やっぱりリンさんでしたか。」
「え?もしかして市に居たの?」
「ええ、いましたよ。」
「そっそっか〜ハハハ〜恥ずかしところ見られちゃったなー」
「別に良いと思いますよ?」
「え、えへへ〜そ、そう?」
「うるさい。静かにしろ。」
その声につられてソファーの方を見ると二人腰掛けていた。一人はダニエル、もう一人はリュカだ。
「あ、ダニエル、リュカ、ごんばんわ。リュカに会うのは二週間ぶりくらい?」
「ああ、ちょっと遠方まで行ってたからな。今朝帰ってきた。」
「へぇ〜あ、その本、なんて書いてあるんですか?」
「ん?これか?」
そう言うと読んでいた本の表紙を見せてくる。それは朱雀がいつか読んだ文字にそっくりだっからだ、朱雀はそれがちらっと見えたので気になった。
「お礼にもらったその国の歴史書だ。」
「へーどこの国ですか?」
「砂の国だ。」
「え?隣の国まで行ってたんですか?」
「あ?俺たちの管轄はこの大陸全土だぞ?」
ダニエルが当たり前かのように割り込んでくる。
「たったの八人で?」
朱雀は驚くようにそう言う。
「お前もそのうちあるぞ?任務が。」
「うわ、マジか。」
スザク=タカサキは働きたくないのだ。それからリンがコーヒーをいれてくれたのでダニエルの隣に座る。
「つうかお前から来るなんて珍しいな?」
「ん〜もともと今日は来ようと思ってたから。」
朱雀はコーヒーを一口飲んでからそう言う。
「暇か?」
「いや、一応メンバーだし。あ、それよりリュカ。今日は居ないんだよね…?」
後半小さな声でリュカに問いかける朱雀。
「あ?ティーネか?あいつは一人で蒼の国の方に行ってるぞ。」
「一人で、ですか?」
「なんでも祖母の誕生日会だとか。」
「え?ティーネさんって蒼の国出身なんですか?」
「あ、そうだが?ちなみに俺もだ。」
「え?」
朱雀が小首をかしげているとダニエルが続けた。
「言っとくが先月までは本部は蒼の国にあったし十年くらい前は確か西部の小国を転々としてたぞ?俺たちの中で緋の国出身者は俺と、ルイスとダン、あとおまえだけだぞ?」
「へ〜」
「リンは雪の国、アーロンとエイミーは宵の国、ロビンは鉄の国だ。」
「そう言えばロビンさんってまだ会ったこと無いんですけど、どんな人なんですか?」
「なんつうか。」
「変わり者?」
ダニエルとリュカは顔を見合わせてそう言う。
「使う魔法とか、見た目とか、なんかないんですか?」
「いや、あいつは魔法使わないぞ?」
ダニエルから告げられた衝撃の事実に固まる朱雀。
「え?」
「あいつの武器は銃だ。」
「銃?」
「しかも俺たちの知ってる銃とはレベルが違う。」
ダニエルがそう言うとリュカが本にしおりを挟んで閉じる。
「ま、さすが勇者の子孫だよな?」
「ああ。」
またダニエルとリュカが顔を見合わせるようにそういう。
「え?」
朱雀はまた驚いて頓狂な声を出す。
「ん?どうかしたか?」
「いやいやいや、勇者の子孫って、え?」
「ああ!そうか!お前には言ってなかったか?」
「何でそんな重要なことを言い忘れるの?ダニエル!」
「わりぃ、わりぃ。」
(俺たちの知ってる銃とはレベルが違うって事は…もしかして…)
そんな淡い期待をスザクに抱かせているとドアが開く。外は徐々に暗くなってきており真の客のようだ。
「本日はいかがなさいました?」
リンが受付でそう言うと、一言、こうかえってきた。
「ルーデッヒ様からの直々の依頼にございます。」
「おーあいつかー従者さんよ、こっち座れや。」
ダニエルは友達を呼ぶかのように椅子をすすめる、リュカの隣だ。
「はい」
従者は椅子に座る。ダニエルたちの方が長椅子なのに対してリュカたちの側は一人掛けだ。
「んで、何があった?」
「ええ…そのですね…先日、正確には二日前から夜な夜な悪魔らしきものが目撃されていたのですが」
「ほう?」
「それで、その…ついに昼前に…一人の男児が……」
従者が口ごもる。
「スザク、リュカ、今すぐ行くぞ、準備しろ。」
「え?今すぐにですか?」
「ルーデッヒの街はすぐ近くだ。」
「あ、はい。」
「了解。リーダー。」
「リンは留守番頼むぞ!」
「はいなのです!」
ダニエルたちは急いで支度をすると本部から出る、幸いにも従者の乗ってきた馬車はまだ余裕があったので別に手配する手間が省けた。
「それで、どの位で着くんですか?」
「バカか?お前、昼前に事件が起きてそれから飛ばして来たんだ、それでこの時間だぞ?」
「……ハメましたね?」
「人の命がかかってんだ、それくらい我慢しろ、学校には連絡いれとくからよ。」
「はい…」
それから日付が変わる頃までで馬車を飛ばした一行はルーデッヒの、街へとたどり着いた。




