Our Prologue
「なんか面白いことでもおきねーかなー」
そんな独り言をつぶやきながら国道沿いの並木道を歩く。
帰宅部のその男子高校生は名を高崎朱雀、趣味は数多あり自称「世界一趣味を持つ男」。彼はいま、月間の科学雑誌を書店で買い家路へとついたところだった。
その時後ろから声がする
「キャーーーー」
声というより悲鳴に近い。朱雀は空かさず声の方を向く。すると一人のいかにもな格好をした男がその声の主であろう若い女性のバッグを片脇に抱え走って此方へと近づいてくる。
「うわ、まじか」
そんな声が朱雀の口からこぼれる、朱雀は瞬時に彼は背負っていた鞄と先ほどの書店で買った雑誌の入った袋を地面に置く。そしてその男と正対し…ようとしたがその男の右の手にナイフ、今このまま立っていれば無傷では済まないことになる原因であるだろうそれが見えた。
「避けなさい!」
そんな言葉が近くの営業マン風の男からかけられる。その言葉が引き金となるかのように朱雀の体は道路側である右へとそれる。しかしそれが間違いだった。
ブッフーーーーーーーーー
それが朱雀の最後に聞こえた言葉。
生憎にもその時朱雀が立っていたのは交差点の手前。よって車道と歩道を隔てるものは何もない。さらにそこに一台のスポーツカーが猛スピードで突っ込んできた。
享年17、普通はそこで終わり。しかし神は気まぐれたった。寝起きでたまたま機嫌がよかったからだろうか、それとも彼の行いに感動したからだろうか。そんなことは今はどうでもいい。何より重要なのは……。
ーーーーー「知らない天井だ……。」
朱雀は以前から言ってみたかったその言葉を自然と口にする。だが朱雀が最も気にすべきことはこの天井ではなく頭を少し上げれば視界に入るその人物にたいしてだった。
「あっあのーすいません、ここはどこなんでしょうか?」
「ハハハッ、君は凄いねぇ!ここへ来て混乱しなかったのは君が始めてさ!」
無理もない。なんて言ったって朱雀の頭の中にはありとあらゆる情報が詰まっている。勿論、予期せぬ出来事がたま〜に起きると言うことも朱雀は知っていた。そのためこの状況に対して適当な答えを出し落ち着く。、それにかかった時間はその人物からの返答が来るよりも早かった。
「あー、えーと。それで、ここは天国か何かですか?」
無神論者の朱雀でも今この状況ーー自分が死ぬことが確実だった状況で一瞬にしてこんなところへやってくるなど天国以外あり得ない、そうふんだのだった。
「ん〜残念!ここは"神"の部屋だよ!」
朱雀が無神論者であることを知っているかのように必要以上に"神"のということを主張する。
それを簡単に信じるわけにはいかないが、それ以外では自分の知識ではどうにもならない以上朱雀は仕方なく、ただし一時的にその神と名乗る人物を信じることにした。
「えーと、それで神様?が僕にいったい何を?」
「なーに簡単なことだよ!とは言えのどが渇いたろう?お茶でも飲みながら話そうではないか!」
そういうと先ほどまで目の前に大股を開いて立っていたその長い銀髪の紳士とファンキーなミュージャンを足して二で割ったようなその奇怪な男は二つのティーカップの並ぶテーブルへと来るように手招きをした。
「えーとだね!それでだね!」
「とりあえず重要なのことから、たとえば何で僕が生きているかとをお願いします。」
朱雀は神のこの後の口ぶりを察するかのように神に話しかける。
「そうだね、それはぶっちゃけ気まぐれさ。」
突然自称神から告げられる意味は不明な言葉、その言葉が引き金となり朱雀の口元からまだ冷えきっていない口に入れたばかりの紅茶が吹き出る。
「あーあー大丈夫かい?ほら、ティッシュあげるから吹きなよ、あ、私にかかったやつかい?それなら平気だよ私は神だからね。」
そういうと神は右手を顔の下あたりの高さまで上げ指を鳴らす、突然のことに戸惑ったが案の定何かの合図、この場合は服を綺麗にする合図だった。
「ほら、これで信じてくれたかい?」
「ああ、生憎。」
「それじゃあ話が早い続きを話そう。」
その時朱雀が聞いた話を要約するとこうだ。なんとなく暇だったからやった。と十分くらい力説して結論はそれだった。
「えーとあなたが神ってのは信じたんですが、何か目的てきなのもありますよね?この後のこととか」
「いやー察しが良いこと!」
そうすると神はさっきの二倍くらいの時間をかけていかに自分が暇かを語り始めた。結局それは役に立たなかったが、最後の二言三言はかなり強烈に朱雀の頭の中に残っている。
「ーーーーーで、君には異世界と言われる世界に行ってもらうよ。魔法の世界だ。僕はその世界での君の様子を眺めて楽しむとするよ。」
「うわ、なんだよそれ。また死ぬの?魔法の世界って大体にして殺伐として…」
「そんなことはない、楽しいから安心してよ!君には最高クラスの魔法を授けるからさ!」
その言葉によって朱雀の目つきが変わる、大体にして朱雀も少年だ、思春期だ、魔法が使えるなら話は別だ、さらに、最高クラス。この上ない喜びが彼を襲う。
「ああ、そうだな、神よ、どんなのがあるんだ?」
朱雀はそういうとあからさまに体を前に倒し軽く猫背になりながらテーブルの上に肘をつき指を組む。
「ハハッ君は相当楽しみなようだね、かえって此方も楽しみだよ!んーとじゃあ、今から頭の中に魔法についての基礎知識を送るから、とりあえずそれだけは理解してね!」
そういうと、頭の中にあまたの情報が流れ込む。初めからそうしろよ、と思ったが魔法をせっかく使えるのだと、頭の片隅に追いやる。
(ふむふむ、つまり魔法ってのは魔力を使って発動する。魔法には、属性魔法、特殊魔法の二種類があり、前者は火や水を操り、後者は瞬間移動なんかがよくあるやつらしい。魔法の得手不得手は言語のようなもので自分の生まれながらに持つ適正に似た系統はそれなりに使え、根本の仕組みが違うものは一生かかっても使えない場合もある。ということか。適正にが二つある場合もあると。)
「大体理解してくれたかね?」
「ああ。今のところは大丈夫だ。」
「それじゃあ、次行くよ!」
朱雀は再び頭の中に入ってくる情報を理解しようとする。
(えーと。僕の適性は創造性と操作系の魔法か。両方特殊魔法だな。これでできることは…ええと…前者が剣を即席で作り上げたり、罠なんてのもできるのか、後者は遠くにある石を動かしたり、ああ!これは、凄い、これも!これも!おお!!!!)
「ねぇ、神様、これ凄いね?」
「君は元々そういうことに長けているようだ。」
「ああ、かもしれない工作とか好きだし。」
「まあ、本当は最初からそのレベルの魔法は使えないんだけどね、あとさ、特殊魔法が適正の人って基本それしか使えないから、気をつけて。それにほとんどの人が属性魔法だから目立つよ?特殊魔法の二個持ちとか。」
「隠す方法とかは…?」
「特別に一つ属性魔法の適性をあげよう。雷でいいかな?メジャーだし。ただしこっちは自分で鍛えること!他の二つみたいな大技はしばらくは使えないからね?」
「ナイス!神様!それじゃあ、紅茶も飲み終わったしそろそろいくよ!そんじゃあ!見ててね!」
朱雀は抑えきれない興奮、たいていはその魔法に対してを露わにしながらこの無機質な部屋には不釣り合いな木製のドア、その上には異世界への入り口と書かれたそのドアをとおり、第二の人生へのスタートラインから一歩を踏み出した。