089. セフィリアオンデスの受難
セフィリアオンデスは、溺れていた。
急に、「床」が無くなり、とにかく、落下。
「あ!?」と思った時点で、ひやっとした恐ろしく冷たい感覚が全身を包む。
実は、さっきから、落下と浮上を何度も何度も繰り返していた。
そうでなくては、自分が「溺れている」と把握するのも難しかっただろう。
初めて床が抜けた時、よくわからないまま呼吸ができずもがいていた。
もがいていたら、またも前触れなく、ふと束縛がとけたような感覚。
息がつける。
さきほどまでいた床の上に自分は座り込んでおり、かつ、水滴が全身から滴り落ちていた。
なに? 水にでも、落ちた??
この有翼人種のスミカ、入ったところの、この世界唯一の鉱石の柱がある場所。
何度も何度も、床が、勝手に消え、そして、いつの間にか戻っていて、ずぶぬれの自分がその上にへたりこんでいたりする。
その度に落下と浮上を繰り返す。
怒る気力がでないほど疲れる。
とはいえ、
一体、これはどういう事態!?
とまでは、思わずに済んでいた。
なぜなら、この世界の唯一の鉱石の柱、『鉱石の王』から、この世界の地図と歴史を伝えてもらった後だったからだ。
いや、それでもだ。
どうして何度も落ちなくてはならないのか。
どうして、そこにいるアイツは、嬉しそうに眺めているだけなのか。
ちなみにアイツとは、この世界の住人、背中に羽を持つ有翼人種である。
「ちょ・・・・!」
ちょっとなんとかしてよ、アンタ、ゲストにこれは失礼でしょ!
と全く言いだしもできないまま、やっと浮上したというのに、またもやセフィリアオンデスの足元の床が抜けた。
ざっぱん。




