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074. 運命
“偉大な建築家・クリスティンっていうより、いたずら妖精のセレスティンみたいだよね。”
皆で、セレスティンと呼んでいた。
だから、呼ばない本名など忘れていた。
クリスティン!
アトの脳裏に、学校でルナード先生に怒られているクリスティンの姿が蘇る。
クリスティン
そうだ
彼も 早くに 運命を聞いた。
何? 運命?
アトはゾワリとした。
運命。
それは
他人が 決めるものなんだろうか
そんなバカな・・・!
「皆さん、お待たせした。アトロスが戻りました」
アトははっと我に返った。
アトに続いて柱の陰から出た父が、自分を抜かして自分より半歩先に立ち、玄関ホールの皆に声をかけたのだ。
皆が一斉に、息を飲んで自分たちを見つめた。
その視線は、まるで空気の塊のように、アトを打った。肌が、皮膚の表面が、ピリピリっと震えた気がした。




