068. 探索
アトは、見知らぬ世界の中、結果としてあの金茶色の人を探していた。
黒いフォエルウが消えてしまったのには驚いたが、やはり違う世界の生き物で、自分の世界に帰ったのかもしれないと思った。
もう自分も帰ろうか。
黒いフォエルゥもいないし、誰の気配さえない。
「・・・・・」
とはいえ、あまりにも何もしていない・・・気がする。
もう少しは、探した方が、良いような気がした。
そんなわけで、文字通り全く当ても無いまま歩いてはみたのだが、
・・・・ 正直、また会える気がしない、
と アトは思った。
何分、どちらの方向にいったか、さっぱり掴んでいないのだ。
「・・・・・・」
アトは、延々と続く白い陰影のある地面を見つめた。それから空も仰いだ。
「・・・・・・」
やはり帰ろうかな、と。思う。
あたりを探したが、誰も―・・・・。
・・・・いや、やはり探したほうが・・・
しかし会えそうには・・・。
「・・・・・・・・ん」
フとアトは気付いた。
母の言った「外からの商人の娘」。
そういえば、今日(もう昨日か?)の学校帰りに、トルカに言われてチラっと姿を見たじゃないか。
とはいえ・・・随分遠くで、馬車の影かなにかで暗くてよく見えなかったけれど。
そういえば『暗い目で見られてた』なんてトルカが言ったのを思い出した。
トルカの視力は良くないから、真偽の程は分からないが・・・トルカのことだから印象をそう表現したのかもしれない。
アトは金茶色の瞳の主を思い出した。怒っていたあの人。羽根を盗もうとしたり、喚いたり。ダッと勢いよくかけていったあの人。
『暗い目』なんて、トルカは言うだろうか? あの金茶色の瞳をした人について。
・・・・・。
アトはこの白い世界と青紫の空、ポツリと立って考えた。
印象が、違う。
別の人・・・・? あの人が、迷子の子では、無い。
そう思ったときに、妙にその考えに納得した。
あぁ、ここにいてさまよう理由も無い。
アトは後ろを振り返った。
帰ることを意識すると、チラチラと「帰り口」が光る。
帰ろう。
アトは思った。




