067. 邂逅
あの有翼人種のスミカは、まるで、薄っぺらい岩盤―もっとふわふわ頼りない素材ではあるが―を、幾重にも立てかけ、積み重ねたような姿をしていた。
そして、大きい。白い山のようだった。
有翼人種は一度も自分を振り返ることなく、スルリとその山の中に入って行った。
「あ、あのヤロ・・・」
セフィリアオンデスはそれを見てやはり悪態をついた。
「自分だけ、そんな『上』から入る!?
普通、迎えるだろ!?
こっちはどっから入るのよ、えっ!?」
とにかく、山に一目散に駆けよる。
「・・・・」
どこ? どこから入る。
セフィリアオンデスは、両手を、その白いふわふわしたような素材の壁につけて、気配を探ろうとした。
「・・・・」
「ん?」
ちょっと力を込めると・・・両手が、壁の中に、入り込むのである。
どういうこと? そういうこと? そういうことで良いの?
「・・・・・・・・」
良いのかもしれない。
セフィリアオンデスは、そのまま、壁の中に踏み込んでみた ― ら、 踏み込めた。
顔に、ぶわっとガスがかかったような圧迫感があった。
そのまま我慢して二歩進めてみると、圧迫感が無くなり― 目の前に、「ホール」と呼ぶべき空間が広がっていた。
白い壁。
高い天井。
淡い光。
白い床。
そして。
セフィリアオンデスは息をのんだ。
ホールの中央に、白い柱状のものが、まるでここに来るものを出迎える役目であるかのように、立っていた。
タッ
気がつくと同時に、走って近寄った。
自分の背丈の5倍はあろうかというその白い柱。
セフィリアオンデスは両手をペタリとつけた。
しっかりとした存在感。
「私たちの友人― 第五世界の、唯一の鉱石 ・・・」
セフィリアオンデスは、ペッタリその柱に抱きついた。
「第五世界の鉱石の王― 」
目の前の柱からは、言葉は返ってこない。
目の前の柱は、ギリギリ、分類してみれば鉱石に属する、と、セフィリアオンデスたちが思っている状態のもので―。
感覚としてつながるものはあっても、はっきりと「言葉」では返せない、そう気付いた。
それでも、言葉ではなく、感覚で、相手から喜びが伝わってくる。
言わんとする言葉が推察できるぐらいに。
ヨク キテクレタ キテクレタ ホントウニ ヨク キテクレタ !!!
「遅くなっちゃったね」
セフィリアオンデスはぺったりと柱に抱きつきながら、囁いた。
「私は セフィリアオンデス」
タノミガ アル セフィリアオンデス
アノ ヒトヲ タスケテ クレ
「うん」
ミテ イラレナイ
ツラソウデ クルシイ ノダ
「・・・・私たちの友人、第五世界の唯一の鉱石― 第五世界の 鉱石の王―」
セフィリアオンデスは囁く。
「あんたの頼みが、ずーっと、私たちの世界にまで響いてくるんだ。
ずーっと、あんたは助けを求めてた。
私たちの慈悲深い友人。
叶えたくて、世界は私をあんたのいるこの世界にまで送ったんだ。
すごく時間がかかっちゃったけどね。
それに、予想以上に、あんたに会うのにも時間がかかっちゃったよ。
―あと3日・・・えーともう2日ちょっとかな・・・
とにかく力を尽くすよ。
そうでなきゃ、何のためにここまでやってきたんだか!」
ウケトレ
セフィリアオンデス
白い柱が、ウォン、と、鳴った。
ポゥと、白い柱が穏やかな光を放ち― それは ぺったり柱にはりついているセフィリアオンデスに吸い込まれた。
セフィリアオンデスは、光に目をパシパシと瞬かせた。
「・・・・・」
脳裏に広がるのは― ・・・
コノ セカイ ノ レキシ ソシテ コノ セカイ ノ チズ
「・・・・あぁ」
セフィリアオンデスは、ため息をついた。
「・・・ あいつら ふざけてる ・・・」
タノム タノム タノム
「うん」
セフィリアオンデスは、白い柱にぐっと額をつけた。決意をあらわすために。
その金茶色の大きな瞳が、ランランと輝いている。
絶対に、叶えて見せる。
負けるものか。
みてやがれ、あの 有翼人種!
世界の広さを、見せてやる!




