065. 新しい大地
タッタッタッタッタッタッタッタ・・・
白い世界、セフィリアオンデスは、ほぼ全力で有翼人種の後を追いかけていた。
タッタッタッタッタッタッタ・・・・
「あのヤロウ!!!!」
そこそこの上空を、まったく振り向きもせず、先に飛ぶ有翼人種に、セフィリアオンデスは走りながら悪態をついた。
「ゲストって言葉の意味、知ってる!? 知っててこの扱い!? ンキーッ!!!」
青い石との引き換え条件。
それは、有翼人種のスミカへ、自分をゲストとして招くこと。茶を振舞ってもらうこと。
加えて、私たちのクリスティンの頼み― ダロンって子を探すこと。
青い石は、先に手渡した。
有翼人種は、有言実行な性格だろうと思っているからだ。
有翼人種は、石だけもらって、ハイ、サヨナラ、なんてことはしないだろう。
そして、果たして、青い石を受け取った有翼人種は、石をじっと見つめた後・・・
背中の羽根を広げてバサァっと飛び出した。
一切の声がけもなく。
タッタッタッタッタッタッタ・・・・・
「チッ・・・ まったく、ついていけるからいいけどさ!!!!
『ついてこい』とか、なんとか、あるだろがっ!」
慈悲も気遣いも感じられない速度で飛ぶなんて! それが「ゲスト」に対してすることか!
あぁ、ついていける自分を褒めてあげたい。
ま、私の移動能力、半端ないけど。
と・・・。
「ん?」
セフィリアオンデスは、ふと、自分が今まで踏みしめたことのない場所に入り込んだことに気がついた。
そういうことか。
セフィリアオンデスはこの世界について一つ気付いた。
今まで、散々自力で「スミカ」にたどり着こうとして、たどり着けなかった。
自慢の脚力でこの世界を駆けまわったのに、一切そんな場所には出なかった。
絶対あるはずの「スミカ」。でも、見つけられない。
おそらく、この世界は、自分が思う以上に形がいびつなのだ。
今までいた場所は― たとえるなら、「袋の内部」。
そして、小さな穴を通ってしか、その袋の外には出れない。
その袋の外に、「スミカ」もある。そんな感覚。
今まで、自分は、その穴を見つけることができずに、
袋の中を、ぐるぐるぐるぐる、駆けまわっていたのに違いない。
セフィリアオンデスは、自分よりは大分遠くを飛ぶ有翼人種の姿を、怒りを無くした目で見つめた。
やはり、ちゃんとスミカへ案内しているのだ。
踏んだことの無い場所だ、というのがヒシヒシと、セフィリアオンデスには分かる。
伝わってくる感覚。新しい場所であるという感覚。
そして、その中に。
自分たちの仲間― この世界唯一の「鉱石」の 自分を呼ぶ声が 響いている。
タッタッタッタッタッタッタ・・・・
走りながら、
セフィリアオンデスは無意識にスゥと両眼を薄く閉じた。
長かった。
ここまで辿り着くのに
これほど時間がかかるなんて。
あと3日。
大丈夫。
私たちの友人。
この「第五世界」の鉱石の王。
あなたの願いのために、私はこの世界にやってきた。
お待たせしたけど もう 今すぐ 会えるから。
あなたの願いは 私が叶える。




