064. パパの運命
どこか世界の片隅で 背の大きな羽根で空を舞うように飛ぶ者がいて
その世界の片隅で それを勢いよく追う金茶色した者がいて
腕の先の無い少年が 消えたトモダチを思って途方にくれる
またどこか世界の片隅で 涙を落とす子どもに父が話した。
「いいかい、これは、秘密のお話だよ」
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クリスティン。
約束というのは、守るものだね。破らないようにするのが『約束』だね。
でも、実は、その約束を破った方が良い事がある。
例えばね、そうだね、
お昼には家にかえってきなさい、絶対だよ、とパパがクリスティンに言ったとするね。ママの誕生日祝いをするとかね。
クリスティンも うん、と答えたとしよう。
クリスティンは、パパに、『絶対お昼に家に帰ってくる』という約束をしたことになるね。
約束は守るのが当たり前だよ。クリスティンはちゃんとお昼に家に帰ってくる。
でも、こういう日だってある。
クリスティンが家に帰ってくる途中で、
誰かが木から落ちかけていて、「助けて」って泣いている事だって起こったりする。
助けていたら、お昼に絶対帰るというパパとの約束が守れないかもしれない。
ちゃんとお昼に帰らないと、もしかしてママのお祝いがちゃんとできなくなってしまうかもしれない。
どうしよう?
皆、時々ね、自分が守ってきた約束を破って、もっと大切に守りたい事に出会ったりする。
パパが言われた、パパの運命は、とても変わっていたんだ。
パパの運命は、皆に、『約束を破ることを、考えさせてみること』だったんだ。
クリスティン。
石塔の老婆様との約束について、今、もしかして、考えてみてもいいかもしれない。
クリスティンはあれからもう随分お兄さんになったね。
クリスティン、その約束を守る事で、何を守ってきたのかな。
その約束は、破ったら、何か困ったことになると、言われたのかな?
もし良かったら、教えて欲しい。
話せるところがあったら、その部分だけで良い、パパとママも、一緒に考えてみて良いかな。




