60/475
060. 閉じた空
視界が、ふいに、暗くなった、と感じた。
声も、急に、聞こえなくなった。
ついさっきまで、自分に、確かに、この自分に向けて、語りかけていた声。
どこへ行った?
どこへ 去った?
立ち上がろうとする
ゴン、と、斜めの柱に頭をぶつけた。
イタイ
あぁ、そうだ、注意が必要だ
ここには、斜めに・・・
この
部屋
この
部屋
部屋
いつも の
ここは
どうして
どうして
なぜ
戻ってきた のか
ここは?
あぁ
“オォオオオオオオオオオオオオ・・・・・・!!!!”
閉ざされた空を見上げて 体の中から声を絞り出した
“オォオオオオオオオオオオオオ・・・・・・!!!!”
“オオオオオオオオオオオオオォオオオオオオオオオオオオ・・・・・・!!!!”
イヤだ
帰して
こんな所には 戻りたくない
帰して
あの 誰かが傍に居た場所に
あそこに帰して!!!
************
耳というよりも むしろ 体の奥に響くような声に
まどろむように 生きるように たゆたうように もう逝くように
眠りについていた 町の司祭が眼を覚ました。
“オォオオオオオオオオオオオオ・・・・・・!!!!”
狼? いや これは ヒトの声




