057. 取引
有翼人種は、あっさりと答えた。
「分かった。応じよう。
―欲しいのは、私の羽根だな?」
「違う」
きっぱりとセフィリアオンデスは答えた。
「違う?」
有翼人種は不審の眼差しでセフィリアオンデスを見た。
「お前がずっと狙ったのは、私の羽根―・・・」
「それでは見合わない」
セフィリアオンデスは真顔で答えた。
「私が求めるのは、アンタのスミカへの招待状さ。そして、茶を一服振舞ってもらおう。
ゲストとしてね」
「何を― お前を、私のスミカへ招くだと?」
「イヤなら断れば良いだけ。
それに、こっちの要求はまだ終わってない。
クリスティンから頼まれたの、聞いてたでしょ。ダロンって子を探すのを手伝ってもらおう。
アンタなら、超簡単に見つけられる、違う?」
有翼人種は、じっとセフィリアオンデスの顔を真顔で見つめている。
生憎と、こっちも真面目さ、と、セフィリアオンデスは思った。
「・・・分かった。受けよう。」
有翼人種は真顔で答えた。
「だが、先ほども言ったが、ダロンというのがこの世界に入ってきた形跡は皆無だ」
「探すのよ」
セフィリアオンデスはにらむように言った。
「アンタは、万能じゃない。知らないところで紛れこんだ可能性だってあるさ。
探すのよ。
私たちのクリスティンのためにね」
有翼人種は、珍しいものでも見つけたような顔を、静かにした。
「盗人は、仲間意識が強いらしい」
などと言った。
お前、許さん。そもそも、盗人という判断はアンタ側からだけのものだ。
「分かった、探す努力はしてみよう。居ないと分かっていてもな」
「じゃ、まず先にスミカへ入れて」
セフィリアオンデスは、言いながら、ぎゅっと右手の青い宝石を握った。
クリスティン、話せて嬉しかったよ。
ごめん、皆。クリスティンと話せる青い宝石、取引で使っちゃった!
でも、許してくれるよね! だって、目的はどうやったって果たさないとね!




