051. 紛失
アトは、キョロキョロと周りを見回した、が― 基本が白いこの傾斜のある場所で、青い色は目立ちそうなものなのに、どこかの影に隠れているのか、青色など目に留まらない。
アトはもう一度この景色を見回してみた。
赤紫色の空。
それなのに、どこか 町にでる夜の霧のように、白い粒子が空気にただよっているような色彩。
白い坂道。陰影があるため、ところどころでこぼこしているのが分かる。
けれど、基本が白い世界。モノクロ、というには黒が少ない。
もしかして、生きている者には色彩があるのかもしれない。
自分や、黒いフォエルゥや、見失った金茶色の瞳の人や、翼を持つ白い人―。
まるでこの白い世界に浮かぶように、様々な色彩を持っている。
ま、白い人は、白っぽかったが―・・・。
坂があり、木などは一切ない。
なだらかでない地面だけがある世界。
「・・・・」
とりあえず探そうか。母のペンダント。
隣に、黒いフォエルゥが追いついてきた。
ダメモトで、アトは尋ねてみる。「ねぇ、このあたりで、青い石がついたペンダント、見なかった?」
“・・・・・・・・”
歩いたためか、黒いフォエルゥはやや呼吸が荒くなっていた。そのためか、返事は無い。
「うーん・・・」
アトは、ちょっとウロウロとしてみた。
見当たらない。なんだかちょっと面倒くさい。
失くすと何が困るのだったか。
えーと・・・会話するのに必要だから、とか云々・・・。
まぁ良いか、と、アトは思った。
そんなに長くここにいるつもりは無い。何か聞きたい事があれば戻ればよい。
そこで、また気付いた。
ここからどうやって帰れば―・・・。
まさかアレを失くすと帰れない、なんて事で無かったら良いが―




