005. 帰り道
すぐさま、僕にはたくさんの疑問が湧いてきた。
だって 正直・・・意味が分かりません!
何から聞こうか口をあけて・・・ちょっとパクっと動かした瞬間に、目の前の景色がブレて、真っ暗闇にいた。
「・・・」
あまりのスピードに驚いて、僕は首だけキョロキョロ動かして、思わず後ろを振り返った。外へ繋がる出口があった。
まさか。あり得ない!!
と思った瞬間にも、僕の周りがパアッと明るくなって・・・。
僕はまた前を振り返った。
「・・・・・・・・・・えええええええええええええええええっ!!!!?????」
僕は大絶叫した。
「開けてよ!!! 開けて!!!」
僕は、再び閉じられた塔の前に居た。僕は必死で、扉を腕で叩いたり探ったりした。
「開けてくださいっ!!!」
思いっきり蹴ったけれど、木製のはずの扉は、石のように硬くて、きしむ音さえ出さなかった。
「あっ、、、こっ・・・・・っ!!!」
僕はもう叫ぶ言葉さえ失って、最後には口をパクパクした。
信じられない。
生涯、待ちに待っていた瞬間が、こんな内容で、こんな風に終わるなんて。
信じられない!!
僕はトボトボと、居城へと戻る道を歩いた。
なんだかフツフツと怒りが湧いてきた。
なんでだろう?
でもなんだか酷すぎる!!!
言われた言葉だけがどんどん頭の中で膨らんできた。「あなたは世界を救うだろう」
ん? そういえば、「すぐに旅立ちなさい」とも言っていた。
どうして。
もくもくと、もくもくと、ガシガシ歩いて、行きには気付いた『復讐ガエル』がまだ地面にへばりついているのに気付くのが遅れた。
あ、ヤバイ。
と思った時には踏んでいた。
ピシャッと、靴に青いカエルの体液が飛び散った。
空気が唸った。
空気が固まりのように盛り上がった。
ヤバイ!!!
僕は走り出した。
前から後ろから、地中から、仲間のカエルたちが僕に向かって突っ込んできた。
信じられない!!!
僕は全速力で走った。
顔にも飛び掛ってくるのを払いながら、ただただ、全速力で走った。
ようやく振り切ったのは、池の入り口、墓の辺りだった。
ちょっとむせた。
情けなくて、僕は、口にだした。「今日は最悪だ」
本当に最悪。超最悪。
朝は、今日は最高だと思ってたのに。チクショー!
塔も、カエルも、皆みんな、ばかげてる。
なんだよ、 踏まれたくないなら道の真ん中になんか居るな!! ていうか集団で踏まれにやってくんな!!! 生き物としてあり得ないだろ!!
あの婆さんも最悪だ! なんだよ! わけわかんないよ! あり得ない!
髪も服も、もう全てがドロドロだった。
気持ちが悪い。
早く帰って、着替えなくちゃ。
ムシャクシャしたまま、僕は道をまた歩き出した。
「ん?」
気のせいか、なぜか僕は振り返った。
池の方が、どうしてだか、気になって。
池はもう、少し遠くなっていた。
お墓の向こうに、広がっている。
霧が出始めていた。
僕は目をしばたいた。瞬きしたら、まぶたがネチャネチャ音を立てた。
僕は、遠くからじっと見つめた。
池に、何かが浮かんでいるように見えた。
墓の向こうに・・・。
なんだろう、気味悪く思った。
なんだろう。
僕はお墓から声が聞こえてきそうに思えてぞっとした。
慌てて、居城への道を走り出した。
「世界を救うだろう」
あぁ、僕は、領主の息子だもの。僕は領主になるだろうから。
僕が領主でいる時に、何か大変なことが起こるのかもしれない。でもきっと僕が機転を利かせて危機を救うんだろう。
そんなこと、言われなくても、僕は頑張るよ・・・父のように領地を治めてみせる
どうしてすぐに旅立てって言ったんだろう。
領主になるには、色んな勉強が必要だから・・・。きっとそうだ。
信じるんだろうか? 僕は。
僕は、自分に言われたあの言葉を、信じるんだろうか。あの老婆を、信用するんだろうか。
運命? そんなの知らない。
僕は僕がなりたいようになる。
『運命の言葉』なんて関係ない。
“ ァ ト ・・・・・・ ”
どこかで呼ばれた気がした。
そんな気がしただけだった。
門をくぐって、居城にたどり着いた。
フォエルゥが僕に気付いて、ゴォフッと喜びに一声あげて、駆け寄ってくるのが見えた。