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045. 翼の人

「このケチ!」

金茶色が、喚いている。

「羽根の一枚ぐらいどうってことないだろ!」


どうやら、あの金茶色の瞳の主は、あの白い人の背中の翼の、羽根を狙っていたらしい。

そして、一枚もぎ取った、らしいが、

すぐに取り返されたらしい。


白い人はすでに金茶色の瞳の主から離れ、上空に浮いていた。

アトの居る場所からはやや離れているが、低い言葉がはっきりとアトの耳にも届く。

「盗人猛々しいとはこのことだな」


恐ろしく冷ややかな声だった。あの白い人は金茶色の瞳の主が嫌いなのだろう。

まぁ、それもこの状況を見るだけでも、仕方が無いだろうな、と、初見で第三者のアトでさえ思った。


「一枚ぐらい寄越してくれたって良いだろ! 羽根を返せ!」

「セフィリアオンデス。お前には抜け毛の一本たりとも渡さん」



白い人は、そのまま、背中の羽根をバサァっと動かし、左の方へ立ち去る気配を見せた。

金茶色の瞳の主は、いきり立って叫んでいる。

「返せ! 奪った羽根はもう私のものだ! 私のものだぞ!」


ふと、白い人が、気がついたようにアトたちを見つめた。


アトは若干ぎょっとした。悪いことをしたわけでもないのに監視員に見つかったような気持ちだ。


白い人はその中空に留まったまま、アトたちに告げた。


「お前たちも、自分たちの世界に帰るのだ。

 何かしようものなら― 私はお前たちを排除する」


ただ真顔なのに、非常に殺気を感じた。



あぁ、本気で怒った、学校のエルテアス先生に似ている―


過去の身に覚えある事件を思い出し、アトはブルっと身震いした。


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