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044. 4

坂から転がり落ちたアトは、黒いフォエルゥに― 足からぶつかった。


幸い―といって良いのか、本当に丁度、足の裏がどーん、と黒いフォエゥルに当たった形で、アトの方はノーダメージと言っていいぐらいの当たり方だった。


が、そんな当たり方をされた黒いフォエルゥは、大きな体を後方へ崩し、ドーン、としりもちをついた。“・・ォ・・・・”


「ご・・・ごめん!! えーと・・・フォエ・・・ルゥ・・・みたいなの」

アト自身も、地面にへたりこんだまま、向かいの黒い巨体に侘びを入れる。


“ォ・・・”


目の前の黒い巨体は、一体何が起こったのか把握できていない様子だ。



「ご、ごめんね・・・。キミに当たるつもりじゃなかったんだけど・・・」

アトは、立ち上がろうとした。


”ウォオ・・・・”


目の前の黒い巨体は、まだ声を出しながらも、動く気配が無い。


アトは間近で見て、あぁ、やはりフォエルゥでは無い、と思った。もっとも、黒い時点で、フォエルゥで無いこと位分かっているのだが。


しかし、似ている。

体全体が、長い毛で覆われている。

とはいえ、フォエルゥの白い毛は、毎日ブラッシングしたり、庭師のデルボやサルト始め、メチルやマチルダさんが水浴びなどをさせてやったり色々世話をしているので、フワフワ風通りが良い毛質である。

目の前の黒い巨体の毛は、一本一本が波打っており、油だろうか?黒々と光っている。

それに気付いた瞬間、ツン、と、濃い体臭がアトの鼻をついた。どこか酸っぱいような匂い。臭い。何か色んな匂いが混ざっている気がする。全く水浴びなどしていない感じ。


アトは、はっとした。

足の甲に気付いたのだ。

やはり黒ずんでいるが、それはフォエルゥの足とは全く似てもいず、むしろ人の足の形をしていた。


まさか、黒いフォエルゥは、人―・・・・・?


アトは瞬いて、大きな黒い巨体をもう一度見つめなおそうとした。



「何をしに―     ウアアアアアアアアアアア!!!」


背後から、悲鳴が聞こえた。

ギョッとアトは背後を振り返る―。



少し離れて、宙に浮かぶ人―白い衣に黒い帯を締めている― が、両腕を上げ、両手で背中を触ろうとしている。

背中のあたりから、やや黄色っぽい光が流れ出るように浮かんでいる。


一体、どうしたと言うのか―・・・



さらに遠く、金茶色の髪に黄土色の服を着た人が、一目散に向こうへと走り出したのが、見えた。




「おのれ―・・・・ 異世界の住人どもが!!!」


白い翼の人が、バサっと、翼を動かし― さらに飛び上がった。背中から、黄色の光がパァっと散る。


「待て! この盗賊ー!!! セフィリアオンディス!!!」




一体 ― ・・・。

アトが事態についていけないのを自覚する中、

瞬く間に、金茶色の瞳の主は白い翼の人に捕獲された。


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