042. 叱責
「あの・・・」
アトが声をかけようとすると、瞬時に、キッときつい金茶色の大きな瞳で睨まれた。
「静かにって、言っただろ!!」
なんだなんだ。
アトが、自覚が無いながらも、不満げな顔でもしたらしい。
金茶色の瞳の主は、さらにきつく小声で畳み掛けた。
「ジャマするなら、突き落としちまうよ!」
その顔は結構な迫力があった。黙った方が良さそうだ。
金茶色の瞳の主は、また、アトの左側へ顔を向けて、ジィっと何かを伺っている。
オォオオオオオオ!!!!
また咆哮が聞こえて、アトはハッとした。
アトも左に顔を向けた。
白い大きな翼が見えた。アトは一瞬キョトンとした。大きな鳥? いや、翼の向こうに、人の後頭部が・・・下には足が・・・。
人の背中に、大きな鳥でも乗っかっているのだろうか。
そういえば、先ほど背中に大きな白いものをつけた人を見た―・・・。
バサァ、と翼が羽ばたき、ドッとアトの方に風が来た。
一瞬風に押されたが、その向こうを見てアトは思い出した。
黒いフォエルゥ!
思い出した!
槍と、黒いフォエルゥ!
理由など要らない。助けなければ!!!
アトは咄嗟にその場から踊り出した。先ほど転がり落ちたことなど忘れていた。
「あのヤロ! 助けなきゃ良かった!」
後ろで金茶色の瞳の主が毒づいたが、アトの耳には入らない。
地を蹴って、白い翼に体当たり―・・・と、白い翼は、先ほどの羽ばたきで上空に位置を移していた。
体当たり先を失ったアトは、その勢いでバランスを崩し、坂を転がった。
その先に、黒いフォエルゥ。




