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039. 白と黒

怒声に、アトは思わず怯み、身を引いた。が、すぐに、自分に対しての言葉では無いと気がついた。


開けた視界、青紫の空、白い― ここは山の中だろうか? 木は植わっていないが、右上から左下へ、急勾配の坂の途中に居るようだ。


その右上に、大きな白いものを背負った人が居る。その人は左下を真っ直ぐに見ている。アトのことなど気付いても居ないようだ。


アトは、身をすくめながら、左下を見た。


 ウォオオオオオオオオォオオ・・・!!


左下に、真っ黒い― 毛むくじゃらの―・・・


アトは呟いた。「・・・フォエルゥ・・?」


いや、フォエルゥでは無い。そもそもフォエルゥの体毛は真っ白だ。



アトがその真っ黒い存在に一瞬でフォエルゥの姿を重ね合わせた時、右上の白い大きなものを背負った人からキラリと光が見え―

何かと目を移す。


槍先が光ったのだと分かった。

そして、怒号の主がこの人で、怒号の相手が、フォエルゥに似たあの黒い存在で―


フォエルゥを槍で射抜こうとしている!!


その一瞬の思いで、アトは足を踏み出した。止めなくては!!!



グラリ


踏み出した足元には何の地面も土台もなく―アトは踏み出した右足と勢いそのままに、体が傾くのを感じた。


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