027. 緊急通知
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NO30902 ローハス発信
一般人が、『聖域』に移動したと推測される
個人名は不詳 性別は女性
発見の方法を知るものは、DO912 クリスティン へ助言を求む
また イシュデン領主は DO912 クリスティン へ助言を求む
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それは 定期的に 何度も何度も発信された。
「緊急通知」という形で、不特定多数に発信された。
それから、様々な情報が飛び交った。
年齢は、いったいいくつぐらいだ、とか。
情報が少なくて手のうちようがない、とか。
個人名が不詳とはどういう状況だ、とか。
『聖域』と呼ばれる場所に、人が入り込んでしまうなんて、知らなかった。
この青白い品物は、単に、どこかに繋がる―声を伝える、連絡用の道具なのだと思っていた。
これほどたくさんの人の声が入るのも今まで聞いたことが無かった。
今までは、どこかの誰か二人の会話であったりしただけで。
今までこんな発信は耳にした事が無かった。
異常事態―緊急事態なのだろう。
自分も加われば良いのだが。
オォゥ・・・
語りかけようとした。
声がうまくでない。
いや、聞こえているはずだ。
ウォオウ・・・
目の前、広がった青い光に向かって ― 自らもその交信に加わろうとして、声を発してみる。
ウォ・・・グゥグ・・・
ウォ・・オゥ・・・ウォ・・・
<それにしても、『聖域』にそんな性質があったとはな>
どこかの誰かが会話している。
≪驚く事は無い。そもそも、神の世界を使わせていただいているだけなのだ。
むこうに吸い寄せられる者がいてもおかしくは無い。
だからこそ、『祭壇』は秘密に管理しないといけないのだー≫
<あなたのいう神の世界は分からないが、とにかく、我々の世界とはまた違う空間には違いないな>
〔昔、師に聞いたことがあります―。耐えられない者は、この世からあの世へといってしまうと。
今回の女性も、よほど耐えられない事があったのでしょう・・・〕
会話の者の嘆息が聞こえる。
グォ・・・ゥ・・・
耐えられない事があったのか。だから、人が消えてしまったというのか。
なんて― なんて危険な道具!
・・・・!
気がついた。
なぜ、己の手元に―・・・ そんな道具が、あるのかを。




