表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/475

022. 深夜

濃霧の笛が鳴ったのは、アトの父親―イングスと、メチルの父親―グィンが話をし、

そして、商人に話をし、そして三人ともがチラチラとアトを見ながら―


間違いなく、自分を旅に連れて行ってくれるよう頼んでいるのだ―


そして、父とグィンがまるで目隠しのような位置に立ち、商人に、袋に入れた別のコイン(?)を渡したようだ。



あぁ、僕は旅に出るらしい―



アトがため息をついたのとほぼ同時ぐらいに、霧笛が鳴った。

濃霧を知らせる、物知り博士のオクロドウさんが鳴らす笛だ。

オクロドウさんは、いつも夜になると一番北西の部屋に居て、霧の様子を観察している。



目の前が真っ白で見えないぐらいの霧が夜に出る。

時間は季節によって変わるが、日によっても前後する。

真っ白な霧は、本当に視界を奪って危険なので、父が外出を禁じるようになった。


オクロドウさんが鳴らす笛は、とてもよく響き伝わり、町にさえ届く。


町の担当者が、この音を聞き取り、町の建物内についている鈴を鳴らしあい、濃霧を伝える。

鈴が鳴ると、やはり担当者が外へ開く扉の鍵を全て閉める。


町そのものは、扉の中に通路があるから、外に出れなくてもある程度行き来できる。

そして皆、帰宅し、眠りにつく。

外出を禁じる笛が、自然と、帰宅・就寝の合図にさえなっていた。




笛の音を聞いて、鍵を閉める係りのデルボが玄関ホールをズカズカつっきって、玄関の扉をガチャリと閉めた。

商人が驚いた。


「アトロス」 説明をグィンに任せ、父がアトを呼んだ。

「はい」

「マチルダとメチルに、客室の用意をするように頼んでくれ」

「はい」



今日は、客人が館に泊まるようだ。




***




考えてみれば、本当にたくさんの事が起こった一日だった。

そもそも、外からの者なんて見たのはこれでようやく3人目だし、客が館に泊まるのは初めての事だった。


だからだろうか。


深夜。アトは、なぜだかパッチリと目が覚めてしまった。



「・・・」


どうして目が覚めたか分からないが、もしかして色々あって興奮しているのだろうか。



「・・・」



喉が渇いた。かもしれない。

が、いつもは朝まで寝るのだから気にしなくても良いのかもしれない。


このままもう一度寝てしまうか。









何か 気配を 感じた。



アトは、耳を澄ませた。




確かに・・・何か・・・気配が、廊下で・・・しているような・・・。


フォエルゥの気配では、決して無い。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ