20/475
020. 両替
グィンは、貨幣の詰まった箱を持ってきていた。
商人とグィンが会話を始めた。グィンが、玄関ホールに入れた商人の幌馬車を指差し、何かを身振り手振りでも伝えていた。
「この方は、両替に来られたのだ」
父がアトと、それから不思議そうに見ているデルボに教えてくれた。
アトたちの目の前で、お金と、まるでオモチャのようなコインと紙とが交換された。
「町の外にも町があることは知っているだろう」
「はい」
「見てくると良い。良い勉強になるだろう。
お前は― 腕先の事で、町の外に出すのは心配だったのだ。
だが、石見の塔の老婆が旅に出ろと言うのだ。
私は安心できる」
アトは無言で父を見ていた。
父はアトの頭をポンポンと叩いた。
「一回りとは言わず、二回りも三回りも大きな男になって帰ってくるだろうな」
「イングス様・・・」デルボが心配そうに声をかけた。
「なんだ」
「いや・・・言葉が、まるっきり分からないのじゃ、困りますぜ・・・」
「それは信じるしかないだろう」
なにを、とアトは思った。
「石見の塔の老婆が、すぐに旅だてと言ったのだ。
つまり、今のアトなら大丈夫だという意味だ」
アトは、確信を持っていそうな父親の顔を見て、困ってデルボを見た。
デルボは、アトの気持ちの方を分かってくれていそうな、非常に心配そうな顔をしていた。




