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012. 下校

チーン


鐘が鳴らされ、3つあるうちの最後の授業も終了した。


義手を外している今日 ―なぜなら、カエルのために洗わざるを得なくなったからだ ―、アトはトルカの手助けもあって教科書をまとめ、鞄をたすきがけにかけた。


さて・・・と教室を出ようとしたところで、先に出ていたキロンに声をかけられた。

「おい、『セレスティン』がいるぞ」


キロンの指差す方を見ると、確かにセレスティンが、ガミガミとルナード先生に怒られていた。

「全くお前は! 今日の授業はもう全部終わったぞ! 学校は昼に始まり夕に終わるんだ! 今は何時だ!?」


アトは少し軽いため息をついた。

居ると分かった瞬間、彼に石見の塔について聞いてみたいと思ったのだが、この状況では諦めた方が良いだろう。


「セレスティンてさぁ・・・」

傍で、人の良いトルカでさえも、呆れて呟いた。

「なんで、ああなんだろうね」


「『セレスティン』だからだろ」

キロンが言い捨てた。


『セレスティン』は、本名を『クリスティン』と言う。

けれど、歴史に残る偉大な建築家の名前『クリスティン』よりも、彼には、童話に出てくるとぼけた妖精の『セレスティン』という名がぴったりだった。

だから、子どもたちは、子どもたちの間で彼を『セレスティン』と呼んでいる。


アトは、セレスティンをじっと見つめた。

どうして、彼は、三歳なんて幼さで『運命の日』を迎えたのだろう。早く聞いておかなければならない事情があったのだろうか。



アトは思った。

僕も、腕が欠けているから、早く『運命』を聞くことになったのだろうか。

何かを補うために。



まだ続いているルナード先生の説教を後ろに、アトたちは、町の広場に行くことにした。


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