第9話-10/12
突発的な体の異変…
「おしゃべりな男は嫌われるぞぇ?わかるぞぇ…ソタのそれがはっきりと」
蒼太は自身に何が起きているのか理解できなかった。
ミクの体勢は依然蒼太に抱き着いたまま、両腕は背中に回され、両足は蒼太の身体を跨ぐようにソファの上に乗っている。
手も足も使えないはずだが蒼太は自身のそそり立つイチモツがまるで生暖かく柔らかい、潤沢とされた液体に包まれている感覚に陥っていた。
「なっ!?なにして?ミク?ミクさん?」
ここに来て初めてミクが何らかしらのスキルを使ったのだと蒼太は悟った。
手とは明らかに違う肉感…それがうねり、ズボンの中で奮い立つ強直に快感となって伝わってくる。
ズボンのファスナーが開けられたわけでもなく、怒張が何かに包まれた感覚…後に彼はあの時はオナホがどこからか現れたような感覚だったと語った。
時折絞るように収縮し、無数に及ぶ小さな軟らかい突起が蠕動運動を繰り返し、蒼太に得も言われぬ快感をもたらしていた。
「快楽に耐えれず昇天するぞぇ?ほれ、我慢は体に毒なるぞぇ?」
ミクは蒼太の耳元で囁きかけ、耳たぶを甘噛みする。
すでに蒼太は他の事を考える余裕がなくなり、脳裏に白い閃光が何度も駆け抜けていくのを感じた。
思わず生理的現象で腰が前後に動き、ズボン越しに怒張の先端に乗っているミクの臀部を突き上げるように腰を押し出して最後を迎えようとしていた。
「…っく!」
蒼太の腕はミクの腰を万力のようにがっちりと掴み、ありったけの精を不思議な空間の中へと放っていた。
蒼太の男性シンボルに纏わりつく軟らかい壁が蠢き、彼の精を搾り取るように収縮と弛緩を繰り返していた。
射精を終えてもまだその動きは続き、射出しきれなかった残りの精すらその体内から奪い取っていた。
「イーヒャヒャヒャ、あたいの搾精能力を甘く見ない方が良いぞぇ!…んなぁっ!」
活力に溢れたそれをミクは自身の中に吸収し、蒼太の精が体を満たしていくのを感じていた。
その中で常人の倍…いや、数倍、数十倍のエネルギーを感じつつそれらを体内で自らの養分へと変換させる。
体中に満ち溢れる力を感じていたミクだったが、やがてそれは彼女の手に余るのを悟った。
悟ったところで時すでに遅く、体内で増幅し続けるエネルギーに、新たなる力を得て尚ミク自身で処理しきれず自我を保てなくなってしまった。
力の暴発…彼女は意識を失い、蒼太に体を預けたまま大きく激しい痙攣が始まった。
「みくさん!?そうさん!何をしたのですか!?」
すぐ隣で陽奏といちゃいちゃと恋人同士のなれ合いにふけっていたミアが目を真ん丸にして驚いていた。
盗み聞きしていたわけではなかったが二人の会話がところどころ耳に届いていたことで二人が何をしたかを感じ取ったミアはすぐさま陽奏の身体を離し、痙攣しているミクの口を口で塞いだ。
「い、いや、そ、その…」
動揺する蒼太をしり目に彼女はミクから溢れるエネルギーを自身の中に取り込もうと吸精活動を行った。
ミアの種族であるラミアは人から精を奪うことで知られている。
それは方法は性交だけに限らず接吻でも行使することは可能だった。
今まさにミアが行っているのが口からミクが過剰に摂取してしまった精を奪い取っている所だった。
やがてそのミアの容姿にも異変が起き始める、彼女のすらりと長い2本の脚が本来の姿である大蛇へと変貌していったのだった。
ミクと同じく体に流れ込む精をエネルギーへと変換させているミアだが、その彼女さえ自身のキャパシティーを超えるしまうのではと焦りを感じ始めていた。
傍から見ればミアとミクがキスをしているだけに見えるが、ミクの意識は戻らず小さな痙攣を繰り返し、ミアは滅多と見せない緊迫した表情を浮かべている。
「あらあら~そうちゃんもしかしてやっちゃったのぉ~?」
ただならぬ雰囲気を感じたサキが空中を浮遊し、蒼太の予想外の方向からボックス席に姿を現した。
「サ、サキさん、これは!?」
混乱する頭で事情をしっていそうなサキに蒼太は問いかける。
隣に座る陽奏は先ほどまで普通の女性として振舞っていたミアが怪物の様な姿になってしまったことに驚いている様子だった。
「ヨソウしたトオりのキケンブツなのよ~そうちゃんは~、ミクちゃんにサクセイされたんでしょ~?」
サキは不敵な笑みを浮かべつつ、蒼太の隣に位置取ると、肘で彼の脇腹辺りを小突いた。
「そ、そんなこと…」
思わず言葉を濁し、あやふやな返事をする蒼太をサキは鋭い目つきでにらみを利かせた。
初めて見る彼女の冷たい視線に一瞬で背筋に寒いものが駆け抜けていくのを感じるとすぐさま蒼太は己の非を認めることにした。
「は、はい…」
度々節度を守らず危険な状態であったがゆえに嘘で切り抜けようとした彼の気持ちも分からないでもなかったが、サキは嘘を吐く男は嫌いだということを知る。
冗談やはぐらかすことで相手を手玉に取るサキでも、嘘は吐くことはほとんどない。
「ミアちゃんもキュウセイノウリョクはタカいからダイジョウブとオモうけど、アタシもジュンビしておくかしら~」
そう言いながらサキは普段は小さくはためかす背中の羽根が大きくなり、臀部からは先端のとがった尻尾が揺らめき動いていた。
漂う雰囲気から彼女も本気だというのが分かる。
しかし程なくして、ミクの痙攣が治まると同時にミアは口を離し、額に浮かんだ汗を手で拭った。
「な、なんとか…」
身体を起こすとふうっと大きなため息を吐き、ミアの表情はいつものおっとりとしたものに戻っていた。
事態が落ち着いたことを悟ると蒼太は隣に来たサキにミクの事を尋ねてみる。
「ミクはよくあることなの?」
「ないわよ~、イったでしょ~?そうちゃんはトクベツだから、ダレカレカマわずセイコウしないことね~」
サキもまた大惨事には至らないと思い、戦闘態勢をとっていた自身の姿を平常のものへと戻していた。
小悪魔的な姿で艶を増した先ほどの姿に欲情してしまっていた蒼太は精を放っておきながら未だに萎えていない己自信を太ももで隠すように足を組んでソファに座った。
「ち、違くて!せ、性交なんてしてません!」
変な誤解が生まれないようにと蒼太はサキの言葉を否定する。
「そうね~ミクちゃんのサクセイならテコキみたいなもの~、DTソツギョウともイえないわね~」
右手で卑猥なジェスチャーをしながら、次に両手で性交を意味するジェスチャーに切り替えるサキ。
揶揄いながら彼女は蒼太と陽奏の間に割り込むようにソファに腰を下ろした。
「ふぅ…なんとかなりました」
長い大蛇の尻尾を狭いボックス席で邪魔にならないように操りながらミアもその場に立ち上がっていた。
「さすがミアちゃんね~、おジョウズだこと~」
彼女の努力に手を叩きながらをたたえる陽奏。
いきなりの出来事に泡を喰っていた陽奏は周囲が落ち着いたタイミングで蒼太に何があったかを尋ねる。
「蒼太が何かしたのか?」
「違うけど、いや違わないかもだけど、なんか色々ごめん」
何か取り返しのつかないことをしてしまったように自身の行いを詫びる蒼太。
「だめですよ、そうちゃん。みくちゃんの非もありますけど、ここでは後々問題になりますから…でも結果的には個室じゃなくて良かったと思いますけど」
うねうねと体を揺らしながらミアが蒼太に忠告を投げかける。
行き過ぎた行為を忠告したつもりだが、個室で同様のことが起きていたことを想像すると今回はここで良かったと胸をなでおろした。
「ミアちゃん…凄い格好になってるね、こういうお店?」
陽奏がミアの変貌ぶりに少し引き気味に尋ねていた。
「は、はい…隠しててごめんなさい」
「ノープロブレム、今の姿も妖艶で綺麗だよ、俺はどっちのミアちゃんも大好きだよ」
陽奏の問いかけに首を垂れて申し訳なさそうに答えるミア。
しかし彼はすぐさまミアに歩み寄ると彼女の肩を抱き、頬に口づけをしていた。
「ひなちゃん、ありがとうございます」
サキと違っていつもの姿に戻らないところを見ると、ミアは今は体に溢れるエネルギーを持て余しているのが分かった。
それを見てサキが感慨深く蒼太の身体を眺めながら彼に逝った。
「それにしても、そうちゃんのアレってすごいのね~」
「しみじみと言わなくても…」
取り分け何か特別なことをしているわけでもない蒼太は照れながらサキの言葉に相槌を打った。
「アサからヌいてきたはずなのに~ミクちゃんがボウソウしちゃうなんて~」
床に仰向けで寝ているミクの寝顔を見ながらサキが爪を噛みながら恨めしそうに言った。
「抜いてませんって!」
抜くの意味が分からないほど子供ではない蒼太は慌ててサキの言葉を否定する。
「え~アタシにはワかるのよ~、だっていつもよりフェロモンがスクないから~」
「そ、そんなの分かるんですか?」
「アタシをダレだとオモってイってるの~?セイテキなことはぜ~んぶおミトオしよ~」
「はい、抜いてきました…」
おとなしく自白する蒼太。
確かに彼も子供ではないが、サキからすれば人生経験においては蒼太の何倍も積み重ねている。
はぐらかすならまだしも、彼女は嘘が嫌いなのだ。




