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welcome to CLUB『ISK』へ  作者: れいと
第一部 刻まれた未来
8/61

第1話-8/16

初めまして、【れいと】と申します。


初投稿ですので色々不手際があると思いますが応援お願いいたします。



ミアが蒼太の元に落ち着くとほぼ同時に店内の照明が一瞬にして消える。


暗転したかと思うのもつかの間、店内奥に位置する舞台に煌々と照明が灯った。


スポットライトがとらえたのは黒服の男性。


手にはマイクを持ち、慣れた口調で店内に響くアナウンスをする。



「はーい!みなさま、お待たせしました。ショータイムの時間でぇ~す!」



誰彼ともなく拍手が巻き起こり、つられるように蒼太も拍手していた。


隣にいるミアもパチパチと可愛い拍手をしている。



「あら、ちょうどショーが始まるみたいね」



蒼太の顔を覗き込みながらミアが説明を加える。



「ショー?」



純粋な気持ちでお姉さんに問いかけると、


手ほどきよろしく求めた答えが返ってくる。



「えぇ、今日はダンスが最初のイベントですわ」



「本日はダンスバトルDay!

まずは1本目はソロ対決でダンスといえばおなじみ美緒みおっち!」



ミアの言葉に続き、舞台ではMCらしき男性が手際よく進行を務めていく。


男の紹介で現れたのが蒼太が印象に残っているキャストの一人、


猫耳・猫尻尾のミオだった。


独特の尻尾を揺らしながら、


プロ顔負けの優雅かつしなやかな動きで舞台狭しとステップを踏んだ。



「みんなミーを応援してニャー!」



一通りパフォーマンスを終えると万歳のポーズでピョンピョンと小さく跳躍し、


店内のファナーに向かってアピールをする。


充分な宣伝を終えた頃合いにMCは次のキャストの紹介を始めた。



「対するは得意の水芸で【あたしすぐ濡れちゃうの~】が口癖の寧音ねねっち!」



先陣を切ったミオに続き、紹介された女性が舞台へと現れた。


ミオとは違い落ち着いた印象の女性。


蒼太のテーブルにこそ挨拶に来ていないが、


何度か歩いている姿を目にしていたキャスト。


最初に蒼太の元に来たライムに似た雰囲気の透過度の高い女性。


彼女がMCの前に来てもその体が透けて


MCの姿を目視できるぐらい淡い体だった。



「あなたのハートにLock Oーn!」


そういいながら両手を合わせ、


それを銃口に見立ててギャラリーへと発射するそぶりを見せた。


同時に放たれる人の身体ぐらいの大きな水玉。


ふわふわと空中を漂い天井へと浮遊していく水玉。


上昇した水玉が天井に触れる間際、それは八方に弾け、


弾けた水玉がさらに弾けスポットライトを


浴びながらきらきらと霧散していった。


幻想的という言葉が似合う綺麗な光景。


同時に店内のファナーもキャストも感嘆の声を上げた。



「いいなぁ、水芸。みあも何か芸が出来たらなぁ~」



蒼太の隣でうらやましそうにミアがつぶやいた。



「そ、そうだね…」



ミアの尻尾の先がまるで指のように蒼太の腕をつんつんとつつく。


ほどなくして舞台上では音楽に合わせてミオが踊りだしていた。


激しい音楽に活発的な動きを合わせ、


時折しなやかにかつダイナミックな踊りを披露する。


決して広くはない舞台を目いっぱい使って右に左に、


ギャラリーにアピールすることを忘れず、陽気な踊りが繰り広げられた。


蒼太はダンスに関しての知識は皆無に近いが


素人が踊るにしては上手い方だろうと思った。


プロのダンサーと言っても通じるのではないかとさえ思えてしまう。


ほどなくして今度は一転、物静かなBGMが店内になり始めた。


後攻で踊りを披露するのは先ほど水芸を見せたネネと呼ばれたキャスト。


透き通る肌は透過度が高く、しかも光を浴びると輝き美しさを増す。


ゆったりとした動きに、


お得意の水芸を交えながら流れるように舞台中央で舞を舞った。


目の錯覚かと思ってしまうが、間違いなくネネは体を変形させている。


人型を形成しながらも時折体の一部が破綻している様子が分かるが、


その様が美しく決して異質なものには見えなかった。



「綺麗だ…」



思わず口から洩れた言葉。



「もぉ、みあが隣にいるのにそんなこと言うとお姉さん妬いちゃうなぁ」



その言葉を拾い上げ、隣で佇むミアが口を尖らせた。


一瞬だが隣に女性の存在を忘れてしまうほどに


ネネの舞は心を奪う華麗さを見せた。



「ご、ごめん…」



「うふふ、うっそ♪」



ばつが悪そうに俯く蒼太にミアは優しく肩を寄せると


そのまま頬をくっつけてくる。


そのままの体勢で舞台に目をやる二人。


やがて音楽が鳴りやむと同時に舞台上の寧音の動きも止まり、


少し間をおいて沢山の拍手が彼女の演技を称賛していた。


蒼太も例にもれず拍手を送りながら、となりのミアに問いかけた。



「ミアさんは舞台に立ったりしないの?」



「今日はね~、私は舞台が非番だから出番はないのよぉ、

もし出てたら応援してくれてた?」



明らかに距離が近いミア。


頬が離れはしたものの、近接距離を保ったまま蒼太の瞳をじっと見つめて来る。



「もちろん」



少し身を乗り出せば唇を重ねることが出来そうな距離。


この店に来てから幾度と飛びそうになっている理性は


必死に彼の本能を抑え続けていた。



「そかそかぁ、また次の舞台の時には是非応援に駆けつけてね♪」



「え?それっていつ?」



吸い込まれるようなミアの瞳孔が縦長のものに変わる。


まさしく蛇のそれ思わせる形状の物。



「あ・し・た♡」



ミアの閉じた口からチロリと舌が伸び、蒼太の唇を舐めた。


イク同様に先が二つに割れた独特な舌触り。


あっけにとられる蒼太の唇にミアの唇が一瞬だけ触れる。


キスと言うにはあまりにも短い刹那な時間。



「あ、明日は無理って顔したわね、

素直さんなんだぁ、でもそういう素直な子はお姉さん大好き♪」



再び彼女の距離を保ちつつ、その笑顔が綻んだ。


幸いにしてエルナとの愛の交歓が彼の欲求が爆発するのを


防いだといっても過言ではなく真っ新な状態であれば


ミアに心も体も奪われていたことだろう。



「でもまた来るから、その時は応援するよ」



股間が熱くなるのを感じながら蒼太は雑念を消すように


首を左右に振り払い、再びミアと見つめ合う。



「うふふ♡」



ミアの手が蒼太のあごのラインをなぞり、


腰かけていた椅子から立ち上がった。


中々堕ちない相手ほど燃え上がるものはあるが、


種は蒔いたとばかりに彼女は不敵な笑みを浮かべると周囲を一瞥する。



「それじゃぁ、そうちゃん。お邪魔しましたぁ。また声かけてね♪」



最後の最後まで好感を持てる振る舞いに、


のちに彼女がこの店の人気TOP5に入っていることを知り納得した。


ご覧いただきありがとうございます。


ファンタジー世界のキャストが沢山居るキャバクラ店のお話です。


誤字脱字のご報告いただけると助かります。


応援していただける方は、ぜひここで☆の評価とブクマをお願いします!!

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