第1話-5/16
初めまして、【れいと】と申します。
初投稿ですので色々不手際があると思いますが応援お願いいたします。
その場を去ろうとしていたエルナの手を蒼太が掴む。
びっくりして振り向いたエルナの表情はあまり良い色をしていなかった。
「無理するな、お前の興味は胸の大きな女性と知っている」
彼女の顔に歓びの色は見て取れない。
端から期待していない相手の口説き文句に耳を貸さないといった素振りだ。
「え?なんでそれを?」
蒼太が時折感じる違和感。
その違和は彼女の言葉遣いではなく、
彼の心を見透かしたように嗜好を指摘するところだ。
どこからか情報が出回ったとしても
自身の性癖を他者に対して露呈したことはない。
「なんでもだ、お前の趣味嗜好はお見通しってところだからな」
ばつが悪そうにエルナは頭を掻いた。
自身の立ち居振る舞いのどこが彼の食指に触れてしまったのか理解できなかった。
「そ、それでも俺は君に興味があるし、…き、キスがしたい!」
まっすぐに見つめる蒼太の目に嘘はなかった。
周囲の毒気に冒されたのか、
完全に理性より欲望が勝った顔をしている男の顔色に
エルナもそれ以上拒むことはしなかった。
「欲望に素直だな、奇遇なことに私も少しお前に興味があったところだ」
彼女の中でスイッチが入る。
彼女に限ったことではなく、
このお店のキャストは皆ファナーを喜ばすことに非常に長けている。
「エルナってちょっと話し方?言葉遣いが変なところあるよね」
「あまり褒めるな、よく言われているから」
先ほどと違った一瞬素とも思えるエルナの対応に
蒼太はどこかしら特別感を心に居抱いた。
とはいえ彼も褒めた気持ちはなく、心に思ったことを吐き出しただけに過ぎない。
どこをどう汲み取って褒めたことになるのか
理性が働いていれば問い詰めたいところだった。
「あは、あははは…まぁいいや」
「で、チケット1枚か?キスがしたいなら2枚使わなければだめだが…」
エルナがテーブルに置いていた5枚つづりのチケットに手を伸ばす。
先程の説明が十分伝わっていたように蒼太は右手でピースサインを作る。
「もちろん2枚で!」
鼻息荒く前のめりになる蒼太。
「がっつくな、気に入ったぞ。たっぷりサービスしてやろう」
そういうとエルナはテーブルの上の5枚つづりになっている
チケットから2枚を切り離し、自身の右手にあるリストバンドの中に差し込み
残り3枚を再びテーブルの上に戻した。
「今から5分間、気のすむまでイチャラブしていいぞ?
ただし水着の上からだからな、怒られたくはないだろ?」
言うが早いかエルナは椅子に座っている蒼太に向き合うように
彼の太ももを跨いで腰を下ろした。
流れのままエルナは蒼太のあごに手をあてがい、自身の顔を近づけて来る。
吐息がかかるぐらいの距離まで近づくと少し口を開いて
「きて…」と甘い声で彼を誘った。
その誘いを待ってましたかとばかりに蒼太はエルナに唇を重ねた。
むさぼるような口づけにエルナも応える。
「んん…はぁ、はぁぁ…」
ちゅぱ、ちゅぱといやらしい水音交じりの熱烈なキスに
どちらともなく舌で舌を絡め、情欲を昂らせた。
必然的に蒼太の手がエルナの胸にあてがわれ、
申し訳程度の膨らみを撫でまわした。
スクール水着独特の布地の質感を手のひらに感じながら、
隔たりはあるものの彼女の乳房の熱を感じていた。
興奮しているとはいえ温度差を実感できるほど
彼女の体温は蒼太と比べると低く感じ取れた。
激しいキスを繰り返しつつ、蒼太が指で感じることが出来た胸の起伏。
小さな突起が興奮を体現すべく硬くしこり立っていた。
それを指で挟み、ダイヤルを回すように捏ね繰った。
「エルナのここ、すごいことになってる…」
「い、言うなは、恥ずかしぃ…」
キスを続けながら彼女は吐き出すように答えた。
太ももに押し付けられたエルナの秘部はさらなる刺激を求める様
自ら腰を前後に動かし始める。
柔らかい質感が彼の太ももをマッサージするように押し付けられる。
「エ、エルナ…そんなにしても良いの?」
「何を言ってる?規約は犯してない…んっ、あぁ、あぁっ!」
口の周りが互いの唾液でびっしょりと濡れそぼる。
蒼太の太ももを利用しつつエルナは自ら快楽を求め、
高みを目指すようだった。
彼女の言ったサービスはこのことだろう。
蒼太自身は気持ち良いものではないが男性としての性的興奮が沸き上がる。
「ほら、お前だってその気になってるじゃないか」
エルナの手が触れたのは他でもない蒼太の股間の部分だった。
ズボンの上からでもはっきりとわかるほど中から
押し上げられ膨れ上がっているのが見て取れた。
「そ、そこは…」
その形をなぞるようにエルナの手のひらが上下にやさしく動き出す。
もどかしい感覚を感じながらも男は主導権をエルナに任しつつ、
貪るように激しいキスを続けた。
「キャストがファナーに触れるのはダメじゃないし、お前も嫌じゃ…ないだろ?」
「り、理性が…」
唇、手のひら、太もも、股間から供給される性的快楽により感覚が麻痺していく。
理性がしぼみ、本能が増幅していく様を感じつつ、
蒼太は自身が一匹の雄へと変化していく感覚に襲われていく。
服の上から揉みしだいていた手が自然の流れを装うように
エルナの胸を隔てる布の中へと侵入しようとした矢先、
彼の耳に高い周波数の音が聞こえた。
ピピピピピ!ピピピピピ!
音の発信源はエルナの左手首から聴こえてきているようだ。
「あぁ、時間か…」
「え?終わり?」
チケットを使った時からあっという間の5分間が過ぎ去ってしまった。
蒼太にしてみれば本当に一瞬の出来事に思えたが、
二人の時間は間違いなく5分与えられていたようだ。
エルナの腰の前後運動も止まり、
彼女は左手にある音の発信源である時計を操作し、アラームを止めた。
「そう、終わり。だから…終わりのキス」
エルナも少し寂しそうな表情を浮かべながら再び蒼太とキスを交わす。
先程同様に激しめの接吻。
差し入れられた舌が最後にもの惜しげ気味に唾液の糸を引き、唇が離れた。
「ん…す、すごい…」
興奮冷めやらぬ状態で蒼太はうわごとのように漏らした。
エルナが彼の太ももから立ち上がり、
彼の唇に人差し指をあてがい満足げに一言漏らした。
「気に入ってくれたかい?
またチケってくれたら次はもっとサービスして差し上げるよ」
「も、もっとすごいの?」
先ほどの時間でもすごいと感じたのにそれ以上の
サービスを期待し蒼太の眼は輝きを増した。
ここはそういう行為を楽しむところだと、
改めて大人の世界の扉を開けた気分に慕った。
エルナはもう一度蒼太の頬に自身の頬を寄せると耳打ちで囁きかけた。
「あぁ、もっともっと過激ですごいのを♡」
ごくり、蒼太の喉が生唾を嚥下する様が傍からでも見て取れるようだった。
去り行くエルナの後姿を目で覆っていると、
彼女は臀部に食い込んだ水着を元の位置に戻すよう指で直し、
少し離れたファナーに向かって挨拶を交わし、
ハグを求めていた。
燃え上がった分、少し虚しさを感じながらも今先程の時間は
身体の火照りを限界まで昂らせたことは間違いなかった。
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ファンタジー世界のキャストが沢山居るキャバクラ店のお話です。
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