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welcome to CLUB『ISK』へ  作者: れいと
第一部 刻まれた未来
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第5話-6/7

初めまして、【れいと】と申します。


初投稿ですので色々不手際があると思いますが応援お願いいたします。



隠したところで仕方がないというより、言葉を間違うとそれに尾ひれも背びれも


ついて大変なことになりかねないと思い蒼太は本音で叫んだ。


あまりの声の大きさに準備をしていたキャスト達が一斉に蒼太の方に着目した。



「そんなにオオゴエダしちゃって~おネェさんハズずかしいわ~」



両手を頬にあてがい身体をクネクネと揺らしながらわざと照れたようにサキは


頬を赤らめて見せた。


その演技を演技と見破るには容易い。


幸いにしてその騒ぎのおかげで普段なら厄介者にしかならないリリが蒼太に


助け舟を出した。



「サキ姉も冷やかすなニッ!

若者同士の色恋沙汰なんてあっちたちには毒にしかならんニ!」



ムスっとした顔で腕を組み、リリが蒼太とサキの傍に寄ってきた。


なぜかしらリリはいつもいらだっているように見える。


実際に彼女が笑顔になっているのは蒼太は見たことがない。



「あらあら~リリったらおコちゃまね~、

ジョウジュしたアトのヨコドりがオツなのよ~」



まるで子供に言い聞かすように嘲笑気味にサキがリリに伝える。


ナイスバディのサキに比べて幼い体つきのリリはその表現が似合っていた。


昨日のリリはスーツ姿だったため、体のラインはある程度誤魔化せて


いただものの今日は彼女の普段着のようでフリルの付いたビキニブラに同じく


フリルのついたショーツを履いている。


サキの服装に雰囲気は似ているものの全く異なった印象を受けてしまうリリの


普段着。


水着のようにも見えるが、ビキニブラの上からシースルのキャミソールを着て


いるのがその違いを明らかにしていた。



「な、なに言ってるんですか!」



黙って聞いていれば後で何らかのちょっかいをかけてくると取れるサキの


言いぶりに蒼太はまたしても声を荒げた。


のんびりした口調なのになぜかサキは人を揶揄う言い回しが上手かった。


蒼太とリリの2人係りでも口では叶わないかもしれない。



「はい、無駄話に花を咲かせないで下さい」



パンと手を一つ叩いて、話の中断を求める女性。


淡い青色のショートヘアーの女性、清潔感があり、物腰の軟らかさそして落ち


着いている雰囲気が大人の女性を思わせる。


肌が透き通るほど白く、まるで陶器のような輝きを見せる彼女は優雅ゆか


言う名前の通り優雅な立ち居振る舞いをみせる。


彼女の美しさには蒼太はいつも心を奪われ見惚れてしまう。


しかし見慣れてきたこともあってか、今日は惚ける時間はわずか数秒で


終わってしまった。


しかしながら彼女が来ているドレスは花嫁が着るそれのようにきらきらと


光輝いて見えた。



「あれ?ユカさん、今日はドレスコードの日じゃないですよね?」



2、3日に1度のスパンでここISKでは衣装が特定のものに限定されている。


蒼太がファナーとして来た日は全員水着姿だったり、昨日はスーツ限定の日


だったのでここに居るサキやリリもスーツを着こなしていた。


今日はと言えばサキもリリも良く目にする衣装、普段着に近いものを着用して


いた。



「ユカはフダンギがこれなのよ~。ツバちゃんとイうものがありながらハナの

シタのばしちゃって~そうちゃんったらウワキショウなんだから~」



どうやらサキが言う通り、蒼太はユカの姿に少なからず間抜けずらをさらして


いたようだ。



「そ、そんなことないです!」



すぐさま平常心を取り戻し、やましい気持ちを振り払おうとするが追い打ちを


かけるようにサキが蒼太を冷やかしてくる。



「ムーンをサしオいてツバちゃんにアタックしちゃうなんて~

ユカにもイロメツカっちゃって~」



紗希さきさんもからかわないで下さい、準備を手伝ってくださいね。

蒼太さんもです」



リリ以上に頼れる存在のユカがサキの言葉に蓋をする。


ついでに元凶である蒼太もお叱りを受ける始末。


人手が足りないわけでも準備が遅れてるわけでもないが、開店準備がすべて


終わっているわけではないようでユカはそちらを手伝いに向かいたかったようだ。



「はいは~い、でもムーンがそうちゃんのことスきなことシらなかったの~?」



「え?ええっ!?そ、そうなの?」



再び雑談に燃料が投下され種火が付き始める。


全く身に覚えのない月姫の話題に蒼太は聞き流すことが出来なかった。



「そうなのよ~キがツかなかったの~?ドンカンなんだから~」



一度足を進めたユカだが、自身が無関係ではない出来事に思わず足を止め


聞き耳を立ててしまう。



「気づかなかったよ、昔から俺に対してはあんな感じだったから…」



「ムカシからスきだったんじゃないの~?」



サキがにんまりと笑った。



「ただソウタが鈍感なだけだニ!」



相槌を打つようにリリもサキの言葉に相槌を打つ。


陰湿な笑み…それは猫がネズミを甚振ることに快感を感じている類の笑いに


近いものがあった。



紗希さきさんったら…そろそろ本当のこと教えてあげたらどうですか?」



やれやれと溜息を一つ零し、ユカは踵を返して蒼太に向き直った。


もちろんユカは首謀者ではないが、サキの悪戯を知っていながら辞めさせる


ことも、解除することもできたのにしなかった責任を少し感じている様子。


真逆の性格、習性のサキとユカだがどうしてかこの2人は非常に仲が良かった。


なぜそうなったかはまた別の機会に触れることになるだろう。



「まだまだタノしまなきゃ~」



ユカの申し出をサキは一蹴する。



「サキ姉の悪い癖だニッ!」



それに便乗するかのようにリリもにんまりと笑った。


しかし蒼太は先ほどのユカの言葉を拾い上げ、サキやリリではなくユカ自身に


直接問いかけることにした。


この三人の中で唯一まともな回答をしてくれそうなユカだからだ。



「本当のことって?」



一瞬、ユカは眉間にしわを寄せ目を細めるが、


あきらめたかのように溜息を一つ零し、蒼太の申し出に丁重にお断りの意志を示した。



紗希さきさんもそう言ってますし、

残念ながらもうしばらく様子見ということです」



今度こそ話は終わりとばかりにこの場を去ることを決めたユカ。



「ずるいな~みんなで秘密なんて」



ぷっと頬を膨らませ不平を垂れる蒼太にサキは指と尻尾を絡ませながら、


いつものように蒼太に纏わりついていた。



「うふふふ~」



一方的なサキの愛情表現みたいなものだが、蒼太もそれを邪険に振り払う


ことはなく身を委ねていた。


別段嫌な雰囲気はしないどころか、サキが持つ独特の香りが馨しく


鼻腔をくすぶり、心地よい感覚に浸れてしまう。


ずっとそうしてはいられないだろうが時間が許すなら彼女の戯れに付き合いたい


ところだろう。


だが、彼の意識をはっきりと現世に引き戻すトリガーが目の前を通りがかった。


いつもの出で立ち、シックな色のメイド服に、白いメイドキャップ、こちらには


目もくれず前を通り過ぎようとしている女性に蒼太は声をかけた。



「あ、かぐ。おはよう」



その言葉に足を止め、月姫は蒼太に向き直った。


ほぼ同時にまったりとまとわりついていたサキが自然を装うように離れ、


別の場所へと向かっていった。


そういう嗅覚はサキは非常に優れていると言えよう。



「あら…蒼ちゃん…ごきげんよう…」



第一印象はいつもと違いその声に活力が無かったこと。


しかし別段表情は辛そうでもない。


感じるのはただ活力不足…蒼太がそこまで察知する能力に長けてはいないが、


何かいつもと違うものを感じてしまう。


それが何かは分かっていないが…思い当たる節がないことはない。


つい先ほどまでサキ、リリ、ユカを交えその話題で持ちきりだったのだから。



「え?今日は元気ないみたいだけど体調でも崩した?」



やっぱりおかしいと思い蒼太は月姫に歩み寄り、その肩を掴んだ。



「別に…いつも通りです…蒼ちゃんも相変わらずのようで…」



言われてみればいつも通りに思えないこともない。


若干の違和感はあるものの、執拗にそれを問いただすのもまた違うだろうと


蒼太は思った。



「そ、そうかな。体調が悪いなら俺がラストまで残るし、

任せてくれて大丈夫だよ」



元気を出しながらあえて元気そうに振舞い蒼太は胸を張り、


ドンと叩いて強さをアピールする。



ご覧いただきありがとうございます。


ファンタジー世界のキャストが沢山居るキャバクラ店のお話です。


誤字脱字のご報告いただけると助かります。


応援していただける方は、ぜひここで☆の評価とブクマをお願いします!!


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