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welcome to CLUB『ISK』へ  作者: れいと
第一部 刻まれた未来
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第1話-4/16

初めまして、【れいと】と申します。


初投稿ですので色々不手際があると思いますが応援お願いいたします。





「チケットの使い方は分かっているのか?」



不意に後ろから声を掛けられ、振り返るとそこには耳のとがった華奢な女性が、


椅子に座る蒼太の耳元の高さに背が合うように片膝を付いていた。


今までの他のキャストよりも品がある雰囲気を感じる女性。


ブロンドの髪に細い目、


耳は長く先端が尖っている所を見ると彼女もまた普通の人ではないように思えた。



「えっと…君は?」



「私の名前は恵琉奈えるな、気安くえるるって呼んでくれればいい」



言葉の選定に違和感を覚えながらも蒼太は彼女の方に体の向きを変えた。


彼女の水着は露出度は低く、言うなれば白いスクール水着を着用している。


エルナの肌の白さと相まって水着が一体化しているような錯覚を思えてしまう。


彼女が着用するには小さいサイズなのかぴっちりとした水着に


これ以上ないほど体のラインがくっきりと浮かび上がっていた。


蒼太にとって少し残念なのは


今まで見たどのキャストより胸の膨らみが小さいことだった。



「そうくん、我々は君を歓迎する」



両手を広げ、蒼太に体を寄せるエルナ。


蒼太は彼女の少し違った感覚にこのお店特有の挨拶を忘れてしまっていた。


蒼太もそれに応じ、両手を広げ彼女を迎い入れると今まで同様頬の挨拶を交わす。



「繰り返すがチケットの使い方は存知しているのか?」



ハグのまま耳元でエルナが再び同じ質問を投げかけてきた。


エルナが言っているチケットとは入店時にムーンからもらったもののことだろう。


駆け足で説明されたものの到底理解したとは答え難い。



「一応最初にメイドさんが教えてくれたけど…いまいち理解しにくかったかな」



蒼太はエルナと同じように彼女の耳元で囁くように答えた。


長い長いハグ。


抱き合ったままエルナは言葉をつづけた。



「そうかそうか、では教えて差し上げよう。

5枚つづりになっているチケットを1枚使うことで

選んだキャストと2分間のイチャラブタイムが与えられる」



「イチャラブ?」



聞きなれない単語を反芻する蒼太。



「みながそう言っているが要はイチャイチャ、

ラブラブできる特別な時間ってことだ」



「なるほどね」



お互いの顔が見えないおかげで不思議と緊張感が感じなかった。


蒼太は思う、彼女の胸がもう少し立派なふくらみであれば


延々とハグを続けておきたかったと。


「続けるぞ?イチャラブタイム中はファナーから

キャストに着衣の上から触れることが許されている。

ほら、あのファナーとキャストを見ると丁度イチャラブ中というのが分かる」



お互い耳元で囁き合う方が店の喧騒にかき消されずに済む、


ある意味合理的であるとは言えた。


しかしエルナが指さした方向を見ると、一組の男女が熱烈な口づけを交わし、


男の手が女性の胸をまさぐっていたのが見える。



「え?キスもしていいの?」



思わず大声を出してしまった蒼太。


さすがにエルナも耳元でその音量は大きかったのか自然とハグが解かれ、


二人の距離が開いた。


周囲のカップルの光景はまるで恋人同士の熱い口づけを


これ見よがしに見せつけているようだった。


さらにあたりを見渡せばその一組だけでなく、


場の雰囲気に汚染されるように何組かが同じように交接している様が見て取れる。



「気が早いな、1枚ではキスはNGで着衣の上から触れるだけだ。

だが2枚使うことでキスもOKになってイチャラブ時間が5分と

少しお得になるシステムとなっている」



「は、はぁ…」



不思議なイントネーションを交えての説明がいまいち飲み込みにくかったものの、


チケットをまとめて使うことで単独で使用するより


恩恵が大きくなることは把握することが出来た。



「で、最大の3枚チケットを使うことで

キスもでき衣服の中から肌に直接触れることもでき、

時間も10分とかなりお得になるってわけ」



「え?直接っておっぱいも触れるってこと?」



確かに最初に見た男性はキャストの服の上からではなく


水着の中から直接揉みしだいているのが見て取れる。


この店のルール、それを知らずに入店した自分を呪った。


迷い込んだここは間違いなく彼にとっても天国に他ならない。


「もちろん、ただ下半身…そのあれだ…

大事なところはNGになっているから要注意だな

…私は別に構わないがオーナーに怒られるシステムらしい」



エルナはにんまりと笑みを浮かべると親指を立て、白い歯を輝かせて見せた。


そして自ら股間の部分で人差し指をクロスしバツ印を作って意思表示をする。


だが彼女の顔はまんざらでもなさそうである。



「エルナは全部OKなの?」



彼女の独特の言い回しに理解しそこねた蒼太は再度核心について問いかける。



「いや、怒られたくはないから全てOKして欲しければ

アフターか個室でのお楽しみだな」



再びエルナの口から零れる耳にした事のないフレーズ。



「アフター?」



彼は自身が気になった言葉をそのまま復唱する。



「ムーンから何も聞いてなかったのか?

チケットを使った分キャストからハートプレートを引き換えにもらって、

5枚集めたら閉店後のお楽しみアフターの権利を獲得できるって話」



知れば知るほどこの店のルールがお客ファーストであり、


欲望のギアがどんどん上がっていくのを感じた。



「そ、そのあ、あ、アフターって。あんなことやこんなことをできたり?」



ごくりと生唾を飲み、目を爛々と輝かせながら蒼太は前のめりでエルナに問いかけた。


さすがの彼女もたじろぎ、引き気味に彼との距離を少し開けた。


「ま、まぁその通りだが、そこはキャスト次第って所。

性行為だけが目的ならアフターに期待しない方が良いぞ?

イチャラブの延長と考えた方が身のためだ、後は流れと雰囲気じゃないか」



これで講習も終了とエルナも右手を開いてひらひらと蒼太に振って見せた。


それは彼女なりのさよならの挨拶だったようだ。



「その気になったらいつでも声をかけてチケットを使ってくれれば良い」



エルナは周囲を見渡し、


次の相手を探しながら蒼太の前から立ち去ろうと彼に背中を見せた。


つまるところ好意の無い相手と話し合って、


いつまでも油を売っていてはいけない。


彼女たちもお仕事をしなければこの時間は悠久ではないのだから…



「じゃ、じゃあ。エルナ、君に使う!」


ご覧いただきありがとうございます。


ファンタジー世界のキャストが沢山居るキャバクラ店のお話です。


誤字脱字のご報告いただけると助かります。


応援していただける方は、ぜひここで☆の評価とブクマをお願いします!!

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