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welcome to CLUB『ISK』へ  作者: れいと
第一部 刻まれた未来
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第4話-5/9

初めまして、【れいと】と申します。


初投稿ですので色々不手際があると思いますが応援お願いいたします。



次々と受付をこなす月姫と、手間取りながらも彼女に迷惑が掛からない様


頑張った蒼太の2人体制のおかげで


いつもよりはスムーズに開店待ちをしていたファナー達を迎え入れることが


出来たようだった。


扉の向こうに誰も居ないことを確認し、月姫は観音扉を閉める。


締まる直前に見えたネオンライトのISKの文字が何となく蒼太には懐かしく


思えた。



「ふー終わった」



凝り固まった首を一回しして、両手を天井に向けて伸ばす蒼太。



「終わったって、まだまだこれからですよ。

最初はホールをお手伝いしてもらいましょうか」



そんな彼に手厳しく月姫は告げる。


朝からの事を思えば長丁場だが、本番は今始まったに過ぎない。


今までの作業はこのお店を開けるまでの準備だ。



「何をすれば?」



さすがに今日は皿洗いはないだろうと思いながら蒼太は問いかけた。


月姫は少し考えた様子で、思い当たる仕事を言葉にする。



「ファナーさんのグラスを見て空になったらおかわりどうですか?

とか、一人でいるファナーさんが居たらキャストに

声をかけて挨拶するようにとか」



実際問題、蒼太がホールで出来る仕事はそれほど多くない。


といえ、厨房でも洗い場でも人手は充分に足りていた。



「そうちゃんがファナーさんにつくとかはしなくていいし、

キャストのお手伝いをしてくれたらいいから」



「うん、分かったよ」



確かにこのお店で話し相手をして欲しいと願うファナーは皆無に等しい…


いや皆無だと蒼太は一人心の中で自問自答していた。


とはいえエントランスで月姫のお手伝いをするほど団体さんが来る様子もなく、


彼は言われた通りにホールを闊歩することを選んだ。


扉を一枚隔てて、ホールの中はエントランスと別世界を作り出していた。


とりあえず蒼太はホール内の様子を伺いながら一周してみるが、月姫が言って


いたようなお手伝いをする場面が見つからなかった。


ほとんどの注文を付いているキャストがしたり、特定の相手が居ないキャストが


それらの要素も見ていたからだ。


むしろ蒼太が気を利かすより、キャストに声を掛けられる方が嬉しいだろうと


ファナーとして来た時の自分の心境になって考えると二の足を踏んでしまう。


そうなると本当に手伝うことがなく、手持ち無沙汰になってしまった。




蒼太がたどり着いたのがホールの隅の一角になる、音響や照明を操作している所


だった。


そこにはキャストではなく専門の男性スタッフがそれらの作業を行っていた。



「なにか手伝うことあるかな?」



「特にないぞ?邪魔にならないところに居れば良いんじゃないか?」



問いかけた蒼太に男性スタッフも言葉を返す。


むしろその辺の知識がない蒼太が手伝ったところで邪魔にしかならないのは


分かっていた。


ファナーとして来ていれば気楽に過ごせたが、スタッフとしては肩身の狭さに


居心地が悪く感じていた。


仕方なく店内をキョロキョロ見渡しながら当てもなくうろつく蒼太。



「バイトく~ん、退屈してそうね、でも今は相手してあげれないから~、

また後でね」



通り過ぎるキャストに声を掛けられてしまう始末。


どうやら傍から見ても蒼太は暇を持て余しているようにしか映っていないようだ。


自分の存在が周りに気を使わせてしまっていると思い、蒼太は月姫の元に戻ろう


とエントランスへ向かった。


その直後、背後から少し大きめの声で蒼太を呼んでる声が聞こえる。



「おーい、こっち手伝ってくれるか?」



振り向くとその男性スタッフは暗い店内にも関わらずサングラスをしていた。


手招きで蒼太を呼んでいるのが分かる。



「は、はい」



ようやく必要とされたことを嬉しく思い蒼太は足早に彼の元へと駆け付けた。



「えっと、この前から皿洗いしてたよな、名前は?」



サングラスの男はステージの脇で何やら作業をしているようだ。


その作業の手を止めず、背中を向けたまま蒼太に質問する。



「蒼太って言います。今日からはホールとか他の手伝いをするようにと」



一度首を傾げた後、良しと男性は自答するとようやく蒼太の方へと向き直った。


どこかで見覚えのある雰囲気の顔…男はにこりと笑顔を浮かべると蒼太に向け、


右手を差し出し握手を求めた。


気さくな印象を受ける男性。蒼太は彼の申し出に自分の右手でそれに答えた。



「よろしく、俺は練って言う。主にMCとかステージを任されてるんだ」



「練さんよろしくお願いします」



通りで初見の相手ではなかったと蒼太は理解する。



「まだ出番は先だから早めに腹ごしらえ済ませておくと良いよ、

ここの料理は美味しいから」



手伝いで呼びつけたのはただの口実で、練は蒼太に食事を勧めるのだった。


彼が一人戸惑っているのを放ってはおけなかったようだ。


とはいえ蒼太もまだそれほど空腹を感じている状態ではなかった。


それでも彼と一緒に居れば居場所に困ることはないだろう。



「ってか、あれが始まるな…腹ごしらえは先になるかも知れないな」



練が一点を見つめ、顔を顰める。



「あれ?って何ですか?」



「今日は空(うろ)っちがファナーと食事会するみたいだ」



そういいながら練は先ほど見つめていたボックス席を親指を立てて蒼太に分かる


ように指し示した。


指さされた場所を見るとボックス席になじみのないキャストとファナーが座って


いるだけに見える。



「ウロっち?」



質問を重ねるように蒼太は問いかけた。


まだ日が浅い彼にとって専門用語は理解の出来ないことばかりだ。



「あぁ、俺はキャストを〇〇っちって呼んでる。呼び捨て程失礼でもないし、

変に敬称付けるほど他人行儀でもないしな」



ダイレクトな答えではなかったが、ウロという名前のキャストが居て、


ファナーと食事をすることだと理解できた。



「良い仕事が出来たな。蒼っちもあっちの配膳を手伝ってやってくれ」



ただ食事なのにと蒼太は首を傾げるが、それ以上の説明はなく練は彼に手伝いを


要求するのだった。


当の練は再びステージ周りの配線のチェックを続けるのだった。



「分かりました!」



蒼太はようやく巡ってきた仕事に意気揚々と練が言った配膳に力を貸すのだった。



ご覧いただきありがとうございます。


ファンタジー世界のキャストが沢山居るキャバクラ店のお話です。


誤字脱字のご報告いただけると助かります。


応援していただける方は、ぜひここで☆の評価とブクマをお願いします!!


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