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welcome to CLUB『ISK』へ  作者: れいと
第一部 刻まれた未来
3/52

第1話-3/16

初めまして、【れいと】と申します。


初投稿ですので色々不手際があると思いますが応援お願いいたします。



一人の時間になり、蒼太はミオが持ってきてくれたビールで


のどを潤しながら改めてゆっくりと店内を見渡してみる。


そこはまるで異世界と言っても過言ではない、


まるで多種族や擬人化されたモンスターのようなキャストが闊歩している。


エルフやケンタウロス、


他のキャストの手伝いを受けて台車の上の水槽に入っているマーメイド。


凝った演出にこの店に来たことを改めて良かったとかみしめていた。


彼はこの手、俗にファンタジー世界と言われる異世界がとても大好きだった。


入店料は決して安くはなくアルバイト生活の彼にとっては手痛い出費だったが


後悔どころか十分すぎるほどにこの雰囲気を満喫していた。


まだまだこのお店のほんの一部しか楽しんでいないが


彼にとって今までの人生で一番楽しい時間とも思えていた。


感傷にふけっている彼にまた新たなキャストが寄ってきていた。



「…そうちゃん、あ..っし、翼姫つばき…よろしくして…」



ぼそぼそと小声で零す声の主を見て、蒼太は今日一番驚いてしまう。


他のキャスト同様に胸を覆う水着はごくわずかな布切れ、


そして下半身は何もつけていない…ではなく羽毛に覆われた異形な姿をしていた。


下半身だけでなく彼女の両腕も人のそれではなく、


いわば鳥を造形した翼が生えている。


肩口から違和感な継ぎ目がなく特殊メイクのように白く大きな翼になっていて、


それをまるで自身の腕のように動かして見せるのだった。


そしていつもの流れのようにツバキと名乗った女性は


蒼太と違和感のあるハグを交わす。


人間同士のハグが大前提の中、


両腕が翼である生き物とハグを交わしたことは彼の人生では初経験のことだ。


その翼が本物のように柔らかく暖かい、


まるで羽毛布団に包まれたかのような錯覚を


起こしてしまうぐらいの現実見を帯びていた。


流れるように頬を併せたが、


彼女は初めて来店した蒼太以上に緊張しているのを肌越しに感じることが出来た。



「緊張してる?」



「あ…は、はひ…とても」



ツバキはみるみる顔を赤くしながら俯き、


それでも蒼太を上目遣いに見つめていた。



「もしかして今日が初めて?」



「そ、そうじゃ...いですけど、に、苦手で…」



この店に入って初めて蒼太は自身が他の人よりわずかな優位性を感じ、


ついつい饒舌に質問を繰り返してしまう。



「苦手って、人付き合い?」



「そ、そぅ…あっ、うん。じゃなくて…はい」



「いやいや、無理しなくていいし」



人見知りでこの仕事が出来るのかと彼女の性格に疑問符を打ちながら、


ハグした手をそのまま彼女の頭にのせてポンポンと叩いていた。


蒼太の振る舞いに再びツバキはより一層、頬を真っ赤に染め俯いてしまう。


が、ツバキの頭に乗せたその手が今度は何かしらの力に抑制され、


そのまま蒼太は腕の自由を奪われ、体はくるりと反転してしまった。


振りむいた先に居たのはまた別の女性、


次から次へと挨拶に来るのは


この店のシステムだと蒼太が理解し始めたころだった。


ある意味初めて来るファナーにとっては楽しみな時間の一つで


沢山の女性キャストと触れ合える時間でもある。


店内の人口比率を見てもファナーよりキャストの方が多いため


挨拶タイムと呼ばれるこの時間が存在するようだ。


話を戻して蒼太の次の相手は目の前のツバキ同様に下半身が異形の物、


手に巻き付いていたザラザラとした独特の肌触りがそれであるというのを


目にしてようやく知ることが出来た。


手を抑制した力は人の手ではなく蛇の尻尾が巻き付いており、


ツバキと同じぐらいの巨乳の女性が独特の眼差しで蒼太を見つめていた。


下腹部からは蛇の様な姿でその先端が蒼太の腕に巻き付いている。


鋭い眼光は彼を捕食すべきかどうかを選定しているようだった。



「そう君、アタシは依玖いく。とっても美味しそうね」



「あは、あはは」



蛇に睨まれた蛙の気分を味わいながらイクの抱擁と頬の密着を受ける蒼太。


その状態から耳をチロチロと何かが這う感覚を味わう。


イクの細く長い舌が奇妙に蠢いていた。


舌の先が二つに割れてあり、


耳の穴に侵入してくるそれに再び背筋に寒気が走ってしまう。


蒼太は慌てて逃げるようにイクの身体を引き剥がした。


この日初めて相手のハグに相手が離れるまで応じれなかったことに


蒼太は損をした気分になったが、


それ以上に生きている実感を噛みしめれたと言う。



「ほら、翼姫つばき。そろそろ出番、スタンバイしに行きなさい」



「あっ…ん…」



蛇独特のザラザラ感を肌に感じつつも、豊かな胸の膨らみの柔らかさも味わう


天国と地獄の名残を感じながら蒼太はイクとツバキのやり取りを聞いていた。


イクの言葉にツバキは頷き返し、このテーブルを離れていく。


イクもまた蒼太との挨拶が終わると、


口の端をわずかにほころばせた笑顔を残しテーブルを後にした。


気がつけば徐々に店内にお客さんの数も増え、


入店時の倍ぐらいの人数が居ることに気づく。


むしろ最初の方に入っていた蒼太は舞台の良く見える


とても良い席に案内されていたことを悟った。


これぐらいの客入りになるとファナーの数とキャストの数が等しくなり、


一部のキャストは特定のファナーの元に留まったりしている様子が見て取れた。


ご覧いただきありがとうございます。


ファンタジー世界のキャストが沢山居るキャバクラ店のお話です。


誤字脱字のご報告いただけると助かります。


応援していただける方は、ぜひここで☆の評価とブクマをお願いします!!

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