表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
welcome to CLUB『ISK』へ  作者: れいと
第一部 刻まれた未来
2/52

第1話-2/16

初めまして、【れいと】と申します。


初投稿ですので色々不手際があると思いますが応援お願いいたします。



入店が決まった蒼太はエントランスに迎えられ、


メイドの風貌をしたキャスト「ムーン」から一通りの説明が行われた。


このお店が男性客を楽しませることを趣旨とした


ショーパブと呼ばれるお店であること。


コンカフェのようにこのお店自体が「異世界」を


コンセプトとしたお店であること。


キャスト達は身なりはコスプレの域を超えた本物であり、本物として楽しむこと。


キャストにチケットを使わず、過度な接触、粗暴な応対は退店対象であること。


ワンドリンク制・入店時の代金、チケットの使用方法、


キャストとの楽しみ方などレクチャーされ、


入店料を支払ってお店の奥へと通されることになった。


蒼太には彼用の名刺が渡され、そこには自己申告で伝えた愛称が書かれていた。


ひらがなで「そう」。


蒼太の二文字を取ってそうとつけてもらった名前を


キャスト達が店内で呼びかけてくれるという。


失礼が居ないように伝えられたのはキャストによっては呼び捨てだったり、


呼び間違いをしたりすることはあるのでそこはご愛嬌として


広い心で応じて欲しいとのことだった。


先ほどまで流れていた大音量のBGMや


煌びやかな電飾は落ち着き、独特のムードが蒼太を招き入れた。


コンセプト通り、


まるでそこは中世のヨーロッパの酒場を思い起こさせる場所であった。


店の奥には舞台があり、今は誰もそこにはいないが、


先ほどまで何らかしらのショーが行われていた熱気を感じることが出来る。


入るが否やすぐに先ほど蒼太の右腕にしがみついていたミオが


足早にやってくると問答無用に親しみの意味を込めたハグ、


しかも何年も前からの友人のように熱い抱擁を交わしてくる。


少し引き気味に蒼太もそれに応えつつ、


押し付けられてくる豊満な乳房の感覚を衣服越しに感じていた。



「待ってたニャ!6番テーブルまでご案内するニャ!

 えっと…名前は…そうニャンか、よろしくニャン!」



手厚い歓迎を受けた後、蒼太は手を引かれながらミオが案内してくれるまま


おそらく6番のテーブルだと思われるテーブルに案内され、


椅子に腰を落ち着けた。


木製の椅子に申し訳程度のクッションが敷かれ、


お世辞にも快適とは言えないが雰囲気を


大事にしていること実感できる装飾品に感心していた。


見渡せば店の光源は壁に掛けたランプとシャンデリア、


爆音のBGMの代わりに今は店の奥で一人の女性がハープを奏でていた。


とはいえしっとりとそのハープの音色を聞くものはおらず、


女性キャストと男性客が他愛のない話に花を咲かせたり、


恋人たちのように良い雰囲気で二人の空間を演出しているものもいた。


客数も前室でノノが言ってたようにそれほど多くはなく


蒼太を含めて8人程度と数えることが出来た。


テーブルの数はざっと10程度、舞台間近にカウンターがあり、


そこにも4脚程度の椅子があることを


観ればおおよその収容人数を計ることが出来る。


しかしステージの横にはパーテーションで区切られたソファーの席があり


構造的には他にも部屋があることが見て取ることが出来た。


店内をキョロキョロ見渡している蒼太の背後から


再びミオが首に手を廻し背後から抱き着いてくる。


「ここが珍しいかニャ?まずはウェルカムドリンクはなににするニャ?」


しがみついたままミオがメニューらしい一枚のボードを蒼太に見せた。


いつも目にするお酒類だが、裏面に書かれているフード類は


どの店でも見たことも聞いたこともないものが羅列されていた。


一般的なコンカフェの類だろうが、


ぶれない趣旨に彼は思わず感心してしまう。



「えっと…とりあえずビールとこの...

 スライムの甘辛煮?をあてにもらえるかな?」



「はいニャ!かしこまりニャ!」



弾むような返事と共にミオは蒼太の首元から離れるとバーカウンターの方へと


腰を振り振り、尻尾を振り振りしながら向かっていった。


先ほどから何度か感心していたが、彼女のお尻から生えているだろう尻尾が


ただの装飾品ではなくまるで生きている猫のように


無造作に動く様に感心してしまう。


一人になったテーブルで帰りを待っていた蒼太の背筋が一瞬凍る。


寒気ではなくぞくりとする恐怖の感覚。


振り返るより早く蒼太は腰に手をあてがわれた瞬間、


椅子に座ったままの姿勢で高く宙吊りにされてしまった。



「ファナー、さっきはどうもだ。

 改めて俺は希乃ノノってんだ、よろしくな、ソウタ」



背後からの声で誰か悟ることが出来た。


前室でミオと一緒に現れた蒼太が命名した牛女ことノノだった。


宙吊りになった後くるりと反転させられ、


蒼太はノノと向き合う体勢になるとそのままぎゅっと抱きしめられた。


ベアハッグならぬ、カウハッグと蒼太は後々命名したが力の加減はしている…


と思いつつも彼女の猛烈な抱擁に一瞬骨が軋む音が聞こえた。



「あぐ、あぅっ、ノ、ノノよろしく」



「よろしくなっ」



カウハッグからほどなく解放され、


頬を合わせるアメリカナイズな挨拶を交わしてくる。



「隣、良いかい?」



問いかけるや否やノノは返事も待たず


蒼太のテーブルのもう一つの椅子に腰を下ろした。


冷静に彼女の姿を見てみると、本物そっくりな牛の角に牛の耳、


コスプレの域を超える仕上がりに自前の巨乳を覗き見て


蒼太は生唾を飲み込んでしまう。



「ウシシ、おっぱいばっかり見んなって! その気なら後で触らせてやるぜ」



蒼太の熱視線を感じ、ノノは大きく笑って見せた。


確かに触りごたえはありそうだが取って食われるのではないかと


先ほど感じた悪寒が蒼太の食指を押しとどめてしまう。


それでも視線は美味しく熟れた胸の膨らみに奪われてしまうという、


男の性を感じつつノノの話に相槌を打ちながらミオの帰りを待った。



「えっと、そうちゃん?私は来夢ライムっていいます、よろしくね」



入店時に書いた愛称で自分が呼ばれていることに気づいた蒼太は


声の主に振り返った。


そこにはすらりと細い、まるで透き通るような肌をした女性が立っていた。


着席している蒼太は必然と見上げることになるが


彼女の身長もノノには及ばないまでもかなり高い、


モデルを彷彿させるスタイルの良さで直立していた。



「えっと…ら、ライムさん?」



「さんなんて他人行儀だからライムって呼んでね」



改めて彼女を見てみると透き通る肌ではなく


明らかに彼女越しの背景が透けて見えていた。


透過度で表せば20%程度で透かして


向こうの景色が見えてしまうぐらいだった。


何がどう演出されているのか分からないが


確かに彼女の身体越しにあらゆるものが透けて見えてしまう。


戸惑う蒼太にライムはノノと同様にハグを交わし、


そのまま頬を合わせて挨拶を交わす。


ようやくこのお店の挨拶がこれであることを悟り、


蒼太も少し過剰にスキンシップを試みた。


自身もハグをすべく、来夢の背中に手を廻しぎゅっと抱き寄せたところで…



「あーっ!ミーが居ないうちに横取りイクナイニャ!」



片手にビールを持ったミオが蒼太の元に戻ってきたと同時に不満を漏らす。



「まだこのファナーはお前のものって決まってないだろ?」



「あらあら、夜は長いですからそうちゃんまた後でするりときますわね」



蒼太とハグを交わしていたはずのライムが言葉通りするりと


手の中から抜けると笑みを一つこぼして言葉を落した。


惹かれる笑みを残しつつライムはまた別のお客、


ここでいうファナーの元へと歩いて行った。


一瞬のハーレムに蒼太の顔は緩んだものの、


あたりを見渡せばまだまだたくさんの女性キャストが


居ることを認知することができた。


興味はあるものの今の彼は他者に気をやっている場合ではなかった。


ミオとノノが喧嘩をする前に事を落ち着かせなければならないからだ。



「はい、ビールニャ!後でスライム煮は他のキャストが持ってくるニャ!」



「うし、ミオもしっかり働け働け!」



「言われなくても今日は出番だから働いてくるニャ!」



ノノに言われ、


ミオはビールを蒼太の前に置くと他のファナーの元へ行ってしまう。


蒼太は彼女の後姿を見るたびに揺れ動く尻尾はどういった仕掛けで


動いているか考え込んでしまっていた。


「うし、じゃあ俺もちょっと挨拶廻りしてくるぜ!」


蒼太の元からミオを追いやっておきながら、ノノも席を立つと天井に届きそうな


2m越えの巨体と巨乳を揺らしながら他のテーブルへと去ってしまった。


ご覧いただきありがとうございます。


ファンタジー世界のキャストが沢山居るキャバクラ店のお話です。


誤字脱字のご報告いただけると助かります。


応援していただける方は、ぜひここで☆の評価とブクマをお願いします!!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ