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そんな武器で大丈夫か?

 大量のエリクサー入手に成功したマヤは、続いて新たな装備を求めてここノースランドの街を訪れる。資金はまだまだ余裕だ。


「まずは武器屋を探さないと。どこのお店がいいのかな?」


 まず、中央通りに構えた品揃えのよさそうな店を訪ねてみることにしよう。


「へい。いらっしゃい。どんなものをお探しだい?」


 マヤは、躊躇なく要件や条件を伝える。


「最強のを頼む!。お金は潤沢にあるから心配しないで!」


 店主は、みるからに初心者なマヤの様子に気づき、馬鹿にしたような雰囲気で返答する。


「最強ねぇ。じゃあまずお嬢ちゃん、この武器を持ってみな」


 マヤは、受け取った武器を両手で持ち、軽く振り回そうとしてみる。


「むむっ。重すぎてとても振り回せないわ。もっと軽いのはないのかしら?」


 マヤの不満そうな発言に対して、店主は親切に説明をする。


「お嬢ちゃん。武器には重さがあって、扱うためには相応のレベルが必要なのさ。

銅の剣で手こずっているようじゃまだ短剣くらいがちょうど良いんじゃないのか」


 なんと、お金があっても強い武器が使いこなせる訳ではないらしい。

お金持ちだったら武器の能力で最強になれる、なんて都合のよい話はないようだ。


「えぇー。魔法効果で超軽くて最強みたい武器はないのかしら?」


「そういう武器は、非常に希少で世の中にも数えるほどしか存在しないのさ。

ごくまれにダンジョンから出土することはあるけど、王族や上級貴族に寄進されたり好事家の蒐集対象になっている。武器屋に売られることはほとんどないんだ」


 さすがに短剣で地道にレベル上げはかったるい。少し粘ることにしよう。


「私でも扱える最強な武器が知りたいんだけど…。

それじゃあレアな武器に詳しい人を紹介していただけないかしら?」


 店主はこの無茶な要求にしばらく悩んでくれて…おっと誰かが来たようだ。

店主は会話を始める。


「ウィリアム様、ちょうどいいところへ!このお嬢ちゃんが低レベルでも扱える強い武器を探しているのですが、適切なものについてお心当たりはございませんか」


 見るからにお金持ちの趣味人と見受けられる人物だ。笑うとがっつり金歯が…。きっと先ほど話題に出ていた好事家の一人なのだろう。


「僕はウィリアム。聞いてくれたまえ!僕が最初に手に入れたレア武器は………」


 これは話が長くなりそうだ。話半分に相槌をうっていると「是非僕のコレクションを見せながらいいものを紹介してあげよう」ということになった。

きっと同趣味かもしれないマヤに自慢がしたいのだろう。


「店主さん。今日は相談に乗ってくれてありがとう!また今度買い物にくるわね」


 店主さんにお礼を伝え、ウィリアムさんの邸宅を訪ねることになった。


――――


 早速マヤはウィリアムさんの邸宅を訪ね、自慢のコレクションを拝見する。

長い解説とともに伝説のドラゴンを倒した剣やかつての魔王討伐時の従者が使っていた剣など見せてもらったが、当然今のマヤではうまく取り扱うことができない。

今回は、会話に合わせる努力をしなければならない。我慢我慢…。


「話題を変えてしまってごめんなさい。ところで、()()()()()()()()()()()についてご存知ないかしら?」


ウィリアムさんは、真剣に悩んでくれて…どうやら、ひとつ思いついたようだ。


「マヤが扱えるほど軽い剣でレアものか。そうだ!はやぶさの剣なんてどうだ?」


 話を聞いてみるといわゆる、通常攻撃が二回攻撃になるほど軽量な剣だ。

その代わり攻撃力アシストはほとんどないのだが、ウィリアムさんの所持している『はやぶさの剣』は特別なものらしい。


「聞いてくれたまえ!希少なはやぶさの剣に、錬成を行って攻撃力アシストのバフが付いているのさ。3 レベルも攻撃力アシストがある『はやぶさの剣+3』というんだ。これはとてもいいものだ!」


 なるほど。素材となる武器もレアだけど、『()()()()』システムがあるようだ。


「すごいわね。ちなみに、『はやぶさの剣+3』を売るとしたらいくらくらい?」


「お金じゃ価値に代えられないものさ。いくら積まれても売る気はないね」


 まぁ蒐集家ですからね。これを売ってもらうのは相当骨が折れるだろう。あきらめて少し目をそらすと、もう一本はやぶさの剣があるようだ。先のものより少し扱いが悪い気がする。


「ははは。聞いてくれたまえ!確かにこれもはやぶさの剣だが、これは錬成時に痛恨のミスをしてデバフが付いてしまった『はやぶさの剣-5』なんだ。実用性は全くなしだ。笑ってしまうだろう?」


 どうやら、レアなはやぶさの剣ととても希少な素材を集め武器錬成をしたものの、依頼を受けた鍛冶師は痛恨のミスをしてしまい夜逃げせざるを得ない状況だったらしい。きっとウィリアムさんは借金の形で入手したのだろう。

通常であれば希少以外の価値は見いだせないものだが、マヤはもしかすると利用価値があるのではと考えた。


「さっきのは無理なら、こっちのはやぶさの剣を売ってくれないかしら?

売りたくないなら半年のレンタルでもいいから!」


 マヤのこの発言にさすがにウィリアムさんも驚いているようだ。


「いやぁ、確かに『はやぶさの剣+3』よりも希少かもしれないが、実用性は全くないぞ。マヤは本当に()()()()()()()なんだな!」


 どうやら、行き過ぎたレアものコレクターとして扱われたようだ。

ウィリアムさんに気に入ってもらえたのであれば、多少事実と違っていても深く考えないことにした。


――――


 結局、マヤは半年のレンタルで『はやぶさの剣-5』を借りることができた。


 レンタル費用に 100万Gってぼったくり過ぎじゃないの?と思わなくもないが、

これを借りたのはひとつ試してみたいことがあったからだ。

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