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1クールで終わる異世界冒険  作者: 歩き目です
16/39

第6話「中央都市セントラル」その1

※前回までのあらすじ


俺達は遂にデヴィルラの関所を突破した! と思ったら、そのデヴィルラが仲間になった。

幼女が3人になりました。 やったね!ロリ・キラー!幼女が増えたよ!(ヤケ)



ズシン ズシン ズシン


俺達は北の関所を後にして、北の大陸に入った。

草原と荒野が広がるよくある光景だが、ここには前にいた大陸とは比べ物にならない強いモンスターが

今日も冒険者を襲おうと、その牙と爪を研いで狙っているのだ。


ズシン ズシン ズシン


「この先、真っ直ぐ北に進めば、この大陸の街に着きますね。」

「…どんなトコロなんだ?」

「はい。『中央都市セントラル』と言って、とても大きくて賑やかな場所だそうです。」

「中央だからセントラルって、また安直な…。」


ズシン ズシン ズシン


俺とプリスの会話に、デヴィルラが入ってくる。


「魔導大戦が勃発するまでは、世界各地に様々な町があったと聞いておる。

じゃが、今ではこのセントラルのように、一極集中型の街が点在するのみじゃな。」

「やっぱり、モンスターのせいか?」

「うむ。上級、最上級のモンスターが闊歩するこの地において、

小さい町など幾つ作ろうとも、作った端から壊されるだけじゃからのう。」

「なるほどな…。ところで、デヴィルラ…、」

「何じゃ?主よ。」


ズシン ズシン ズシン


「やっぱ、落ち着かねぇわ!これ!!」


俺は振り向いて上を見上げ、言う。

そこには、巨大なモンスターの上で寝っ転がりくつろぐデヴィルラの姿があった。


『ゾウエレファント』

デヴィルラの持っていたカードにあった、奴隷獣の1体だ。

関所突破の折、今までに倒された冒険者の亡骸から武器や防具、道具を収集したモノの、

数十体分という余りの量に、俺達4人だけでは持ちきれない有様だった。

それでモンスターを召喚して、ソイツに運ばせようというコトになったのだ。


ロープで武器や防具を繋いで、それをゾウエレファントの背や牙ににすだれのように掛ける。

かなりの重量のハズだが、ものともせず歩き出すその力強さよ。


『流石ゾウエレファント!100人乗ってもだいじょーぶ!!』


マジでそんなカンジですよ。


ちなみに、ゾウエレファントは走れば人間よりもスピード出せるそうだが、

それだと背中の荷物がバラバラになりそうなので徐行させている。

いつだって安全運転が一番だ。


で、だ。


「コイツって、上級モンスターなんだよな?」

「左様。上級の中程といったトコロかのう。攻撃力も防御力も高くスタミナもある。並の冒険者では相手にならんじゃろ。」

「そんなヤツが背後から付いてきてる俺の気持ち、分かる!? ねぇ、分かる!?生きた心地しないよ!?」

「従属のプレートが掛かっておろう?今のコイツは犬猫より従順じゃぞ?」


ズシン ズシン ズシン


もう分かったと思うが、さっきからの足音はコイツ、ゾウエレファントのモノだ。

いくら言うコト聞くって分かってても、気分良いモンじゃねーよ、コレ。

例えれば、


『信管抜いてありますから大丈夫ですよ。』


って言われて、爆弾背負わされて笑ってられるヤツがどこにいるよ!?ってハナシ。



「主達はずっと歩き通しじゃが、疲れぬか? 余と一緒にコイツに乗れば良いじゃろ?」

「いえ…私は遠慮します…。」

「お、オイラ、のりものにのるとー、きもちわるくなるっすから…。」

「俺には、親からもらった2本の脚があるから…。」


デヴィルラの空気読まない心遣いを、俺達はめいめいの言葉で丁重に断った。


「と、ころろでケインさん。街に着いたらどうしましょうかっ?」


プリスも話題変えに必死だ。


「そ、そうだなー。まずは、この武器や防具を売らないとなぁ。大荷物だし。」

「でも、このモンスターを街中へ連れては行けませんよ?」

「だよなぁ。デヴィルラはまだ『幼女です!』で通るけど、コイツは流石になぁ…。」

「でしたら、もう街が見えてきましたし、

私が先行して街に行き、買い取ってくれる人を探して連れて来ましょうか?」

「それが良いな。それまでに荷物を降ろしておくよ。」

「分かりました。では、街の入り口近くで。」


プリスはそそくさと街に向かって小走りに駆けて行った。

…うむ、ゾウエレファントのプレッシャーから逃れるために、こういうエスケープ方法があったか。



街のすぐそばまで来た。

横道に何かの採掘跡だろうか、ちょっとしたボタ山があって、ゾウエレファントの身を隠せるのはここが限界だ。


「デヴィルラ、もうこれ以上はコイツでは進めないぞ。」

「ん?そうか。あい、分かった。」


デヴィルラはひょいとゾウエレファントの背から飛び降りてくる。

そしてゾウエレファントの巨体をしゃがませ、俺とパトルとデヴィルラで掛けてあった荷物を降ろす。

降ろし終わって、このモンスターどうすんだよ?このまま野に放つのか?と俺が思っていると、


「うむ、御苦労じゃった。」


そう言ってデヴィルラが指から光線を出したかと思った瞬間、ゾウエレファントの眉間を貫いた。


「なっ!?」


グラリと傾いたその巨体は、地に倒れると同時に光と消え、後には従属のプレートと鉱石が残った。


「デヴィルラ!お前!?」

「ん?どうした、主よ?」

「いや、折角ここまで大荷物を運んでもらったってのに…、」

「?おかしなコトを申すのう。こやつはモンスターじゃぞ?ここに置いたらマズイのであろう?」


あぁ、そうだ。モンスターは鉱石を元に生み出した兵器。生物じゃない。いわば道具だ。

ここに置いたままじゃ騒ぎになるのも分かっている。かく言う俺だって、あれほどビビっていたし。

でも、何か、コレって余りにも可哀想って言うか、酷いって言うか…。

いや、頭ではこれが最善の処置だとは理解してるんだけどさ。

付喪神信仰のある日本人としては、ちょっと心にモヤっと来るモノがあるんだよね…。


しかし、上級モンスターを光線1発で倒すとか、どれだけだよ?この褐色ロリは!?


「今の光線は…?」

「おう、アレか。アレは最上級魔法の1つじゃ。速度が無いので使いドコロが限られるのが欠点じゃが

威力としてはあらゆる攻撃魔法の中でも最大の熱量を誇っておる。」


◯ットンの火の玉、一兆度かよ…。


「改めてスゴイと思うぞ。お前。」

「そうであろう?じゃが、最上級モンスターとなると、あれ1発では倒れん。」

「マジかよ!?」


ちょっとクラっと来たぞ、今。

何?そんなに強いの?最上級モンスターって?


ゲームで言うと、


●低級モンスター HP1桁~2桁

●中級モンスター HP3桁

●上級モンスター HP4桁

●最上級モンスター HP5桁~それ以上


で、さっきのデヴィルラの魔法は4桁ダメージ(最大だから9999とか)だった、というカンジか。



待つこと暫し。

街の方角から1台の荷馬車が凄い勢いでやって来た。

御者台からプリスが顔を出し、こちらに手を振っている。どうやら買い取り相手を調達出来たようだ。

俺達の手前で荷馬車が急停車すると、御者台にいた小太りな男が降りて来た。コイツが買い取り相手か。


「おおっ!こっ、これは思わぬ収穫ですぞぉ!でゅふっ!でゅふふふっ!」


…ヤバイんじゃねーの?コイツ。


「只今戻りました。」

「お、お帰り。…コイツ…いや、この人は?」

「買い取って下さる武器屋のご主人…の、息子さんです。」

「こ、これは挨拶が遅れましたな!そ、それがしは中央都市セントラルで武器屋を営んでいる者。」

「 」

「き、今日はプリスたんという天使が降臨されて、某も思わず大興奮ですぞ!でゅふっ!でゅふふふっ!」


俺はプリスをダッシュでこちらに引き寄せた。

俺でさえ『たん』付けは基本、脳内でしかしてねーってのに、コイツは堂々と気持ち悪く!!


「おい、プリス!ありゃ何だ!?」

「えっと、街で色んなお店にお話したのですが、売る武器防具の数が余りにも多かったため、

なかなか信じてもらえませんで…。ようやく見付けたのが、このお方というワケです。」

「コイツはプリスの話を信じてくれたのか…。」


そう聞くと、何かこの武器屋の息子が、ビジネスチャンスを逃さない彗眼を持っているのかと思えてくる。

人は見かけによらないって言うしなぁ。


「はい。こう、胸の前で手を組んで、上目遣いで唇を湿らせてお願いしたら、一発でした。」


駄目だよ!それは!!

俺の前でそれを再現するプリスたんの周囲に、パステルカラーの透過光がソフトフォーカス掛けて見えるよ!!

この武器屋の息子、ベクトルは違うが俺と同じロリコンの臭いがするぜ!! 人は見かけによりまぁーっす!!


「お、おや、そ、そちらのレディ達はなっ、何ですかな?某、いささか気になりますぞぉ~?」


うぜぇ。


と、デヴィルラが悪戯っぽく笑い、俺を肘でつつく。…俺の口から言えってのかよ?


「あー、こっちは獣人族のパトル。で、こっちが、えー……、奴隷のデヴィルラだ。

で、俺はケイン。まぁ、ヨロシクしたくないけど、ヨロシク。」

「おぉう!!けっ、ケイン殿でいらしたか!ケイン殿と言えば、あの高名なロリ・キラーではござらぬか!

ど、どおーりでケモ幼女に褐色幼女というスキの無いラインナップ!プリスたん始め、お連れの子も、奴隷の子も

ぷっ、プリティでキュアキュアですぞぉ!崇高なご趣味でありまするな、ご同輩!でゅふっ!でゅふふふっ!

おぉっと!何も言わずとも分かっておりますぞぉ。これはケイン殿と某だけのヒ・ミ・ツでござるな!」


うわぁ。

ご同輩になっちゃったよぉ。


山のような荷物を荷馬車に積み、街へと戻る道で、聞きたくも無いのに向こうが勝手に話してたコトだが、

コイツは武器屋の息子と言っても、仕事もせずブラブラ暮らしていたニートの穀潰しだったらしい。

毎日のように父親に


『なぁ、お前、いつになったら働くんだ?どこもお前ぐらいのヤツはみんな仕事して…』


と言われ続け…まぁ、そういう日々だったワケだ。

そこに可愛いロリ僧侶が、大量の仕入れ話を上目遣いで頼んで来たのだから、プリスが天使に見えたのも無理は無い。

で、親父さんに黙って一番大きい荷馬車をMAXスピードで走らせて来た、という次第。


「こっ、これで某の父親の、は、鼻を明かしてやれますぞぉ!でゅふっ!でゅふふふっ!」


…なるべく離れて座ろうっと。


「やはり主と一緒に来て正解じゃったのう!退屈するヒマさえ無いわ!」


デヴィルラは至って上機嫌。パトルはと言うと、


「うえーん、しっぽもふもふされたっすー!とりはだたったっすよー!」


災難だったな、うん…。

で、お前。乗り物に弱いとか言ってたけど、やっぱり方便だったか…。


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